平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「不適切にもほどがある!」のテーマを考察する!~人の選択肢は無限で、いくらでも変わることができる

2024年03月31日 | その他ドラマ
『不適切にもほどがある!』が最終回を迎えた。
 最後はズバッ! とオチをつけて。
 宮藤官九郎の作品ってベースは「落語」なんですよね。
 いろいろな小ネタや人情や言葉遊びを入れて、最後にサゲる。
 起承転結でラストに向かって盛り上げていく手法をとらない。

 それと、クドカン作品は「収束」せずに「拡散」する。

 同じ冬ドラマだった『春になったら』
 これは収束するドラマだ。
 ラスト──瞳(奈緒)は結婚するし、父・雅彦(木梨憲武)が癌で亡くなる。

 一方、『ふてほど』は対照的だ、
 登場人物たちの物語はどれも終わってないし、これからも続く。
 ネタバレになるので詳しく書かないが、
 ラストの出来事で市郎(阿部サダヲ)たちはこれからもたくましく生きていくのだろう。
 純子(河合優美)を助けるために行動するかもしれないし、
 現実を受け入れてさまざまな時代を楽しむのかもしれない。
 今後、市郎たちにはどんな出会いやドラマが待っているのだろう?
 物語はどんどん拡散してどこに着地するのかわからない。
 …………………………………………………………………

 物語の拡散は作品のテーマでもある。
「未来の可能性はいくらでもある」
「人の選択肢は無限で、人はいくらでも変わることができる」

 現に市郎は令和に触れて変わった。
 サカエ(吉田羊)は昭和に触れて変わり、
 純子はスケバンから女子大生に変わり、
 ムッチ先輩(磯村勇斗)はヤンキーからシティボーイに変わり、
 真彦(磯村勇斗)は恋愛に目覚め、渚(仲里依紗)も新しい恋を始めた。
 井上昌和(中田理智)は科学者ではなくメジャーリーガーを目指し、笑
 八嶋智人はバラエティ2本とドラマ1本の仕事を獲得した!笑

 ドラマではない現実の人物に目を向ければ、
 三原じゅん子は国会議員になり、カトちゃんは80歳になって若い嫁をもらった。

「未来の可能性はいくらでもある」
「人の選択肢は無限で、人はいくらでも変わることができる」
 これが作品のメインテーマだろう。

 あとは生きていくために必要な姿勢。
「少しのズレなら許して寛容になりましょう」
「分類するのはやめましょう」
 など、ミュージカルパートで描かれたテーマだ。
 要は「こだわりを捨てろ」ってことでしょうか?
 こだわって何かに囚われていると前に進めない。
 結果、いつまでたっても変わることができない。

 そして、中学の卒業式の時に市郎が生徒たちに語った言葉!
「お前らの未来は面白れえから!」

 春になって温かくなりましたし、面白い未来のために一歩踏み出しましょう!

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「不適切にもほどがある!」~もっこり少年隊、ポロリっ子クラブ、チョメチョメガールス、昭和のテレビにはパワーがあった!

2024年02月16日 | その他ドラマ
 さて本日は『不適切にもほどがある』(TBS系22時)が放送される!
 1月期の民放ドラマではこれが一番面白い。
 脚本は宮藤官九郎。
 令和にタイムトリップした昭和のおっさん・小川市郎(阿部サダヲ)は今回何を語るのか?

 第3話は「令和のテレビ」と「昭和のテレビ」が題材だった。

 令和のテレビ
 番組プロデューサー栗田一也(山本耕史)は急きょ司会になった八嶋智人(本人)にこう指示する。
「ソツなく淀みなく爪痕を残さないでください」笑
「ネットニュースにならなく済んだら八嶋さんの勝利です」笑
「そこは切り抜きされてネット記事にされます」笑
「無味無臭の情報を伝える番組なんです」笑
「髪切った? はセクハラになるからダメです」
「ヤシマンは八嶋さんが言うと、いやらしくなるからやめて下さい」笑
「茨城の行方(なめかた)は八嶋さんが言うと、いやらしくなるからやめて下さい」笑
「コロッケの中身がトロトロ、稲庭うどんはシコシコはやめて下さい」笑
 自称〝何とかする男〟〝テレビ界でしれっと生き抜いて来た男〟八嶋智人は必死に対応するが、
 結局、ADからこんなカンペ。
『CM明け 謝罪お願いします』笑

