不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Santo Stefano protomartire

2011-12-27 22:22:27 | アート・文化
12月26日はイタリアでは祝日です。
別にクリスマス休暇を長くするためではありません。
12月26日は聖ステファノの日。
キリスト教初の殉教者という位置づけから
救世主イエスの生まれた25日の翌日が
聖ステファノの日とされています。

聖ステファノ(Santo Stefano)は最初の殉教者、
つまりキリストへの信仰心を理由に
初めて命を落としたもの(protomartire)として
カトリック教会、正教会では
特に重要な聖人の一人です。
ギリシャ系ユダヤ教の家庭に生まれた彼は
もちろんユダヤ教徒でしたが、
使徒によって最初の7人の助祭の一人に選ばれ
キリスト使徒を手助けをし、
特に未亡人への食料配布などを行っていたようです。

36年に投石の刑にかけられ殉教していますが、
まだ改心前のサウロ(後の聖パオロ)が
その聖ステファノの殉教の場に居合わせたと伝えられています。

学識の高い人物であり
度々ユダヤ最高議会で演説を行っていましたが、
まだキリストの教えに納得していない人々が多く、
彼が、天が開き神の栄光が現れると発言すると
街の外に連行して処刑したのです。

イエスの処刑を許可したユダヤ総督ピラト(Pilato)が
権力を握る前のパレスティナ周辺は
大サンヒドリンというユダヤ最高議会が支配しており
彼らが彼の地の処刑方法としてよく用いたのは投石刑だったのです。
従って、宗教画に描かれるときには
助祭服を着て頭に石ころをつけた状態で描かれていることが多く
比較的見分けるのが容易な聖人の一人です。

先にも延べたとおり
12月26日が聖ステファノの日になりますが、
1960年までは8月3日を聖ステファノの日として祝う習慣も残っていました。
それは415年にある祭司が聖人の遺体が葬られた場所を夢に見て
エルサレムの近くで聖人のモノとされる遺体が見つかったのですが、
それが8月3日だったからです。
もちろんこの際に見つかったものが
聖人の遺体であるという確証はなかったのですが
コンスタンティノープル、そしてローマへと運ばれて行き、
世界各地に「聖ステファノの聖遺物」が現在も保管されています。

Lapidazione_di_s_stefano
Giulio Romano
Lapidazione di Santo Stefano
赤いダルマチカを来た若者が聖ステファノ。
皆さんかなりの形相ででかい石を投げようとしていますが、
左端に石を持たぬ男性が描かれています。
マントを足下に敷かれて描かれるこの人物こそ
後の聖パオロとなる改心前のサウロです。
そして、ステファノの発言とおり、
天の雲を分けて父なる神とイエスが姿を現しています。

「頭に石」の図からの連想に過ぎないと思うのですが、
偏頭痛がひどい時は聖ステファノにお参りする習慣もあります。


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2011-12-27 18:07:42 | Tweet Log