平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

冬のソナタ 第1話

2007年09月30日 | テレビドラマ(海外)
 第1話「出会い」

 メインモチーフは『心を閉ざした青年が明るい女の子によって心開かれる』。
 カン・ジュンサン(チュンサン)が最初に笑うシーンがある。
 放送室、レコードにあわせて踊っているチョン・ユジン。
 彼の孤独な心に差す光。

 チュンサンはハリネズミの様に防御する。
 オ・チェリンに「私のことが好きでしょう?つき合ってあげてもいいわよ」と言われるとこう返す。
 「面白い人だ。そういう想像力は他で使いなさい」
 酔っぱらいにからまれたユジンには
 「君じゃなくても助けた」
 父親のことで敵意を持つキム・サンヒョクにはバレーボールで争う。
 触れれば傷つけられ逆襲されるチュンサン。あまり近づきたくない人物だ。

 そんなチュンサンにユジンはまず反発する。
 「あんな嫌なやつ」と思いながら、関わってしまう。
 ピアノの試験。「チュンサンは転校生だから」と言って助ける。
 反発しながらひかれ合ってしまうのは『運命の恋』だから?
 恋にはミステリアスな要素が必要。
 チュンサンの心の中に抱えているものを知りたくてユジンは関わる。

 このピアノのエピソードは発展する。
 酔っぱらいに助けられたユジン。
 「借りを作るのは嫌なの」とチュンサンにピアノのレッスン。
 しかしチュンサンは彼女よりピアノがうまくて。
 「ピアノ弾けないって言ってなかった?」と怒るユジンにチュンサンは言う。
 「弾けないとは言っていない」
 ここまで来るとユジンはくらくらだろう。
 「こいつのことが気になる。こいつのことが知りたい」という気持ちになる。
 また放っておけなくもさせる。
 湖。影の国の話をしたチュンサンにユジンは言う。
 「友達を作るには一歩踏み出さないと」
 チュンサンは(本人は意識していないだろうが)なかなかの恋愛巧者だ。
 この恋愛巧者ぶりは後のイ・ミニョンに引き継がれる。

 「冬のソナタ」は女性に人気があるが、どうしてなかなか男性必見の「恋愛教科書」だ。
 それはチュンサン、優等生のサンヒョク、お調子者のヨングクの3人の男を比べてみればわかる。
 ユジンがサンヒョクでなくチュンサンを選んだかを考えるとわかる。
 チェリンも教えてくれる。
 「男は知性、野性、感性よ」
 野性というのはセックスのことだろうが、チュンサンは現状では「知性」「感性」は兼ね備えている。

※追記
 この作品は小道具の使い方がうまい。
 第1話では
・ケガの絆創膏……これでチュンサンとユジンの間に何かがあったとまわりに思わせる。またバスのシートの綻びを直す役割もした。
・破れた写真………ユジンのアルバムには破れていない同じ写真があり、後の展開に繋がる。

※追記
 ピアノと同様のものに塀のエピソードがある。チュンサンはピアノを見事に弾いたように塀を軽々と乗り越える。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ファーゴ

2007年09月29日 | 洋画
 この物語は「1987年ミネソタ州で実際に起こった事件」を元にしているもだそうだ。
 そして現実の方がどんな作り物のホラー・サスペンス映画より怖いということがわかる。
 現実は無秩序でメチャクチャで、論理的なものでないことがわかる。

 ジェリー・ランガード(ウィリアム・H・メイシー)の考えた犯罪。
 妻を偽装誘拐して妻の父親から大金をせしめる。
 ジェリーは気の小さい自動車修理・販売会社の営業部長で大それた犯罪を起こせる男ではないが、頼んだ相手が悪かった。
 「神経質に喋り通しの変な顔の男カール(スティーヴ・ブシェーミ)と一言も喋らない凶暴そうな大男グリムスラッド(ピーター・ストーメア)」。
 彼らがジェリーの計画をメチャクチャにし傷口を大きく拡げる。