 昭和のテレビ
・番組名は『早く寝ナイト チョメチョメしちゃうぞ』笑
・アシスタントは『もっこり青年隊』『ポロリっ子クラブ』笑
・出演者は『チョメチョメガールズ』笑
・番組内での企画は女の子たちがまわしを締めておこなう『勝ち抜き食い込み相撲』笑
・番組司会はスカートの下から登場する通称ズッキーこと鈴木福助( 秋山竜次・ロバート)笑

 ふたつの番組とも誇張されているが、上手くポイントを突いている。
 令和のテレビは「コンプライアンス」と「炎上」を恐れてガチガチ。
 昭和のテレビは「何でもあり」。女の子もこれを受け入れ、楽しんでいる。

 そしていきなり始めるミュージカルシーン!

 セクシャル・ハラスメント・No.1(YouTube)
 桑名正博か! 布袋寅泰か! NOT YOU(ノチュー)笑

 Everybody Somebody's Daughter(YouTube)
 クイーンかよ! でも今プライアンスのガイドラインを教えてくれる。

 それにしてもここまでブッ飛んでいると面白い。
 さすがクドカン!
 これは僕が若かったからかもしれないけど、昭和の方が社会にパワーがあった気がする。
 あれをしてはダメ、これをしてはダメでは社会が閉塞する。
 無菌状態では免疫がなくなって人は弱くなる。
 こう考えてしまうのは僕が昭和世代だからだろうか?

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不適切にもほどがある~ホワイト化した令和で昭和のおっさんが暴れまわる! こんなことしてるから経済が成長しないんだよ!

2024年02月01日 | その他ドラマ
 セクハラ、パワハラ、モラハラ、コンプライアンス──令和はホワイト化の時代だ。
 そんな令和に昭和のおっさんがタイムスリップしたら……。

 これが宮藤官九郎・脚本の金曜ドラマ『不適切にもほどがある』(TBS系金曜22時)である。

 昭和のおっさん、教師の小川市郎(阿部サダヲ)は何を叫んだか?
「キンタマついてんのか!?」
「男のくせに女の腐ったみたいなことしやがって!」
「よけるな、サル!」
「おい、メガネ!」
 今の時代、完全にNGである……。笑

 野球部の練習では「ケツバットするぞ」「水飲むな」笑
 娘に対しては「チョメチョメするな」「ニャンニャンするな」笑
 やさしく寄り添うことに対しては「拳でわかり合うんだよ!」笑
 …………………………………………………………

 確かに。
 昭和ではこれらの言葉が当たり前に使われていた。
 こうして言われてみると、令和の時代が「無菌化」「ホワイト化」していることがわかる。

 パワハラを気にして強く叱れない会社員に対しては、
「こんなことしてるから経済が成長しないんだよ!」
 ファミレスでロボットが料理を運んでいるのを見て、
「挙げ句の果てにロボットに仕事を奪われてるじゃないか!」

 なるほどな。

 ドラマでは令和から昭和にタイムスリップした親子が登場するのだが、
 令和に戻りたくない中学生・向坂キヨシ(坂元愛登)はその理由をこう語る。
「昭和のテレビならおっぱいを見れる!」笑
 確かに11PMとか、昭和のテレビはそうだった。

 さて、コンプライアンスに挑戦したこの作品、どのように評価されるのだろう?
 共感を呼ぶのか?
 時代遅れのおっさんのノスタルジーで終わるのか?

 確かに、ホワイト化され過ぎた社会は息苦しいのだが……。

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「さよならマエストロ」~やはりオーケストラものは面白い! 當真あみさんはぶっ飛んだ天才女子高生役!

