平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

篤姫 第26回「嵐の建白書」

2008年06月30日 | 大河ドラマ・時代劇
★自分に素直に生きる
 次期将軍をめぐる争いの中で一橋派が劣勢。
 篤姫(宮崎あおい)にもプレッシャーが。
 そこで篤姫が言ってしまったのは「慶喜」が将軍にふさわしいというウソ。
 彼女はそんなことを思っていない。
 慶喜と慶福がどちらがいいかわからない。
 父の言うこと・自分の見たことの間で引き裂かれている。

 娘、妻、恋人……人は様々な顔を持って生きている。
 篤姫の場合は『斉彬の娘』『家定の妻』『本寿院の義理の娘』
 どの顔で生きるかで将軍継承問題の意見が違ってくる。
 そこで彼女が得た結論は『自分に正直になること』。『しがらみを捨てて自分の心に聞いてみること』。
 何か判断に迷った時は、今回の篤姫の判断を思い出したいものだ。

★「そなただけは信ずるに足るおなごだと思っていた」
 家定(堺雅人)が篤姫に言ったせりふ。
 ドキッとするせりふだ。
 家定様が再び心を閉ざしてしまう?
 家定が嫌うのは本心を隠す人間だからだ。
 せっかくうまくいっていた夫婦関係に亀裂!?
 しかし、ここはライト大河ドラマ。
 傷をさらに深くえぐることなく修復。
 家定が謝る。
 「そちの立場を考えれば仕方のないことじゃ」
 篤姫が「自分に素直になる」「どちらがいいかわからない」と言うと、家定「やっとそなたらしくなってきたのう」
 そして枕を並べて可愛いお戯れ。

 このドラマは主人公をどん底まで落とすということをしない。
 また篤姫は深く落ち込まない。
 「信ずるに足るおなごではない」と家定に言われれば、もっと落ち込んでいいはず。
 この辺は脚本・田渕久美子さんの資質なのか、今の時代の要請なのか?
 「篤姫」はライト感覚、あくまで楽しい大河ドラマを目指している。 


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監査法人

2008年06月29日 | 職業ドラマ
 面白い。
 この作品と比べると「CHANGE」は内容スカスカだ。

★例えば作品中で語られる言葉。
「人間は裏切るが金は裏切らない」
「人間を信じたから裏切られることがあるが、救われることもある」
「金儲けだけが目的なら何も悩まない。そこに友情とか理想とかが絡むから悩むようになる」
 語られる言葉の豊かさが作品の豊かさであるとも言える。

 「CHANGE」と比較してしまうが、「CHANGE」で語られる言葉とは、例えば
「相手は自分とは違うんだ、同じ人間なんていないんだ」
「政治は知りませんが、小児科医が足りないことは知っています。同じ気持ちの人間が協力し合わないのはおかしいです」
 設定上仕方がないのだが、朝倉総理の言葉はやはり小学生の先生の言葉。
 朝倉総理の言っていることは正論なのだが、現実を生きている人間には「そうは言うけどね」と反論されてしまう。

★人物の葛藤も「監査法人」の方が深く描かれている。
 ジャパン監査法人の吉野(勝村政信)は葛藤する。
 東都銀行の監査。
 明かな粉飾決算。
 しかし粉飾を公にしてしまえば東都銀行は破綻。
 それは東都銀行に関わる者すべてに被害をもたらす。日本経済にも影響を及ぼす。
 結果自殺者まで出てしまう。
 では粉飾を公にしない方がいいのか?
 こんな考え方もある。
『公にしないことは問題の先送りではないのか?病気をさらに重くすることではないのか?先送りにすることがこの国のためになっているのか?』

 公にするかしないかで迷う吉野。
 ドラマになっている。
 一方「CHANGE」の朝倉総理。
 彼は悩まない。自分の考えは揺るがず抵抗勢力を説得、排除していくのみ。
 彼はスーパーヒーローなのだ。
 製作側は悩まない主人公というのは深みに欠けると思ったのか、今回主席秘書官である理香の転身・裏切り?というドラマを作った。
 だがそれはドラマとしてあまりにも薄っぺらい。
 現実を生きている人間には「転身・裏切りなどが当たり前なのが現実」「そんなことで失踪?」と鼻で笑われてしまうだろう。
 朝倉総理には総理大臣ならではのもっと別のことで悩んで欲しい。
 「監査法人」の吉野が公認会計士とはどうあるべきか?
 「ホカベン」の灯が弁護士とはどうあるべきか?で悩んだように。