★まずは車のナンバーのつけ忘れ。
 これでパトロール警官に呼び止められ、無口な大男が警官を射殺。
 たまたま通りかかって警官殺しを目撃した夫婦も射殺。
 この場面まで大男は何もしゃべらず、ちょっと変な男というイメージだが(「パンケーキ」に異常な執着を見せたりする)、いきなり3人を射殺。
 変な顔の男が「何てことをするんだ?」とうろたえる凶行を行う。

★事件はさらに発展する。
 金の目途が立ちジェシーは誘拐計画の中止をしようとするが、男たちとは連絡がとれない。
 男たちは白昼堂々、窓ガラスを怖し家に入り込み、妻を誘拐する。(このひと目をはばからない白昼堂々というのが怖い。作り物のホラー・サスペンス映画なら、密かに夜に行う。ジェシーの連絡がとれず犯行が行われてしまうというのも現実の非論理性を感じる)
 誘拐された妻は車から出されると、目隠しされたままバスローブ姿、はだしで雪の上を逃げまどい、男たちに笑われる。(このある種滑稽な残酷)

★そして事件はさらに発展する。
 金の受け渡し。
 妻の父親が行くことになるが、やりとりから父親は殺され、変な顔の男も反撃を受け、あごを撃たれる。
 あごを撃たれた男は血を流して逃走し、不審に思った駐車場の料金係も撃たれてしまう。
 ここまでで怖いのはジェシーの思いつきの誘拐計画が、どんどん大きな殺人事件に発展していくことだ。ジェシーは「殺人を起こしてしまったため逃走資金をさらに寄こせ」と男たちから迫られる始末。

★殺人はさらに発展する。
 雪の寒さの中で監禁されていた妻は死亡。
 変な顔の男は金の分配のことで争い、大男に殺される。
 大男は殺した男を大木もおがくずに変えるウッドチョッパーに変な顔の男を入れて……。

 ホラー・サスペンス映画でも連続殺人は描かれるが、モンスターや犯人はある意思に基づいて行っている。憎しみとかお金のためだとか。
 しかし、ここで描かれている連続殺人は、行き当たりばったり。
 キレたり、自分に降りかかる災難を振り払うためであったり、即物的。
 それが怖い。
 ラスト・大男は警察に捕まるが、警察官マージにこう言われる。
 「理解できないわ」
 理解できない事柄で7人もの人間が殺される。
 この怖さ。
 現実はフィクションより怖い。

※追記
 「理解できない」象徴なのが無口な大男。
 誘拐した妻が死んでいるのに平然とお菓子を食べてテレビを見ている。
 何がそこまでさせるのかわからないまま、ウッドチョッパーに殺した男を入れてこなごなにする。
 怒ったり泣きわめいたりしてくれた方が怖くない。
 大男は心を閉ざした男、感情・感覚を失った男。
 どこかのスイッチが入ると狂気に走る男。
 怖ろしいモンスターだ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相棒 「せんみつ」

2007年09月28日 | 推理・サスペンスドラマ
 視聴者に示される事件の情報は次の様なもの。(公式HPより一部抜粋・加筆)

★12億円の宝石強奪事件。
★空き巣の常習犯。千に3つしか本当のことを言わない嘘つき=“せんみつ”の槇原(平田満)が、奥多摩の別荘に侵入して捕まった今回ばかりはなぜか素直に罪を認めている。
★右京(水谷豊)、細かい質問を繰り返し証言のほころびをつく。
 槇原は冬を三食付きの刑務所で過ごすためにわざと捕まったという。
 しかしもし槇原が捕まれば、一冬じゃ済まない。3年から4年は喰らう。
 槇原は何かを隠している。
★薫(寺脇康文)と美和子(鈴木砂羽)、産廃場で男の他殺体を発見。
 槇原重要参考人に。
★右京の疑問。
 槇原が殺人犯だとしたら、現場近くの別荘に侵入などせず、さっさと遠くへ逃げたはず。
★殺害現場からは槇原の指紋も発見されず、逆に被害者が12億円宝石強奪事件と関係があることが判明。
★現場近くにある高森酒造の倉庫。
 そこには2011年の熟成を待つ酒樽と高額のワインが保管されていた。その樽は現在個人オーナーを募集中、2011年の熟成を待って、初めてオーナーの手で樽は開封される。
★殺された男がかつて高森酒造に勤めていたが、素行不良で解雇された本脇(川瀬陽太)と判明。しかも髪の毛から川瀬は12億円宝石強奪事件の一味。
★槇原は事件のあった日から何度も愛人に電話をかけようとしていた。
 それは高森酒造の樽のオーナーになる様指示する電話応募。

 さて、ここで視聴者は試される。
 ここに示された事実から犯罪の全貌をどう再構築するか。
 事実のひとつひとつはジグソーパズルのパーツ。
 これを組み合わせてどんな一枚の絵にするか?