2024年01月28日 | その他ドラマ
 日曜劇場「さよならマエストロ」(TBS系 日曜21時)が面白い。
「のだめ」「リバーサルオーケストラ」──オーケストラものにハズレはない。

 物語は市民オーケストラの再建もの。
 残された期間は3ヶ月。
 その中で成長していく楽団員と、集まってくる優秀な演奏者たち。
「リバーサルオーケストラ」と同じやないかい! とツッコミたくなるが、ここはスルーしておこう。

 何しろ今作には「當真あみさん」が出ているのだ!
「最高の教師」で共演した芦田愛菜さんとまたもやいっしょなのだ!
 脚本は當真さんも出演した「妻、小学生になる」の大島里美さんなのだ!

 今回の當真あみさんの役は「ぶっ飛んだ女子高生」谷崎天音(たにざき あまね)役。
 今まで内向的な優等生的な役が多かったのでめずらしい。

 どんなふうにぶっ飛んでいるかと言うと──
・楽譜が読めず、楽器が出来ないのにオーケストラに入団したいと志願する!
・指揮者をやりたいから楽器ができなくても平気でしょ? と言ってのける。

 きっかけは前回の演奏会で、市民オーケストラの演奏する「運命」を聞いたこと。
 それ以来、天音はクラシックの虜になって、クラシックを聴きまくった。
 クラシックで一番好きな曲はヨハンシュトラウス2世の「皇帝円舞曲」。
 ただし、ヨハンシュトラウス2世の「2世」を「によ」と読んでしまう←おバカ!

 しかし彼女は音楽の天才なのだ。
 まず楽器が出来ないのにオーケストラに入りたいと言ってしまう所がすごい!
「運命」をちょっと聴いただけでクラシックの虜になってしまう所がすごい!
 西島秀俊さんの主人公の指揮者に「なぜ指揮者になりたいのか?」と尋ねられると、
「この音楽になりたいから」と答える。
 そして、さらにすごいのが──
「タンタタンタンタン♪」
「ターラターリラリラン♪」
「パパパパパパパパパーン♪」
「タラララントゥラントゥラン♪」
 何と「皇帝円舞曲」を聴いて個々の楽器の音を聞き分けていた!
 聞き分けていた楽器は「チェロ」「ファゴット」「フルート」「オーボエ」。そして「スネア」まで!
 普通の人はまず主旋律に耳が行くのに彼女は副旋律まで聴いていた!
 主人公の指揮者は「彼女は面白い。未来の指揮者になるかもしれない」と語る。

 上手い人物造形だ。天音の天才ぶりがよくわかる。

 主人公の指揮者は「指揮者になるには演奏者の気持ちを理解することが必要」と語って天音に下手でも何か楽器をできるようになることを要求する。
 すると天音はすぐにそれを受け入れて、オーケストラで一番目立っているからという理由で楽器の中でも特に難しい「バイオリン」を選ぶ。笑
 まあ、當真あみさんの特技はバイオリンなので役柄的には大丈夫なんですけどね。

 というわけで、當真あみファンにとっては「さよならマエストロ」は神ドラマ!

 その他、出演するのは──
・ヒロインで芦田愛菜さん
・問題を起こすフルート奏者役で新木優子さん
・トラウマを持つティンパニー奏者役で、「りんくま」こと久間田琳加さん
・謎の行動をとる主人公の妻役で石田ゆり子さん
 これまた好きな女優さんばかりなので楽しみだ!

コメント (2)
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冬ドラマ、中堅女優さんの活躍がすばらしい!~小池栄子、木南晴夏、菅野美穂、多部未華子、黒木華

2023年12月15日 | その他ドラマ
 冬ドラマも終盤。中堅女優さんの作品が面白い。

「こたつがない家」~小池栄子さん
「ゆりあ先生の赤い糸」~菅野美穂さん
「いちばんすきな花」~多部未華子さん
「セクシー田中さん」~木南晴夏さん
「下克上球児」~黒木華さん

