不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

La sparizione dei tesori di San Gaetano

2008-05-20 02:11:00 | アート・文化

フィレンツェの中心街、トルナブオーニ通りの
南端にあるアンティノーリ広場に面して建つ
フィレンツェでは珍しいバロック様式の
Chiesa di San Gaetano(聖ガエタノ教会)。

この教会では当時宝物保管係りを務めていた
Giovanni Pistone(ジョヴァンニ・ピストーネ)を通じて
1999年から2003年に亘り
かなりの数の貴重な宝物が外部に流出し、
そうした聖具などの宝物は
アンティーク市などで売買されたという過去があります。
ジャンボローニャ派の銀製十字架磔刑なども含まれており
その総評価額は50万ユーロにも上るといわれています。
幸いにもこうして教会外に流出した品々の大半は
Carabinieriによって回収され、現在は司法保管となっています。

本来ならば教会司教区などがきちんとした法的手続きを踏み、
宝物流出の責任の一端を担っているとされる
ピストーネを提訴する必要があるのですが、
今日まで一切そうした動きがないままで
そのため実際の所有者であるにもかかわらず、
流出した宝物は教会へ戻されることなく
司法保管となっているのです。

教会司教区がこれまで法的な手段に出ていないことも
謎とされており
当時教会ぐるみで
こうした犯罪が行われていたのではないかとする説もあります。

宝物保管係りとして新しく任命された
Roberto Donati(ロベルト・ドナーティ卿)が
宝物の棚卸しチェックを行ったところ、
既に司法保管となっている宝物以外にも
約40点の品が無くなっていることが発覚。

教会に保管されている聖具などの
芸術的価値の高いものについては
フィレンツェの美術監督局が介入し
写真付の詳細データがあるため
これまで念密なチェックが行われていれば
発覚していたと思われる事実ですが
実際には前任者の時代に
詳細のチェックが疎かにされていたために
その事実が判明しなかったのです。

今回の件については
1999年から2003年の紛失事件とは一切かかわりのない
現保管係りのドナーティ卿により
Carabinieriに紛失届けが出され
実際に調査が開始されています。
これに伴い過去の紛失事件についての
何らかの手がかりもつかめるかもしれません。