不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Cucina Rinascimentale

2007-11-15 00:16:10 | アート・文化

11月14日から始まった阪急梅田のイタリア展。
今年はフィレンツェの貴族をテーマに色々なイベント企画、
職人さんの実演が行われています。
初日は昨年より若干出足が少ないような印象を受けました。
特に食材購入をお考えの方は、
平日の早い時間に来られるとあまり混雑してないかも。
足の踏み場も無いような混み具合になる前に、
美しいもの、美味しいものをお楽しみください。

さて、フィレンツェの貴族というテーマですから
やはりルネッサンス期は外せない!
ルネッサンス時代の料理にもスポットが当てられています。
毎日15時からイベント会場でルネッサンス料理のお話。
フィレンツェで長年メディチ家の料理を中心に
ルネッサンス期などの古い料理を研究している
Giuseppe Alessi氏の興味深い話と
料理の実演&試食も含めてお楽しみいただけます。

講演中にはお話できないことも少しづつここで紹介。

1400年代-1500年代には
料理人の識字率が低かったり、各宮廷の秘伝とされていたため
レシピを書き残すという習慣は無く、
きちんとした形で知識人や料理人自身が
レシピとしての記録を残すようになったのは
1700年代も終りのフランス。
それまではイタリアの各貴族の宮廷で
日夜繰り広げられた宴の収支表などに残される材料費や
給仕長の記録などが貴重な資料となります。
現代風の詳細のレシピが無いため、
ルネッサンス期の料理を再現するに当たり、
料理人の経験がものをいいます。
アレッシ氏も限られた資料から
材料、分量、調理時間を想定して、
かつ現代人の味覚にも合うように調整をして再現しています。

時間の概念が一般的でなかった時代には、
キリスト教徒にとっての共通の時間の単位は宗教的な区切り、
つまりミサの時間や祈りの時間がベースとなっていました。
我々の時代にも一部伝えられているパスタには
茹で上がり時間までの祈りの名前をつけたものもあります。
もちろん粉の種類が異なり、火力も異なる現代では
当時の祈りの時間とは若干の差が生じているのは否めませんが。

初日に紹介されたのは
魚介類を使ったアンティパスト。
Insalata di Razza lavorata(エイを使ったサラダ)。
現在では食用として使われることが少なく、
高価な食材であるエイですが、
中世、ルネッサンス時代にはよく獲れて
かつ低価格で入手ができた魚介類の一種。
トスカーナではルッカやピサの海で採取して
アルノ川を利用してフィレンツェまで運んで来たと思われます。
イエローソースはおそらくオリジナルには
使われていなかったと推測されますが、
現代人の味覚に合わせるために
ペントラ・デッローロ(アレッシ氏のレストラン)で考案されたもの。