不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

L'arte con il cuore

2006-02-13 18:30:21 | アート・文化

お堅そうにみえる「イタリア文化省」も粋なことをするものです。
バレンタインデーに
カップルで美術館を訪れると一名分は無料。
「みんな芸術に恋してる」というスローガンもいかします。

イタリア国内の国立の博物館、美術館、
遺跡などを訪問するカップルは
チケット売り場でその旨を伝えるだけで
チケット一枚は無料になります。
これはゲイなカップルでもオーケーということなので
仲良しの女性同士ででかけて行って
主張すれば一人分は無料になるのです。

この機会に「愛」にまつわる芸術作品を
ちょっと堪能してみるのもよいかも。

ローマなら
ボルゲーゼ美術館の
コッレッジョ(Correggio)の「ダナエ(Danae)」。
ユピテル(Giove)の4つの愛のうちのひとつを語る作品。
外界と隔離されたはずの寝室で横たわるダナエの元に
黄金の雫に姿を変えて訪れるユピテル(ゼウス)。
妖艶なエロティシズムを堪能できます。

同じくボルゲーゼ美術館に収蔵の
ティツィアーノ(Tiziano)の
「聖愛と俗愛(Amor sacro e amor profano)」も。
俗世のヴィーナスと天上のヴィーナスを描いたといわれる作品。
ヴェネツィアのニッコロ・アウレリオの
結婚式のお祝いに製作されたものといわれています。
彼の紋章が石棺に描かれています。
俗世のヴィーナスのモデルは彼の花嫁「ラウラ」であるとされています。

それからラファエロの作品も。
ファルネーゼ宮殿の
「アモーレとプシケの開廊(loggia di Amore e Psiche)」。
シエナ出身の銀行家アゴスティーノ・ギジ
(Agostino Chigi)の依頼で製作したもの。
ラファエロらしい淡いブルーの色遣いの中に
花が舞い散るシーン。
ファルネーゼ宮殿では
「ガラテアの勝利(trionfo di Galatea)」が有名ですが、
バレンタインだからこそ
「プシケの物語」に重点を置いて鑑賞したいところ。

この作品を制作するのに、ラファエロは
「愛する人がそばにいないと筆が進まない」といって
パトロンであり依頼主であったアゴスティーノ・キジを説得し
la Fornarina・Margherita Luti(マルゲリータ・ルーティ)を
付き添わせていたという逸話も残っています。
その彼女の肖像画は
ローマならバルベリーニ宮殿(Palazzo Barberini)、
フィレンツェならピッティ宮殿(Palazzo Pitti)の
パラティーナ美術館で。
白い肌をさらしたふくよかな女性の肖像画です。

そのほかにはちょっとマイナーなところでは
マントヴァのサンジョルジョ城(Castello di San Giorgio)の
北塔にある結婚の間(Camera degli sposi)。
アンドレア・マンテーニャ(Andrea Mantegna)の
フレスコ画で飾られています。
1465年から1474年にかけて
ルドヴィコ・ゴンザガ(Ludovico Gonzaga)の依頼で
製作されたもの。

とか。

ユネスコの文化遺産として知られる
サレルノのチェルトーザ・ディ・パドゥーラ(Certosa di Padula)。
1306年に建てられた修道院で
その回廊のスペース約50,000平方メートル一面に描かれる
「愛」を象徴する絵画なども見もの。

私は時間もないので行けないなぁ。
まずその前に一緒に行く「お相手」がいないのねぇ。
ビリーを彼だと言い張って
許してくれるくらい寛容な美術館なら行ってみたいけど!


San Valentino

2006-02-13 16:53:51 | 日記・エッセイ・コラム

バレンタイン。
ここ数年はイタリアでも商業的に騒ぐようになってきました。

日本では義理チョコ配りに対して
「なくてもいい」と感じている人も増えているようですね。
ただの慣習となってしまったので
義理でチョコレートを渡したりもらったりする
意味がないといえばないのかも。

バレンタインって私の中では
若い時代(中学生くらい)の
はにかむような淡い思い出と一緒にあるもので
分別ある、損得勘定のできる大人になってからの
バレンタインは
なんだか純真な気持ちじゃないような気がして。

バレンタインが年に一度の
告白のチャンスっていうのも
今のご時世、そんな初心な人も少ないでしょうけど
本当に初心で晩生な、
そういう人には大事な日なのかな、永遠に。

イタリアでは
定番のチョコレート(Rocher、Mon Cheri、Baciなど)の
バレンタインパックが売られていますが
日本のように飛ぶように売れているわけではないみたい。
AlgidaのアイスクリームMagnumシリーズで
「ホット・バレンタイン」と銘打ってキャンペーンしたり。

各携帯キャリー会社で
携帯電話一台分の料金で二台ゲットとか
そういう類のキャンペーンのほうが目につくかしら。
チョコレートで済ませれれるのなら安上がりだけれど、
そうもいかないのですねぇ。

ある調査では
イタリア人がお目当ての相手を口説き落とそうと思ったら
まず先立つものが必要だと発表していました。
これはバレンタインだからどうこうではなく、
情熱のイタリア人は年中くどくことに躍起になっているから
この時期だけの話ではないですが。

ニューオープンのパブに行ったり、
話題のレストランに連れて行ったり
楽しませるためにディスコに誘ったり。
(イタリア人は未だによくディスコに行くんだよねぇ・・・)
そうやって手をかけてあげないと口説き落とせない。

そんなわけで
ローマ、ナポリ、パレルモ、ミラノでの調査の結果。
「好きな人を口説くまでにいくら費やすか」
ミラノ人の35%、ローマ人の46%、
ナポリ人の44%、パレルモ人の50%が
100ユーロから300ユーロの出費覚悟。
物価が高いといわれるミラノでは
24%の人が300ユーロから600ユーロを費やすとも。
さらにわずか3%ではあるけれど、
1500ユーロ以上を出費する準備があるというミラノ人も。

それだけ費やすだけの価値のあるパートナーに巡り会えて
口説き落とせるのならそれはそれで幸せなのだと思うけど。

今年のバレンタイン満月なのかな。
まぁルナティックな恋をしてください。