不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Mercurio

2007-11-06 07:56:00 | アート・文化

イタリア語ではMercurio(メルクリオ)。
ラテン語ではMercurius(メルクリウス)。
英語読みではマーキュリー。
商人、盗人、科学者、旅人の守り神としても知られ、
神々のメッセンジャーとしての役割も果たすローマ神話の神。

翼のついたヘルメットとサンダルを身につけていて
神々のメッセージをいち早く伝達する役割を担っていたと言われます。
その他には夜や夢の守り神とも言われ、
死者を地獄へ導く先導者の役割も果たします。

ローマではアヴェンティーノの丘の現在のチルコマッシモの辺りに
彼に捧げられた神殿が
既に紀元前495年に存在したことが確認されていますが
当時のローマの聖なる地から外れているため
元々ローマ起源の神ではなく
他からやってきた神であるとされています。

ギリシャ神話のHermes(エルメス)と同一視されることが多く
そのためGiove(ジョーヴェ:ジュピター)とニンフ・マイアの子とされて
オリュンポス12神の一人となっています。

早熟な若者として描かれることが多く、
翼のついたヘルメット(Petaso:ペタソス帽)とサンダル、
二匹の蛇が巻きついた杖がシンボル。
この杖Caduceo(カドゥチェオ:カドゥケウス)は
夢を誘発する力を持っているとされる魔法の杖。
医学のシンボルでもあり、
現在もイタリアの薬局にはこのマークがつけられています。

伝説では生まれてまもなく産着を脱ぎ捨てて
アポロ(Apollo)が世話をしていた牛を盗んだと伝えられています。
太陽の神アポロは犯した罪を償うために
ジョーヴェ(Giove:ジュピター)の命令で
テッサリア(Tessaglia)の王Admeto(アドゥメト)の
所有する牛の見張りをしていたのです。
メルクリウスがカメの甲羅から作り上げたリラと交換に
アポロはこの牛を譲り渡します。
このエピソードに由来してアポロは音楽の神といわれたりもします。

父であるジョーヴェ(Giove:ジュピター)は
メルクリウスのエネルギーに驚嘆し
神々のメッセンジャーとして任命したといわれています。

権力の神ヘラ(Giunone)、芸術と科学の神アテナ(Minerva)、
愛と美の神アフロディテ(Venere)をトロイア王子パリス(Paride)の元に
導いたのもメルクリウス。こちらも参照

Botticelliprimavera
有名なボッティチェッリの「Primavera(春)」の画面の左端で
カドゥケウスを空に向けているのがメルクリウス。

私はバルジェッロにあるジャンボローニャ(Giambologna)の
ブロンズのメルクリウスが好き。
Mercurio_giambologna
微妙なバランスで軽快に駆け回る様子が想像できるでしょ。