「こたつがない家」の小池栄子さん
 癖のある演技をする吉岡秀隆さん、小林薫さんを相手に丁々発止のやりとりはお見事。
 あのリズム感、押し引きの巧みさ。
 作間龍斗さん(「どうする家康」の豊臣秀頼)やホラン千秋さんの魅力も上手く引き出している。

「ゆりあ先生」の菅野美穂さん
 たくましい女性と共に、若い恋人との揺れる思いを的確に表現している。
 艶っぽさもあった。

「いちばんすきな花」の多部未華子さん
 少し間違うとリアリティをなくしてしまう難しい役を見事に表現。
 この作品の世界観は、多部さんと松下洸平さんがいなければ成り立たなかったと思う。

「セクシー田中さん」の木南晴夏さん
 現実不適応のアラフォ女性を見事に表現。
 今回はシャイな役ということで受ける芝居に徹しているが、受けた時の返しが見事。
 相変わらずの見事なコメディエンヌぶりだ。
 今作で僕は生見愛瑠さんを見つけたが、木南さんがめるるの魅力を引き出した気がする。

「下克上球児」の黒木華さん
 主役ではないのだが、黒木さん演じる「野球バカ」の山住先生がいなかったら、
 今作は薄っぺらい作品になっていただろう。
 黒木さんはどこにでもいるような普通の女性を演じさせたらピカイチだし、
 とにかくさまざまな役をこなせる。
 引き出しの多い女優さんだ。

 現在のドラマ界、中堅女優さんたちが充実した仕事をしている。
 彼女たちが出ている作品は安心して見ていられる。
 奥行きがある。
 相手の芝居を受けて、プラスアルファの味を出して返せる。
 次はどんな芝居を見せてくれるんだろうと期待してしまう。

 逆に若手女優さんはまだまだかな……。
 平手友梨奈さんも広瀬アリスさんも好きなんだけど挫折してしまった。
 まあ、僕がおっさんになっただけかもしれないが。


※追記
 視聴者やドラマ製作者が中堅女優の魅力に気づいた作品はおそらく「ブラッシュアップライフ」。
 脚本がしっかりしていれば、地味系の中堅女優さんでも作品が成り立つことが証明されたのだ。

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「らんまん」最終回~オタク、妻、母、実業家──寿恵子を演じきった浜辺美波さん、お見事でした!

2023年09月30日 | その他ドラマ
 朝ドラ「らんまん」が最終回を迎えた。
 万太郎(神木隆之介)を始めとする登場人物たちが花を咲かせる物語だった。
 万太郎は3200種あまりを紹介した「植物図鑑」をつくり、全国に植物愛好者を育てた。
 綾(佐久間由衣)と竹雄(志尊淳)は新しい酒「輝峰」をつくった。
 波多野泰久(前原滉)は「イチョウの精虫」を発見し、
 藤丸次郎(前原瑞樹)は細菌学・醸造学を切り拓いた。
 その他、万太郎の周囲の人々はそれぞれに花を咲かせた。
 撒いた種は花となるのだ。
 まさに「らんまん」!
 ……………………………………………………………

 そんな中、抜群の存在感を見せたのが万太郎の妻・寿恵子(浜辺美波)だろう。
 寿恵子は当初、「八犬伝」オタク、「滝沢馬琴」推しとして登場した。
「八犬伝の剣士たちの活躍を見守る野原の草になりたい」と話すようなオタクぶり。
 これで視聴者の心を掴んだ。
「八犬伝」オタクはさらに加速し「自分も冒険の旅に出たい!」と言い出すことに。
 結果、ドレスを着て鹿鳴館デビュー。
 そして万太郎と出会い、次のような夢を抱くようになる。
 滝沢馬琴が盲目になっても「八犬伝」を書き上げたように、万太郎に日本全国の植物を収録した「植物図鑑」を完成させてほしい!