 一枚の絵はこうだ。(以下ネタバレ)


「実は槇原は高森酒造の高級ワインを盗もうとしていた。
 しかし、殺された男が盗んだ宝石を独り占めしようと樽の中に隠すところを偶然目撃してしまい、殺されるところも見てしまった。
 槇原は宝石強盗から追われる身に(免許証を落としてしまった)。
 そこで槇原は別荘に侵入し、わざと身の安全を守るため、わざと逮捕されたのだった。
 そして5年後の2011年、オーナーとなった樽から12億円の宝石を取り出すために」

 見事ですなぁ。
 推理ドラマの作り手は恐らくこんなふうに作品を作っているのではないか?

★犯人の行動を作る。(犯したミスも含めて)
★この行動の一枚の絵をジグソーパズルのパーツの様にバラバラにする。
 バラバラにして視聴者の前に提示する。

※追記
 それにしても右京さんはすごいなぁ。
 槇原の証言。
 植松(上松)→杉下。
 鶴川    →亀山。
 ですからねぇ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピンクパンサー3

2007年09月27日 | 洋画
 コメディのキャラクターは『ポーカーフェイス』そして『ゴーイング・マイ・ウェイ』。
 様々な困難が襲い来るが、彼らは平然と切り抜ける。
 決して悩んだり困った顔をしない。

 「ピンクパンサー」のクルーゾー警部(ピーター・セラーズ)もそう。
 クルーゾーを憎むドレイファス(ハーバート・ロム)、クルーゾー抹殺を企む。
 まずはクルーゾーのアパート。
 ドレイファスは床に穴を開け、クルーゾーを監視するが、洗濯機の水、床に落ちたケチャップなどで反撃を喰らう。
 この反撃に関してクルーゾーは反撃している意識はない。
 ドイツのビール祭りで世界中の暗殺者から命を狙われる時もそう。
 おっぱいから飛び出る毒針。これでクルーゾーに抱きついて刺そうとするが、クルーゾーはたまたまパンを持っていて難を免れる。毒針女はコケて自分で針を刺してしまう。
 靴にナイフを仕込んだ男も他の暗殺者とどうし討ち。
 この間、やっぱりクルーゾーに敵の意識はない。
 ゴーイング・マイ・ウェイ。自分の職務を忠実に果たしているだけ。 

 宿敵ドレイファスの頭をおかしくさせる時も同じ。
 たまたま打ったクリケットの玉が頭に当たってドレイファスは池に落ちる。
 クルーゾーはクリケットのスティックで助けようとするが、柄が抜けてドレイファスは再び池へ。
 ベンチに座ってドレイファスの気持ちを落ち着かせようとするが、クルーゾーが立ったため、ベンチのバランスが崩れてドレイファスは三度池へ。
 さらに草刈り用のモップがテコの原理で顔に当たり、ドレイファスは四度池へ。
 四度池に落ちるドレイファスのギャグだが、この間クルーゾーはドレイファスのために必死。決して悪気はない。ゴーイング・マイ・ウェイ。
 それがギャグを増幅する。