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ひみつのアラシちゃん

2008年06月27日 | バラエティ・報道
 ふたつのバラエティ番組を見た。

★ひとつは「明石家さんちゃんねる」(6/25)
 これから売れそうなイケメン俳優のコンテスト。
 ハリセンボンや森三中、はるな愛さんが『上から目線』で論評する。
 極めつけはイケメンは『脱ぎっぷり』ということでイケメンが上半身ハダカにあるのを鑑賞。
 以前ミスコンは女性差別でとんでもないという論評があったが、今の時代は男が鑑賞される時代。
 時代は大きく変わりましたなぁ。
 女性が強くなってきたとも言える。

 またこだわってしまうけど、秋葉原連続殺傷事件の犯人の心象は以前の男性なら考えられなかったこと。
 男性が自分の容姿にコンプレックスを持つなんてことはなかった。
 まだ職業などでは女性は差別されているのかもしれないが、今の時代、元気があるのは女性だ。

★「ひみつのアラシちゃん」(6/26)は「花男F」の宣伝。
 森三中の大島さんが松本潤さんと1日デート。
 極めつけは「花男」疑似ドラマ。
 つくし(井上真央)がさらわれて助けに行く松本潤さんの道明寺。
 デートしている大島さんも同行する。
 つくしをさらった犯人は道明寺財閥に恨みを持つ『貴族』。
 ひげ男爵。
 オチは道明寺の代わりに大島さんが銃で撃たれて、「わたしっていつもこうなのよね」と言って死んでいく。

 既存の人気ドラマをこの様にパロディにするというのも今後のテレビのあり方だろう。
 ドラマとバラエティの融合。
 それが番宣にもなる。

 それにしても森三中もハリセンボンもよくテレビに出ている。
 今ノッているせいもあるが、彼女らはイキイキしている。
 可愛くも見える。
 デブカワキャラ、おバカキャラ、お姉キャラ……。
 昔ならスポットライトの当たらなかった人達がテレビで大活躍する時代は悪くない。
 文化として成熟してきているとも言える。

※追記
 「ラストフレンズ・特別編」は回想ばかりだったのでパス。
 先週終わったドラマのダイジェスト・総集編を見せられてもねえ。
 裏の「アラシちゃん」の方が数倍面白かった。


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みっともない大人が多すぎる

2008年06月26日 | 事件・出来事
岐阜県と農水省、立ち入り調査開始 「飛騨牛」偽装疑惑(朝日新聞) - goo ニュース

 「またか」と思ってしまうのと同時にこうも考える。

 『最近みっともない大人が多すぎる』

 従業員のせい?
 従業員が指示もなくそんな背任行為しますかね。
 仮にそうだったとしても社長として自分の監督不足を詫びるべき。
 「経営が苦しくてやってしまいました」
 「現在の食管法が厳しいので」などと言ってくれた方がまだ救われる。

 点滴作り置き事件の院長もみっともない。
 「自分の家には風呂がないんです」
 大豪邸に住んでて明らかにわかるウソ。
 実際、家宅捜査したら風呂はあったそうだ。(22日の「バンキシャ」)

 船場・吉兆のささやき女将もおかしかったけど、母親に教えられなければ自分の言葉を持てない社長もみっともない。

 一体、日本の大人はどこまで子供化が進んでしまったのか?
 かっこいい大人になりましょうよ。
 村上ファンドの村上社長やホリエモンの様に「金儲けしてどこが悪い」と開き直ってくれた方がまだましだ。

 武士は『恥』を知っていた。
 昔の職人は自分の仕事に『プライド』を持っていた。
 「日本人の美質を取り戻しましょうよ」
 と最近の僕は保守的な小林よしのりさんや西部邁さんの様になっている。

※追記
 6/26夕方、飛騨牛偽装の社長が記者会見。
 自分の指示で行ったことを認めた。
 始めから認めればよかったのに。


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ドリフターズの凄さ!

