不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

I grandi bronzi del Battistero

2010-09-14 20:44:19 | アート・文化

フィレンツェの洗礼堂の北扉の上に置かれ
2008年から修復の続けられていた
3体のブロンズ群像が主役の展覧会が
バルジェッロ美術館で開かれています。

Dscf9434

「La Predica del Battista(洗礼者ヨハネの説法)」は
1508年に着工し
1511年に洗礼堂の北扉に置かれた作品で
Giovanfrancesco Rustici
(ジョヴァンフランチェスコ・ルスティチ)の手によるもの。
カリマラ組合の要請で製作されたブロンズ像で
洗礼者ヨハネとパリサイ人、ヘブライ人の
3人物で構成されています。

Rustici(ルスティチ)は
Lorenzo il Magnifico(ロレンツォ・ディ・メディチ)の
庇護下にあったGiardino di San Marcoという
芸術家養成集団に属し
Andrea del Verocchio(アンドレア・デル・ヴェロッキオ)の
工房で修行を積んでいます。
Leonardo da Vinci(レオナルド・ダ・ヴィンチ)とは
同じ師をもつ同胞であり、
のちにはレオナルドを師と仰ぐようになります。
「La Predica del Battista(洗礼者ヨハネの説法)」を製作したときにも
デッサン作成や、構図決定などに
レオナルドが関わっているとされています。

La Gioconda(モナリザ)と並んで
その謎めいた微笑で知られる「San Giovanni(洗礼者ヨハネ)」は
レオナルドがフランスに持ち込んだ作品のひとつで
完成は1517年とされていますが
描き始めたのはまだフィレンツェに滞在中の1510年以前。
この作品を描き始めた頃、
同じ工房ではレオナルドの弟子であり、
製作協力者でもあったルスティチが
同じテーマの彫刻を作成していましたが、
その作品こそが洗礼堂に置かれる予定のLa Predicaだったのです。

同じテーマだったこともあり
お互いに影響しあっていたのは間違いないといわれています。

フィレンツェ・ルネッサンスを代表する彫刻家でありながら
これまで過小評価され続けてきたルスティチを
前面に出した展覧会は今回が初めて。
素材の違う彼の作品約50点を集めた展覧会ですが、
パリ・ルーブルから500年ぶりに戻ってきた
レオナルドの謎めいた「San Giovanni(洗礼者ヨハネ)」のせいで
なんとなく目玉が摩り替えられているような気がして
ルスティチがちょっと気の毒な展覧会でもあります。

レオナルドの「洗礼者ヨハネ」ばかりでなく
ミケランジェロと並んで才能が評価されていた
ルスティチの作品を是非堪能してほしい展覧会です。

Dscf9435

I grandi bronzi del Battistero.
Rustici e Leonardo
会場: Museo Bargello() Firenze
会期: 2010年9月10日から2011年1月10日まで
開館時間: 8:15-17:00
休館日: 第1・3・5日曜日、第2・4月曜日、12月25日、1月1日
入場料: 7,5ユーロ

San_giovanni

パリのルーブル美術館所蔵の
レオナルド・ダ・ヴィンチの「洗礼者ヨハネ」は
今年の初めからルーブルを離れて巡業中ですね。
ミラノ、ローマと続いて今はフィレンツェ・バルジェッロに展示中です。
今年の初めにローマのヴェネツィア宮殿で観たときよりも
明るい照明でより近くで見ることができるので
これからフィレンツェを訪れる方にはお勧めです。