 最後のギャグは誘拐シーンの聞き取り捜査のシーン。
 ここでは甲冑の鉄球が手にはまり、はずれなくなるという事態がクルーゾーを襲う。
 クルーゾーははずれないので仕方なく、鉄球をつけたまま聞き取り捜査を続ける。
 そして捜査に懸命になるあまり鉄球がついていることを忘れて……。
 手を振り上げて聞き取り相手を鉄球で殴り倒す。
 手を振り下ろして高価なピアノを壊す。
 火のついた暖炉の中に鉄球を入れて熱くなる。(これで鉄球がはずれる)
 あわてて花瓶の中に手を入れて熱くなった手を冷やすが、今度は花瓶が抜けなくなる。
 そこへロンドン市警の警部が来て敬礼。ところが花瓶がはまっていることを忘れていて花瓶がクルーゾーの頭を直撃!
 クルーゾーは倒れ込むが、そこにたまたま猟銃があり暴発。
 暴発した玉はロンドン市警の警部の尻に当たる。
 素晴らしいギャグの連鎖だ。
 この間もクルーゾー、多少困った顔も見せるがゴーイング・マイ・ウェイ。

 クルーゾーは自信家でプライドが高く、自分の道を突き進む。
 そして彼の歩く所、必ず破壊が行われる。
 これが「ピンクパンサー」シリーズのエッセンスだ。


※追記
 あとひとつクルーゾーの特徴をあげると『変装』。
 彼はどこから仕入れてくるのかわからないが、『変装セット』を買い込み変装して捜査を行う。
 007の秘密兵器の様なもので、毎回何が出てくるのか楽しみ。

 あとはフランス語訛りの英語。
 僕にはよくわからないが、英語圏の人には大ウケなのだろう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

セレブリティ

2007年09月26日 | 洋画
 主人公リー・サイモン(ケネス・ブラナー)は40歳。
 旅行ライター。英語教師ロビンの夫。
 このまま終わっていいのかと思っている。
 ロビンとのセックスはきまじめで物足りない。美女と最高のセックスをしたい。
 そこでリーが決心したのは今までの人生を「トイレに流すこと」。
 ロビン(ジュディ・デイヴィス)と離婚をする。
 セレブリティの仲間入りがしたくて芸能ライターになり、自分の脚本を売り込む。
 小説家にもなろうとする。しかし他の圧倒的才能の前に怖じ気づく。批評が怖い。腰を据えて書くことが出来ない。

 ウディ・アレンの主人公たちに共通する「現状に満足できない人間」だ。
 そして彼らはあがく。
 それが悲喜劇になる。
 映画俳優ブランドン(レオナルド・ディカプリオ)への脚本売り込み。
 ブランドンの奔放・無軌道な生活(コカインパーティ)についていけない。自分は彼の様なセレブになりたいが果たしてなれるのか?と思う。
 売り込みの脚本もおざなり。ブランドンはギャンブルやボクシングに興味があるようだ。
 自分の求めた世界が違うのではないかと思ってしまう。
 恋人とも別れた。
 別の女性を好きになってしまう。それは恋人が自分の部屋に移ってきた日。
 恋人は出ていき、彼が腰を据えてやっと完成した小説も海に捨てられる。
 また新しい恋人とも別れてしまう。
 相手を独占した気持ちといっしょにいる時間が楽しければいいじゃないと言う相手。彼は嫉妬し喧嘩してしまう。

 彼は自分の理想の生活を求めて、結局すべてを失ってしまう。
 別れた妻ロビンはニュースキャスターとして成功し、新しい伴侶に恵まれて幸せそうだ。
 この皮肉。
 ラスト「HELP」の文字が描かれた映画の画面を見る彼の表情が何ともフクザツだ。


 ウディ・アレンは「現実に満足できない人間」を様々な形で描いてみせる。
 喜劇・悲劇。
 時には「マッチポイント」の様な殺人事件でも。
 そして、その根底にあるのは「愛を求める孤独な人間」の姿だ。


※追記
 主人公リーと対極にあるのが元妻のロビン。
 彼女は現実を完全に肯定する。
 新しい恋人との結婚。
 彼女は「幸せすぎて罪の意識を感じる。他の人たちは皆迷って孤独なのに申し訳ない」と言って結婚式の当日、逃亡したりする。
 無器用ながらも少しずつ自分を変えて行こうとする。
 セックスへのコンプレックス。
 カトリックの家に育てられ、セックスの最中に考えているのは「磔にされたキリスト」。
 そんな彼女が新しい恋人のためにプロに「男を喜ばせる方法」を習う。
 もともとは学校の教師でニュースキャスターなんかになれないといいながら、人キャスターになってしまう。
 すべてを失う主人公リーとあらゆる者を得ていくロビン。
 ふたりの違いは「現実を幸せに思えるか否か」「無器用ながらも前進していく努力が出来るか否か」。
 この辺に人生を幸せに生きる奥義があるのかもしれない。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シュリ

