カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

西穂・丸山 うんと手前【アプローチ編】

2009-01-07 | ヤマのこと

この年末年始、私の希望は「初日の出を山の上から」だったのですが、
家の事情とダンナとの意見の食い違いにより断念。
それならば「雪山で過ごす一日~朝日と夕日を拝もうツアー」に企画変更!
そのついでに、と企画はどんどん膨れ上がり・・・

【2008.12.26出発】
当初は12/27に高速バスの「まるごとバリューパック¥14800」で「平湯」までいくつもりだったのですが、
始発が新宿駅8:00、年末の渋滞にはまってしまうと日没までに着かない恐れがある。
ん~~~、と悩んだところに流れる「夜行列車廃止」のニュース!
あ、そうだった!その手が合ったか!と浮かんできたのが「ムーンライト信州」
出発3日前だったがかろうじて確保。ちょうど18きっぷの時期なので¥2760で松本まで行ける!
予定を急遽変更し、仕事納めの後、新宿駅へ。

 
目指しているのは松本駅発高山(平湯)行きの始発(7:50)バス。
問題は松本駅に4:32に到着してしまい、3時間以上どこで待てばいいのか・・だった。
駅構内にいるしかないのだろうけど、この時期は寒いだろうな~と、考えた結果、駅待ちの為だけにシュラフ持参。
この時間に降りたのは初めてでドキドキだったけど、待合室が電気がついていて使える様子。
おかげで待合室の中でシュラフに包まり、2時間ほど仮眠できました。


だんだん明るくなってきました。
しかし!寒いです、この朝の気温は-6.7度。松本って平地でもこんなに寒いんですね・・・
駅で6:30開店のお蕎麦で朝食、ほんの少し温まりました。
駅から見える山々を眺め、バスターミナルへ移動。
松本は天気が良くて清々しかったです。


松本から平湯まで約1時間半、そこから新穂高まで約30分のバスの旅。
久しぶりに上高地方面へのバスに揺られてちょっと嬉しい。
乗客は10数人、ほとんどは山装備、そして「中の湯」で降りてしまった。
バスの中からでは釜トンネルはあまり雪がなかったように見えた。
「平湯」で「新穂高バスターミナル」へ乗り換えたのは私たちだけ。

「奥飛騨温泉郷」といわれるエリアを走っていきますが、とても風情のある景色が流れて行きます。
雪に煙る温泉街・・・次回は絶対ココに泊まるぞ~!と思いました。

「新穂高バスターミナル」に着いたときは天気予報通り雪でグレーな世界・・・
松本はあんなに晴れていたのに・・・岐阜県側とは大違いなんですね。

登山届けを提出し、「新穂高ロープウエイ駅」へ。
前日の26日、ロープウエイが強風の為止まっていたので心配だったのですが、
動いているらしい・・・こんなに天気が悪くてもさすが観光地、20人程度は乗ります。
ここで車でこられた登山者達と一緒になり、登山関係らしき人は5組ほどとなりました。


そしてロープウエイであっという間に標高2156mの世界へ・・・でも何も見えない
あの青空に映えるロープウエイをイメージしてきたのに残念。
相変わらず雪はゴンゴン降っている・・・



雪山はハイキングかスノーシューしかしたことのない初体験の私たち。
装備は天気予報を聞いて前日慌てて買いに行った「ワカン」そして「ストック」「アイゼン」のみ。
この天気にやはり不安な私。窓の外は・・・雪雪雪。


とりあえず一息入れようと、西穂高山頂駅4階のレストランで湧き水コーヒーと、
さっき「しらかば平駅」の「アルプスのパン屋さん」で仕入れたパンで昼食。
サックサクでどのパンも美味しいんです!!これは大当たり♪


気持ちがほっこりしたところで覚悟を決め、アイゼン履いて出発!
千石園地の雪の回廊はご覧の通り、境が見えない・・・でも雪は小降りに。


「ここから登山道」の看板から入っていきますが、今までに経験のないほどの雪の量にビビル私。
進んで5分も経たないうちに、一歩歩くごとに埋まってしまい先へ進めない私・・・
急いでアイゼンはずしてワカン装着。そしたらずいぶん歩きやすくなった


トレースがあったし、小屋の方がちょうど上がっていかれる所だったので安心して着いていくことに・・・(笑)
するとさっきまでグレー一色だった世界に色味がさしてきて・・・


ぬわんと!青空まで見えてきたではないですか!