 このあたりから寿恵子は現実的になり、夢が具体的になっていく。
 万太郎の夢のために内職をし、質屋通い。
 峰屋に託された1000円を惜しげもなく石盤印刷機購入に充てる。
 新橋にある叔母の料亭で中居として働き、
「八犬伝」講談で政府や財界の要人の人気者になり、渋谷に料亭を開く。
 関東大震災などもあって渋谷は注目される街になり、店は大繁盛。
 しかし、万太郎が標本を研究に没頭できる場所、膨大な標本を保管できる場所を確保するために渋谷の料亭を売り、大泉に引っ越し、植物研究所をつくる。

 寿恵子、あっぱれ! 豪傑である!
 寿恵子だけでもひとつのドラマが成立しそうで、寿恵子が第二の主人公と言われる理由はここにある。

 そして、ここで注目したいのが浜辺美波さん。
・八犬伝オタク
・自分も冒険の旅へ、と考えてしまう空想と現実の区別のつかない女の子
・内職、質屋通いする妻
・二男二女の母
・職業婦人、実業家

 これだけの人物を見事に演じ分けた。

 これまで僕は役者・浜辺美波さんをそんなに評価していなかった。
 演じる女の子は探偵であっても、医者であっても、復讐する女性であってもどれも同じ。
 どれも「浜辺美波」が見え隠れする。
 だからかつらとコミック的なキャラクターで「浜辺美波」を消せる「賭ケグルイ」は浜辺美波作品の中で唯一面白かった。
 しかし、今回の「らんまん」では見事に寿恵子を演じきった。
 特に9/22(金)の万太郎の肩に寄りかかる寿恵子は見事だった。
 背中と表情で、これまでふたりが歩んで来た歴史とふたりの愛情を表現していた。
 この肩に寄りかかる寿恵子は最終回のラストカットでも見られる。

 偉そうに語ってしまうが、「らんまん」は浜辺美波さんを開花させた気がする。
 浜辺さんの次回作が楽しみだ。


※関連記事
「顔に特徴がない」「不器用がすぎる」浜辺美波が乗り越えた2つのコンプレックス《『らんまん』視聴率トップに立つまで(文春オンライン)
 同じようなことを考えていた人がいました。

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朝ドラ「らんまん」~万太郎の「植物論」と「自由民権思想」がリンクした! 

2023年04月30日 | その他ドラマ
 朝ドラ「らんまん」。
 植物学者・牧野富三郎(ドラマでは槙野万太郎)の話だ。

 そこで万太郎(神木隆之介)が高知の自由民権運動の運動家・早川逸馬(宮野真守)と意気投合するシーンがある。
 雑草をめぐる議論だ。
 演説で、逸馬は自分たちを「雑草」のように扱う明治政府への憤りを語る。
 それに対し、万太郎は「それは違う!」と叫ぶ。
 何が違うのか? と逸馬に問われてると、万太郎は雑草について語り出す。

「名も無き草なんてこの世にはないき。
 人はその名を知らんだけじゃ。
 名を知らんだけでなく、毒であるか、薬であるか、その草の力も知らん。
 どんな草やち同じ草はひとつもないき。
 ひとつひとつみんな違っちゅう。
 葉の形、花の形、そしてどこに生きるか、天が決めたかわからんが、ようできとる。
 そして根を張ったら生きるがじゃあ。
 強く根を張って、どの草も命を繋いでいく。
 それで厳しい季節の間も根っこどうし繋がりおうて生きる力を蓄える。
 元気いっぱい芽吹くために!」

 この万太郎の言葉に逸馬は共感する。
 なぜなら万太郎が語ったことは、逸馬が唱える「天賦人権論」「生存の権利」「同志の団結」に通じるものだからだ。

・植物には個性がある=それは人間も同じ。決して「雑草」として一括りにされるべきではない。
・植物には生きる権利がある=それは人間も同じ。「雑草」として蔑ろにされるべきではない。
・植物は自由に種を飛ばしてどこにでも根を張れる=人間もそうあるべきだ。
・植物は生きるために団結する=人間も団結すべきだ。

 面白いですね。
「植物論」と「自由民権運動」がリンクした。
 まあ、人間も植物も生き物である以上、リンクするのは当然なのだ。
 というか、人間の方が自然の法則から逸脱した不自然な存在なのだろう。

