不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Sinceramente

2005-09-30 09:45:54 | 日記・エッセイ・コラム
私は常にふらふらしている。
よって皆様から「暇人」と思われることもしばしば。

確かに暇なときはめちゃくちゃ暇なんですけど。
この時期、なんだか妙に忙しい。
一度に二足のわらじを履くとかいいますが、
五足か6足くらい履いている気がするし、
本人さえ一体いくつの仕事を同時に進めているのか
把握できていない。

そんなところにかかってきた電話。
まったく見たことのない携帯電話の番号から。
しかも夕食後の時間帯。

私の携帯電話の番号はあちこちで
「問い合わせ先」として使われていることもあって
いつ何時、どんな電話がかかってくるかわからない。
だから見知らぬ番号からの着信でも
出なくちゃいけないときもある。

なので、出た。
かわいらしい高音の女性の声。
イタリア語で話しているその声が
すごく緊張しているのがわかる。

彼女はフィレンツェ大学で日本語を学ぶ学生で
現在卒業論文の最終仕上げ中だとか。
その作業でやはり疑問の部分があるので、
手を貸してほしいというのが電話の内容。

二・三年ほど前にやはり同じような依頼を受けて
ある女子学生に手を貸したことがあった。
そこから私の連絡先を入手したという。

へぇ。
ちょっとびっくりした。
2・3年前のことなんて
私は言われるまですっかり忘れていたし
そのときに会った彼女とは
それっきり連絡も取らずにいたから。
まさか私の携帯の番号を
その彼女が未だに保管してあったとは。
奇跡だわ。

で、電話口の彼女はそういう説明を延々としてくれた。
そして、本題である自分の論文については
うまく説明が出来ないので、
是非一度会って実物を見てほしいということになった。

とりあえず、現状が2・3年前とは変わっていて、
ずいぶん忙しくなっているのだといってみた。
でも言っている端から
なんだか彼女がすごく気の毒になった。
他に手を貸してくれそうな日本人を紹介しようとも思ったけれど
論文のサポートするための
イタリア語力を備えている日本人って
そうそう見つからない。
私以外にいくらでも日本人がいるフィレンツェの街で
彼女はきっとわらにもすがる思いでいて
ようやく見つけた一つの電話番号だったから
私に電話してきたんだろうなぁ。
そう思ったら断るわけにはいかなくなった。

これが私の欠点でもある。
ノーってなかなか言えない。

すっごく忙しいのに。
ほかに片付けなくちゃいけない仕事があるのに。
ビリーとチッチーノだって
ここのところ相手にしてもらえなくてふくれているのに。
わかっているけど
やっぱり困っている人は放っておけない。

ということで、彼女に会うことにしたのです。
どんな論文書いているのかも興味あるしね。


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