2007年09月25日 | 洋画
 3つの顔を持つ女(キム・ユンジン)。
★北朝鮮の女工作員イ・バンヒの顔。
★アクアショップ店員イ・ミョンヒョンの顔。
★捜査官のユ・ジョンウォン(ハン・ソッキュ)を愛する女の顔。

 この3つの顔の中での葛藤が物語の核になっている。
 女工作員イ・バンヒは射撃、作戦遂行のプロ。祖国統一のために戦う戦士。
 アクアショップ店員イ・ミョンヒョンはイ・バンヒの表の顔だが、捜査官のユ・ジョンウォンに近づくための手段でもある。彼女はジョンウォンと恋仲になり、捜査情報を入手する。(その方法はサプライズ、意外な方法)
 こうした中、物語は展開。
 彼女はジョンウォンのことを本当に好きになってしまう。
 それは任務にも影響し、ジョンウォンを撃つことができない。
 ラストのCTXによるスタジアム爆破のテロの情報もジョンウォンに伝えようとする。

 この物語が魅力的なのは、彼女が3つの人格の中で引き裂かれているということだ。
 彼女ほどではないが、人は様々な人格の中を生きている。
 会社での顔、家庭での顔、友だちの間での顔……。
 そしてどの顔が本当の自分なのかを模索している。
 以前ならお父さんは会社での顔が、自分の顔だと胸を張ることができたが、今はそうではない。
 会社員としての顔に迷っている。
 現在の自分に居心地悪さを感じている。
 そんな情況を極端に押し進め、政治状況と組み合せてドラマにしたのがこの作品だ。
 主人公は女工作員イ・バンヒの顔に違和感を覚え、ジョンウォンとの関係に本当の自分を見出す。
 ラスト主人公はジョンウォンにメッセージを残す。
「この一年がわたしのすべてでした。
 イ・バンヒでもイ・ミョンヒョンでもなく、ありのままの自分でいられました」

 エンディングで流れる歌もテーマを補う。
「夢を見る時、あなたの夢を見るの。夢が真実になると思うから。あなたの傍にいられると思うから」

※追記
 主人公を演じたキム・ユンジンさんは僕の大好きな女優さん。
 海外ドラマ「LOST」でファンになった。
 アクアショップ店員の日常と女工作員の非日常を見事に演じ分けていた。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シティヒート

2007年09月24日 | 洋画
- goo 映画

 この作品は冒頭のシーンがいい。

 あるカフェに入ってくるスピア警部(クリント・イーストウッド)。
 街の娼婦たちが店を出て行く。
 店主は「長居されてて困ってたんだよ」とスピアに。
 このやりとりだけでスピアが警察官だということがわかる。
 普通なら「やあ警部、いらっしゃい」とでもいうせりふで説明する所だろうが、それをしないで説明している。
 そこへやって来るチンピラ。
 「マイク・マーフィーは来てないか」と店主に問う。
 新たな展開だ。
 マーフィ(バート・レイノルズ)はギャング組織とトラブルを抱えているらしい。
 そしてやって来るマーフィー。
 いきなりチンピラふたりと殴り合いを始める。
 マーフィは苦戦するが、スピアは黙ってコーヒーを飲んでいるだけ。
 止めようとも助けようともしない。
 このリアクションでスピアのキャラクターがわかる。
 苦戦しているマーフィはスピアに言う。
 「知らない仲じゃないんだから、見てないで助けろよ」
 これでマーフィとスピアが知り合いであることがわかる。
 しかし、こう言われても助けないスピア。
 これでふたりの間に何か因縁があることがわかる。
 
 多くを語らないで見る者に想像させる。
 見事な人物関係描写だ。
 結局、スピアはチンピラにコーヒーをこぼされて戦いに参加する。
 スピアが戦ったのは穏やかなコーヒータイムを邪魔されたから。
 見事なキャラクター描写だ。

 こういう緊張感と密度のある1シーンを見せられると、ワクワクしてくるのだが、よかったのはこのシーンのみ。
 物語は裏帳簿をめぐる街の2大ギャングの争奪戦にふたりが絡んでいく展開になるのだが、冗長。
 この作品の製作は1985年。
 今のテンポに比べると遅く映像の迫力も違う。

※追記
 「フェーム」のアイリーン・キャラが歌手役で出ていた。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

野中弘務 出るトコ出ましょ!