2008年06月26日 | 監督・俳優・歌手・芸人
カトちゃんが音頭!ドリフ「全員集合」復活(スポーツニッポン) - goo ニュース

 昨日の「全員集合!」SPを見た。

 懐かしい!と共にスゴイ!!
 ドリフターズの芸というのは『タイミング芸』なんですね。
 こけるタイミング、いかりやさんに叩かれるタイミング、たらいが落ちてくるタイミング、どれがズレても笑えない。
 今回のSPでは、歌手やアイドルなどのゲストがコントをやる場面も紹介されていたが、歌手やアイドルのコントはどうしても間とタイミングが悪い。
 スピード感のないゆるい笑い。
 これだけでもドリフの凄さがわかる。
 またドリフの芸は『体を使った芸』だ。
 ともかくよく動く。体の切れ、スピードがある。
 コケ方もひとつの芸。

 そして観客ありの生放送の凄さ!
 タイミングひとつを外しても笑えないコントを生放送でやるなんて。
 そのタイミングを外せない迫力が画面から伝わってくる。
 観客との一体感もある。
 子供の声援と笑い声が聞こえてくる会場。
 観客のリアクションが出演者にパワー、火事場のバカ力を与えている様だ。
 
 考えてみると今のコントはほとんど録画。観客もいない。
 「全員集合」を終了の原因となった「俺たちひょうきん族」は録画・観客なしだったと思うが、タケちゃんマンなんかはゆる~いコントだった。
 タケちゃんマンとブラックデビルの戦いは立っている会話だけのコント&ゲーム。
 アドリブとゆるさが魅力。
 「ひょうきん族」はアンチ全員集合の笑いだったのだ。
 それは時代の要求。
 作り込まれたスピード溢れる「全員集合!」は飽きられ、「ひょうきん族」の笑いが新しくなったのだ。
 「松本人志のスベらない話」もアンチ「全員集合!」
 体の動きがなくただしゃべるだけ。

 笑いには様々な形がありどれが良くてどれが悪いということはないが、現在、「全員集合!」のタイミングと体の笑いは新鮮だった。
 生放送の迫力も。
 ドリフターズの様なコメディアンはもう現れないのだろうか?

※追記
 ドリフターズの笑いは下ネタ満載。
 お相撲さんのまわしからヘアが出ていたり、ウンコのかたつむり。
 子供はそういうの好きだし。
 またドリフターズの笑いは効果音も巧みに使っている。
 下半身に物が当たってチン!
 この辺にも新しい笑いの可能性がありそうだ。


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絶対彼氏 最終話

2008年06月25日 | 恋愛ドラマ
★人に言われたい言葉
 「絶対彼氏」は誰もが人に言われたい言葉のオンパレードだ。

 「梨衣子のこと愛してる」
 「俺は梨衣子の彼氏です」
 「どんな時でも梨衣子の味方。何があっても守ってあげる」

 最終回では
 「梨衣子が幸せになれますように」
 「君の笑顔は元気が出る」
 「どんな梨衣子も大好き。だから自信を持って」

 こういうふうに人に言われ続けていれば、幸せだ。
 決して曲がらない。
 秋葉原連続殺傷事件の加藤被告はこういう言葉を言われなかったのだろう。

★母親の言葉
 これらナイト(速水もこみち)の言葉は母親が言ったとしてもおかしくない言葉。
 「愛してる」
 「どんな時でも味方。何があっても守ってあげる」
 「幸せになれますように」
 「どんなあなたも大好き。だから自信を持って」
 「空の上からも見守っている」
 親は子供にこう言い続けたい。

 梨衣子(相武紗季)がいなくなったナイトに言ったことも子が親に対して言ったとしておかしくない言葉。
 「何でやさしくしてあげられなかったのだろう。もっと楽しい思い出作ってあげられたのに」
 「O1のために笑顔で生きていきたい」

 恋人、親子……関係は違っても『愛の言葉』は同じなのだろう。

★ナイトのメモリーチップ
 ナイトが自分のメモリーチップに残したラストメッセージ。
 このエピソードにはちょっと泣けた。
 うまい仕掛けだ。
 昔なら手紙だろうが、現代はメモリーチップ。
 ナイトのメッセージと共にデートに遅れて来る梨衣子の姿も録画されている。
 この梨衣子の録画はナイト視線。
 ナイトがどんなに愛おしく梨衣子を見つめていたかがよくわかる。

 ナイトが動けなくなることが視聴者にわかっていてかわされる会話も哀しい。
 梨衣子は言う。
 「今日のデートは楽しかった。でも今日のことが忘れられるくらいいっぱい思い出を作りたい」
 「わたしが死んでも空からナイトを見ている」
 流れ星に祈るナイトに
 「何言ってるの。わたしは十分に幸せだよ」
 これら梨衣子の言葉をナイトはどんな気持ちで聞いていたのだろうか?
 実にせつない。

★この作品は見ている方が恥ずかしくなるほどの甘い言葉のオンパレードだ。
 こういう言葉を言えるのはロボットだから?
 大切な言葉なのに人間は気恥ずかしくて言えない。
 愛の言葉を口に出して言ってみよう。
 この作品はそんなことを主張している様に思える。


