不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Nuovi Custodi dei Musei italiani

2010-09-28 19:32:54 | アート・文化

美術館員の増員が進められています。
文化省は2008年から募集をかけ
159,000の応募者の中から
今年397名の新規採用を行い
そのうちの90%は大卒の専門知識を備えた人材を抜擢。

イタリア国内には8917件の
国が管轄する美術館・図書館・遺跡などがあり
これをすべて一般公開にしておくためには
最低でも12,000人の人材が必要だといわれていますが、
年々公開を開始する美術館などは増えており、
常に人材不足となっています。
年内に定年退職する美術館員などは約800人で
今年採用した397名ではその穴さえ埋めることができません。

たとえば公開部屋数を10部屋から24部屋に増加した
ローマのPALAZZO BARBERINI(バルベリーニ宮殿)には
新規採用者5名が配属されましたが、
既存職員の2名が産休に入ったため実質的な補充は3名。
14部屋増えているのに3名しか増員されていないのでは
時にストライキが起こったり、
人員不足のために展示閉鎖になったりしても
仕方ないかもしれないとも思います。

ちなみに今年新規採用となった美術館員の月収は
1300-1500ユーロだそうです。
それぞれの配属先やシフトによって異なるようですが、
自分の研究も続けながら従事して給与をもらえるのであれば
なかなかよい仕事なのかもしれません。

ただし、大事な文化遺産の管理に当たる仕事でもあり
誰でもよいわけではないということで
きちんと専門的な研究を終えた人材が選ばれているようですが、
実際に各美術館の片隅に座っている監視員を見ていると
本当に専門知識を持っているのだろうかと
疑いたくなることもあります。
ただただ「No Foto」「No Flash」と
行儀の悪い来訪者に叫んでいるだけのように感じるときもあれば
それさえもせずに
暇つぶしにクロスワードパズルをやっていたり
自分の任務範囲を離れて
同僚とおしゃべりに花を咲かせていたりする人も見かけます。
あの仕事をさせるために
税金が使われているのかと思うとがっかりします。

美術館員や司書の平均年齢は58歳だそうで
皆さんその職に長年へばりついてきた方が多く
仕事も馴れ合いになっているような気がしないでもありません。
新規採用され希望に満ちた新人美術館員には
是非その専門知識を生かして
一般観光客がもっとすばらしい美術鑑賞ができるように
努めてもらいたいものです。

慢性的に人材不足となっている国立美術館や遺跡では
兵役免除の市民奉仕活動の若者を配置する試みも続けられ
現在その数を増員するように訴える動きも始まっています。
公開をやむを得ず中止する美術館などが出てこないように
きちんと計画的な採用人事と人材の養成を行ってほしいと思います。