2007年09月23日 | キャラクター
 キャラクター・ドラマ。

★野中弘務(谷原章介)がいい。
 有能な弁護士なのに女子高生マニア。
 女子高生ビデオをコマ送り見る。
 制服を見ただけでどこの制服か言い当てることができる。
 制服と引き換えに依頼を受ける。後藤田正美(小池栄子)のセクシー攻撃よりも有効。
 女子高生フィギュアに20万円!?
 こんなに女子高生が好きなのは「少女から女に変わる一番美しい時期」だから。

 しかしこれだけだとキャラとして弱い。
 彼は拝金主義者。
 弱き者、正義のための仕事よりはお金になる仕事を受ける。
 そうなった理由は父親にある。
 父親が弱き者、正義のために闘った結果、母親が十分な治療も受けずに癌で死んでしまった。
 その悔恨が野中にはある。

 このことで野中のキャラが深くなった。
 野中は正義を否定しているが、心の奥底では否定しきれないでいる。
 愛情もある。
 借金の保証人になってしまったために店を失ってしまった食堂の親子。
 彼らのために野中はワゴン車を用意した。

 表に出ている顔の理由。
 表に出ている顔とは別の裏の顔。
 これらを描き切るとキャラが深くなる。

★亀井静はノーマルなリアクションをするキャラだが、水中微生物には造型が深く「大都会」(←下手)がカラオケ十八番らしい。
 ノーマルなキャラでもちょっとした味付けをすることで魅力的になるいい例だ。
 コーヒーメーカーに大量のコーヒー、それに砂糖入れてしまうこと。コピーとシュレッダーを間違えてしまうことは愛嬌。
 事件に首を突っ込むことで物語の推進役、野中のヘンタイにリアクションするツッコミ役の役割も担っている。
 野中を説得する武器(=闘う手段)が制服だけ、やたら「普通、普通」と言われるのも面白い。


※追記
 ドラマは困っている人を見ると放っておけない亀井静(堀北真希)が事件に首を突っ込み、野中が助けるという図式。(野中は静のにおいを嗅ぎわけられるらしい・笑)
・借金保証人の親子
・芸能事務所詐欺(契約書が違っていることで解決)
・中国結婚詐欺(紹介料、結納金、病気の母などで金を取る詐欺)
 の3つの事件を解決した。
 事件の解決の仕方は安易だが、これはキャラクタードラマ。
 これでいい。

※追記
 野中、亀井、後藤田、麻生、小泉……。
 ビミョーに下の名前の漢字が違うが、大丈夫なのだろうか?
 麻生小太郎(温水洋一)の登場はタイムリー。温水さん、おいしい。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プリズンブレイク シーズン2 第18話

2007年09月22日 | テレビドラマ(海外)
 第18話「帳消し」WASH

★みんな幸せになるために闘っている。
 今回のサブエピソードのシーノートとスクレ。

 シーノートは娘を救うために捕まりマイケル逮捕の協力をする。
 それはマイケルの指定した掲示板へのかき込み。
 しかしマイケルは証拠の音声のことで忙しく掲示板を見ることが出来ない。
 マイケルを追いつめたこともあり、ビル・キムは役に立たないシーノートを殺すことをマホーンに指示する。
 「自分の指示に従わなければ、妻は再び拘束され娘は治療が受けられない」と脅迫してシーノートに小包を送りつけるマホーン。
 小包の中に入っていたのは、首吊り用のロープ。

 スクレはメキシコの叔母の家でマリー・クルーズとベッドの中で過ごす。
 お腹の子供を気遣いながら、マリー・クルーズを抱くスクレ。
 彼女が傍にいることとお腹の子供のことで幸せいっぱい。
 しかしそんな彼にベリックが迫る。