 万太郎は「植物オタク」で政治などに興味がなかった。
 でも、植物の知識が政治思想と繋がった。
 ひとつのことを突き詰めていくと、行き着く先は同じなのかもしれない。
 ………………………………………………………………………

 こんな言葉もある。
 家業を存続させるために祖母の命じた結婚に悩む綾(佐久間由衣)に奉公人の竹雄(志尊淳)はこんな言葉をかける。
「綾様の欲は前に進むための力じゃ」

 そうなんですね。
 欲は前に進むための力。
 人は欲ゆえに苦しむのだが、それが生きるということ。
 仏教は悟りの境地に達するために「欲を捨てよ」と教えるが、世俗の人間にはなかなかできない。

 朝ドラ「らんまん」、いろいろ考えさせられることがあって面白い。
 綾役の佐久間由依さん、ヒロイン西村寿恵子役の浜辺美波さんはいい感じ。
 当り役になりそう。
 主人公がマニアックな人間(植物オタク)というのも魅力的だ。

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ブラッシュアップライフ~スウイングする会話! 巧みな伏線! さまざまな遊び! 新しいスタイル!

2023年03月29日 | その他ドラマ
 安藤サクラ、夏帆、木南晴夏がしゃべりまくる!
 後半から水川あさみも参加!
 その他、黒木華、三浦透子、志田未来らが脇をかためる。
 中堅女優大集合の見事なキャスティングだ。

 彼女たちがしゃべるのは──
・『ビーチボーイズ』『ナースのお仕事』など昔のテレビドラマのこと。
・街にラウンド・ワンができたこと。
 これでプリクラやカラオケが出来るようになった。
・最近の同級生の動向。
 誰々がつき合って別れたとか。
・成人式の後、みんなでカラオケに言ったこと。
 その時、同級生の福ちゃん(染谷将太)がレミオロメンの『粉雪』を歌ったか、どうか。
 など、どーでもいいこと。

 この饒舌な意味のないトークが楽しい。
 人はこんなふうにして人生を終えていくのだ。
 同時に随所にくすぐりがあり、役者さんの会話がスウイングして全然退屈しない。
 
 主人公の近藤麻美(安藤サクラ)は来世を人間として生まれ変わるために、
 人生を何度もやり直し、徳を積もうとする。
 徳を積むために麻美が奮闘するミッションは──
・保育園の先生の不倫の阻止。
・同級生の不倫の阻止。
・同級生の福ちゃんがミュージシャンを目指すのを阻止。
・薬の飲み合わせの悪さ指摘して祖父を長生きさせる。
・中学時代の社会科教師の痴漢冤罪の阻止。
 と、まあ、どちかかというと地味なミッション……。

 こんなドラマ世界なのに全10話をイッキに見れてしまうのは、
 役者さんの演技と脚本の力だ。

 遊びも山のようにある。
 3週目の人生で麻美はテレビ局のドラマのAPをやる。
 その撮影現場で、
『Woman』『家売る女』の臼田あさみさん、
 同じく『家売る女』の仲村トオルさん、
『花咲舞が黙ってない』の塚地武雅さんが実名で登場する。
『リバーサルオーケストラ』の撮影で前野朋哉さんが演技しているシーンも出て来る。

 5週目の人生では麻美はパイロットになるのだが、
 航空学校のくだりなどは完全に朝ドラ『舞いあがれ!』?

 そして巧みな伏線。
 テレビのドラマの企画会議で、
「不倫を阻止するというドラマは地味だ」
「もっとたくさんの人を救う内容に出来ないか」
 という会話が出るが、それが後の伏線になったりする。

 実に新しいドラマだった。
 脚本はバカリズムさん。
 お見事です!

 日テレの日曜ドラマ枠は実験的な作品が多いが、
『ブラッシュアップライフ』はまさにそれ。
 新しい試みをいろいろしている。
 次作はオードリーの若林さんと南海キャンディーズの山里さんのドラマらしい。
 どんなドラマを見せてくれるのか?


※追記
 カラオケで『粉雪』を歌う加藤君がジワる……!

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舞いあがれ!~柏木の告白シーンに、おっさん萌えた! 確かにこれは舞から仕掛けている!