一歩づつ確実に高度を上げていくと、目の前に西穂高の山々が・・・
ものすごい勢いで流れていく雲の間から、その姿を現した。
なんて美しいのでしょうか!初めて見た雪のアルプス!
もう大興奮で「北ア、サイコ~~~~」と叫んでしまいます!


もうねぇ・・ゴオオオーっという風のうなりの中から見えてくる山々は・・・神々しいとしか・・・・ため息です。
(えっとこれは多分穂高連峰?違ってたら教えてください)


もう、ただただその場にぼーぜんと立ち、眺めるだけ・・・
ひゃ~~、とか、ほえぇ~~~、とか言いながら・・・言葉にならないのです。



さっきまでのグレーな空は一転して蒼一色に。
今日の天気は全く期待していなかったので、
こんな青空と素晴らしい景色を一瞬でも見せてもらったことが嬉しくて嬉しくて・・・
ニヤニヤしながら登りますよ~~もう楽しくて仕方ありません!
背後には「笠ヶ岳」がくっきりと見えてきました。


山荘が着けてくれているこの蛍光オレンジの標識。
これには翌日大変お世話になることに・・・

 
山荘直下にさしかかったのでしょうか、急登りになってきました。
でも怖いところもなく安心してココまでこれました。天気になったからかな・・
見上げれば樹氷の森。どこをみても美しい・・・


そんなこんなで約二時間、西穂山荘が見えました!


振り返ると笠ヶ岳も眼の高さに。


山荘の正面に廻り込むと、目の前にどどーーんと見える山。
明神岳と勘違いしてましたが「霞沢岳」でした。
下でテントの準備をしているのは、今朝「中の湯」で降りた方達。
上高地側から登ってこられたようです。トレースはなかったそうです。


山荘で宿泊の手続きだけ済ませ、空身で「丸山」へ向かいます。
この天気のいい時に登っておかなくちゃ!と気持ちだけはイケイケなんですが。


とても穏やかでなだらかそうに見えるんですけどね。
上がっていく人たちがパウダースノーに足を取られ、結構右に左に揺れています。


私はわかんのまま上がっていったのですが、あの物置小屋みたいなところまで行くと、
強烈な風が吹き付けてきました!たった5分くらいの位置なんですが。
上を行く人はピッケル&アイゼンで踏ん張りながら登っています。


風が吹きつける側は雪の上が厚さ1cm程度の氷の斜面になっていました。
私のストックでは刺さりもしません。
わかんの爪で割ってしまった氷はザーっと凶器のように下へ滑り落ちていきます。
後から上がってくる方に申し訳ないこれはさすがに私には無理、と諦めて戻ることに。
アイゼンを履いて出直してこよう、と思ったのですが・・・


あのとんがっているのが多分「西穂高岳」
丸山から360度の展望を見たかったんだけどな~~。足を踏ん張って写真を撮るのがやっとです。
それにしても空の青さがすごくてビックリです!
そんな状態ですから、カメラの設定はオートのまま何の補正もなし(今日の写真は全て)なのに。
自然の美しさはどんな技術もかなわないし、必要ないのかも(と自分を慰める)


諦めて戻る道でも滑ったり雪に足を取られたりよろよろしています(恥)
上高地側はパウダースノーなんですが、笠ヶ岳側は氷の世界。
滑ってバランスを失ったら、下は樹林帯でも方向違いのほうに滑ったら、
どこまでも行ってしまい、もしかしたら停まるのは不可能かも。
アイゼンに履き替えてもピッケル持ってないのはちょっと・・・
さすがに怖くなって自分の力で歩けるのはもうここまでだな、と思いました。

眼下にかすかに見える大好きな「梓川」
これだけ見れただけで満足。


そうと決めたらもう今日はおしまい。
小屋でまったりすることとします。丸山方面も夕日があたり始めました。


「西穂山荘」はとてもりっぱな小屋。
冬季は夏場カフェとして使っている方のみの利用のようですが、広いです。
まだ15:00だけど、初めての雪山小屋泊まりを満喫するのだ~


【山小屋編】につづく・・・