 このふたつのエピソードで描かれているのは、「ふたりとも幸せになるために闘っている」ということだ。
 彼らの幸せとは家族。愛する人たち。
 それを自らの欲のために引き裂こうとしている権力者たち。
 せつなさと怒りをこのエピソードを通して感じさせてくれる。
 「プリズンブレイク」には、このモチーフが全編にわたり貫かれている。

★尾行のまき方
 証拠の音声テープのために前副司法長官だったグリーンに近づこうとするマイケルたち。
 グリーンに赤のネクタイと青のスーツを着せて公園に呼び出す。
 上着をゴミ箱に捨てさせ、噴水の中に入るように公衆電話で指示。
 すべて盗聴器を使えなくするためだ。
 そして通りすがりの子供を通じて携帯電話を渡して建物に誘導。
 そこでマイケルはグリーンに会うわけだが、グリーン本人であることを確かめるために、生年月日や星座、ぜんそく持ちだとわかると薬の名前を言わせる。
 そして……。

 人物に会うためにこれだけの手順を踏み、なおも本人であるかどうかを確かめる。
 作家はマイケルの緻密なキャラクターを描くと共にこういったディティルを大事にしている。
 これが「プリズンブレイク」の人気の秘密だろう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スパイダーマン3

2007年09月21日 | 洋画
 スパイダーマンという力をもらったピーター・パーカー。
 しかし彼の心は正義のヒーローというには未熟だ。
 その未熟さがドラマになっているのがいい。

 まずすぐ調子に乗る。
 ニューヨーク市民栄誉賞。
 嬉しくてピーターは逆さになって司会の女の子とキスをする。
 それはメリー・ジェーーン(MJ)だけにしていたキス。
 MJはブロードウェイの主役から降ろされたこともあり、怒りをピーターに。
 それを感じることのできないKYのピーターはプロポーズをフレンチレストランで演出して見事に空振り。
 MJはやりきれない想いからハリー・オズボーンに一瞬心を動かされ、さらに混乱。
 そして事態はさらに深刻に。
 父親をピーターに殺されたと思い込んでいるハリーの記憶が蘇り、ハリーはピーターに復讐を考える。
 それはまずピーターの心を破壊すること。
 MJを脅迫してピーターと別れさせる。
 ピーターの失望とそれを仕組んだハリーへの憎しみ。

 これに加えてピーターにさらなる憎しみが襲いかかる
 すなわち……
・叔父殺しの真犯人マルコへの憎しみ。
・スパイダーマンを陥れる偽造写真を撮ったカメラマン・エディへの憎しみ。

 そんなピーターに襲いかかる黒い生命体。
 これは人の心の中の攻撃性を高める寄生生物。
 ピーターの中の怒りと憎しみの心がこの生命体と結びつき、ピーターはブラックスパイダーマンになる。
 
 市民栄誉賞の受賞式のキスから始まって、様々な要素が絡み合い、ピーターが悪にどんどん染まっていく。心の未熟さゆえにピーターがどんどん暗い闇の中に落ちていく。
 このドラマづくりがいい。
 作者はこれでもかこれでもかとピーターに人間不信の苦難を課し、ピーターの心を壊していく。
 それはまるでクモの糸に絡み取られるかの様。

 絶体絶命のピーター。
 しかしスパイダーマンはヒーロー。
 これらの困難に打ち勝たなくてはならない。
 解決の仕方はこう。
 まるで絡まったクモの糸を解いていくかの様。
 まず寄生した黒い生命体を自分の体から剥がす(金属音がこの生命体の弱点。結果、生命体はエディに寄生し新たな敵となってしまうが)。
 そしてハリーの誤解を解いて敵との共闘を求める。
 敵はMJを人質にピーターに闘いを挑んできたマルコのサンドマンとエディに取り憑いた黒い生命体ヴェノムだ。
 助けに行ってピーターはMJと和解する。
 
 ヒーロー失格からヒーロー復活へ。
 見事なドラマのうねりだ。
 絡み合った糸が解けていくというのもいい。

 この作品は特撮CGがすごいだけの作品ではない。
 人間の憎悪、失意、焦燥、弱さを描いた見事なヒーロードラマだ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする