不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Il significato della chiusura di Dino Bartolini

2010-03-26 20:09:27 | 日記・エッセイ・コラム

個人的にかなり衝撃的なニュースだったので、
3日経った今も納得できてません。

http://bit.ly/9L2kZy
3月23日のRepubblicaを読んでいて
なんかざわざわしてTwitterでつぶやいたら
友人たちより色々反応が。
みんな考えていることは同じなのかなぁと思って。

ドゥオーモの裏手に伸びるVia de' Servi通りの角にある
キッチン用品を扱う老舗のDino Bartolini。
以前にも閉店の噂が流れていて
そのときには大きなショーウィンドーに
「閉店のデマ情報はいい加減にしてください」と
貼り紙まで出ていて
あぁ、健在なんだなぁと思っていたのに、
どうやら今回は噂ではないらしい。

本当に小さい物から大きなものまでキッチン回りのものや
ちょっと気のきいた小物を扱っているので
私はよくお世話になっています。
今使っているドア&窓ストッパーも
ここで一個7,00ユーロで買ったよなぁ。
今は毎回Britaの浄水器のカートリッジを買いに行ってます。

Lista di Nozzeといわれて
結婚する二人のために友人が少しづつ資金を出し合って
新生活に必要なものを揃えてお祝いするしきたりが
イタリアにはありますが、
古くはこうしたキッチン用品が好まれたので、
ここも豊富な商品でLista di Nozzeといえばここというくらい
もてはやされた時代もあったようです。
それが昨今ではLista di Nozzeで選ばれるのは
電化製品だったり、新婚旅行だったりで
下火になりつつあったのは確かなようですが、
それが今回の閉店の大きな理由ではないのが問題。

老舗の経営が先行かなくて閉めるのなら
ある意味仕方ないとも思いますが、
いつ行っても
なんとなく品のいいおば様たちで賑わっているこの店は
経営不振のために閉店するわけではないのです。

このお店に隣接する形でVia Bufaliniにある銀行
Cassa di Risparmio di Firenzeが
Bartoliniも含む建物全体の持ち主で
店子の賃貸契約を更新せず、
建物ごとの売却を計画中なのだそうです。

そう、まず大家の都合で残りたくても残れない。
その次に経営状況問題ね。

Cassa di Risparmioは昨年近代的な本社ビルを
空港に近いNovoli地区に建てて
かなりの部門をそちらに引っ越したので
街中の歴史のある宮殿を
維持しておく必要がなくなったわけです。

しかし、それによって70年続く老舗が
やむなく撤退しなくてはいけない状況って
古都フィレンツェとしてどうなの?
というのが私のもやもやの原因です。

店舗経営の自由化によって
移民でも比較的簡単に
お店を開くことができるようになっているのですが、
それと反比例するように老舗のお店がどんどん減っています。
由緒正しい美しい老舗のあとに
ケバブ屋や安物の衣料品や100円ショップまがいのものが
林立していく様子は
フィレンツェを愛している私にとっては納得いかないと
常々くすぶらせていたのですが
今回の件で頂点に達する勢い。

フィレンツェがフィレンツェらしくあるために
守らなくちゃいけない最低のラインってあると思うのです。
銀行が売りたいなら売ってもかまわないけれど、
店子がそのまま同じ条件(家賃、契約など)で
経営を続けられるように
市政が配慮してもいいんじゃないの?

街の景観の問題は都市計画の一環。
フィレンツェが観光都市であり
街の景観保護も市の仕事のひとつだと思うんだけど。
特にドゥオーモの裏手300メートルのところですよ。
どんなお店が並ぶのかによって
ずいぶん印象を変えると思うけどね。

本気で市に抗議するかもよ!!

まぁ、参政権もない外国人が何言ってるんだよ
という扱いされるのかもしれませんが。

というかフィレンツェ人はこの状態でいいの?
まったく・・・。