2022年12月07日 | その他ドラマ
「俺、朝倉のこと、好きだ」

 ついに言ってしまった!
 夜、真っ暗な机の下で──
 月曜日は、「俺、朝倉のこと……何でもない」でスルーしたのだが、
 本日(水曜日)でついに告白!

 机の下での告白は、守衛さんから隠れるためであったが、ドラマ史上に残る告白かも?
 告白されて久留美(山下美月)に相談する舞(福原遥)が可愛い!

 一方、「朝イチ」での朝ドラ受け。
 華丸さんが「舞が仕掛けていった説」を披露。
 その作戦とは──
・柏木(目黒蓮)の学生寮の一人部屋に訪ねて行く。
・顔を下からのぞき込む。
・ノートを忘れる。
・ブリーフィングルームの机の下に隠れていて引っ張り込む。

 
 ※下からのぞき込む舞

 まあ、舞のやったことは、相談、天然、守衛から隠れるためなのだが、
 柏木に告白させるために無意識にやっていると言っても過言ではない。
 ぜひ、『あざとくて何が悪いの?』の田中みな実さんの意見を聞きたい所だ。
 現に僕も舞が下から覗き込んだ所でドキッ! とした!
 あんなふうに覗き込まれたら惚れてしまうだろう!

 大吉さんも朝ドラ受けでいはく、
「前から思ってたけど、舞ちゃんパジャマでうろつきすぎよ。好きになっちゃうでしょ」
 正確に言えば、部屋着だが、あの恰好でウロウロされたらねえ。

 華丸大吉さん含め、全国のおっさんたちがキュンキュンした朝だった!

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舞いあがれ! ~「岩倉、俺、お前のこと……」来週に続く。さて柏木は舞に何を語るのだろう?

2022年12月02日 | その他ドラマ
「岩倉、俺、お前のこと……」

 ワールドカップ、スペイン戦勝利で盛り上がる中、
 朝ドラ『舞いあがれ!』も盛り上がっている!

 何と柏木(目黒蓮)が舞(福原遥)に告白!?
 でも、放送は「岩倉、俺、お前のこと……」でカットされて、次に何を言うかは週またぎ、
 来週なのだ!
 柏木、何て言うんだろう?
 普通なら「岩倉、俺、お前のこと好きだ」になるんだけど、
 ツイッターでは「岩倉、俺、お前のことバカにしてた。ごめん」と考える人も。
 んで、舞が「告白と違うんかい!」とツッコむ! ←んなわけない。
 あるいは、こんなツィートも。
「俺、お前のこと、航空学校のお母さんだと思ってる」笑
 上手い!
 確かに、舞はその穏やかな物言いで隠されているが、
 基本「おせっかいな大阪のおばちゃん」だからなあ。
 ツイッターでは大喜利が始まりそうだ。

 昨日は目を閉じて、ダンボールの操縦桿をふたりでつかんで、着陸のイメージトレーニング。
「支えて、支えて、機軸を直して」
「うん、そのまま、そのまま」
「……できた」
「うん、できた」
 このシーンを見て、エロい妄想したのは僕だけではないだろう←これだから、おっさんは困る!

 いずれにしても青春だねえ。
 パイロットになるためにがんばる若者たち。
 それぞれが抱える不安と葛藤。
 そんな中、生まれる友情と恋愛感情。
 ベタだけど、いい青春ドラマだ。

 柏木は自信過剰で心を閉ざした男。
 他人を下に見て、自分の領域に入って来るとハリネズミのように針を立てる。
 でも実は孤独と不安で押しつぶされそうになっていた。
 そんな柏木を心配して舞が声をかける。
「けど、パイロットは一人で空を飛ぶわけやないですよね」
「わたしたちは空を飛ぶために、ここに来たんですよね」
 染み込んでくる舞の言葉。
 こんな女の子がそばにいたら好きになるよなあ。
 特に柏木は恋愛の免疫がなさそうだし。
 そして、デレる!

 いやあ、青春ドラマですなあ。

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