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CHANGE 第7話

2008年06月24日 | 職業ドラマ
★サブキャラ・サブエピソードの方が面白い
 今回面白かったのはSPの檀原(大倉孝二)。
 タバコを吸いながら女心トーク。
 「女心は相反するもの。
  肉食と草食、ケチャップとマヨネーズ、馬場と猪木……」
 よくわからないものも含めてこれだけ『相反するもの』を並べられると面白い。
 タバコトークというのも気がきいている。

 次に面白かったのは韮沢(阿部寛)。
 主席秘書官である理香(深津絵里)が辞めることについて「彼女、何か隠しているな」と見破った所まではいいが、「お前、何かしただろう?」「うしろめたいことをしただろう?」
 そしてワインと明太子。
 この話の広げ方がいい。

 この作品はメインエピソードよりサブエピソードの方が面白い。
 主人公より脇キャラの方が面白い。
 啓太(木村拓哉)は品行方正なヒーローだから、そのマイナスはある程度仕方がないが、脇キャラの個性が強すぎて主役がかすんでしまう。
 物語の先が見えてしまうというのも弱点だ。
 神林(寺尾聰)にいくら苦しめられても最後には啓太が勝つことはわかっている。
 理香が戻ってくることは見えている。
 興味は啓太がどう勝利するかだが、今回はそれが示されなかったから不完全燃焼。

 そんな先が見えてしまうという弱点を製作側もわかっているのだろうか、今回のサブタイトルは「衝撃の結末!!消えた総理」。
 総理の失踪。
 でもそれにリアリティがない。ウソをついている。
 今までの啓太だったら、亮介(広田亮平)が亡くなった時点で闘う意思を取り戻していたはず。
 「死んだ亮介のためにも小児科医療の予算を取らなくては」と思うはず。
 なのに失踪。
 おまけに今回の内容だったら拡大SPにする必要なし。

 こういうことを繰り返していると視聴者は離れる気がする。 


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堺雅人さん

2008年06月23日 | 監督・俳優・歌手・芸人
 家定様こと堺雅人さんでこんな記事がありました。

堺雅人 今や“ドラマ・映画のヒットの陰にこの男あり”と大評判(日刊ゲンダイ)

●芝居にのめりこんで早大中退
“隠れたヒットメーカー”堺雅人(34)が注目を浴びている。
 出演中のNHK大河ドラマ「篤姫」がついに視聴率25%を超えた。15日は25.7%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)。主役は宮崎あおいだが、準主役の堺がこれに大きく貢献していて、演技では宮崎以上に評価されているのだ。
 堺が演じているのは篤姫(宮崎あおい)が嫁いだ第13代将軍・徳川家定。普段は“うつけ”のフリをしているが、実は明晰(めいせき)な人物という設定だ。奇行を繰り返している時のとぼけっぷりと、時折見せる鋭い表情の対比を堺は見事に演じていて、ほとんど“主演男優”といっていい。
 他にも堺は公開中の映画「アフタースクール」にも出演。同映画は総スクリーン数が70館ながら、最終興収が5億円前後を見込めるヒットになっている。来月2日からは映画「クライマーズ・ハイ」が公開される。堺は主人公(堤真一)の同僚で、県警キャップの社会部記者を熱演している。
 いまや“ヒットの陰に堺あり”といえるほどだ。
「堺は早大中退で、演劇研究会を母体にした劇団の看板俳優として活躍していた。いつもほほ笑んでいるような表情が持ち味。“喜怒哀楽をすべて笑顔で表現できる”といわれ、幅広い演技力には定評があります。04年の大河ドラマ『新選組!』では、総長の山南敬助役を演じて知名度がアップした。山南が切腹する回の放送は視聴者からの反響が大きく、その1話だけ特別に再放送されたほどでした」(マスコミ関係者)
 01年には富田靖子との親密交際が発覚。一時は結婚秒読みといわれていたが、昨年1月に破局を迎えている。独り身で、仕事に没頭する堺の演技に注目だ。

[日刊ゲンダイ:2008/06/23 10:00]


 『喜怒哀楽をすべて笑顔で表現できる』とは的確な論評。
 『新選組!』の山南敬助役もインパクトありましたし。
 実に希有な個性の役者さんですね。
 堺さんでなければ家定も山南もあのキャラにはならなかった。


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篤姫 第25回「母の愛憎」

2008年06月23日 | 大河ドラマ・時代劇
★ロミオとジュリエット
 ロミオとジュリエットの様に恋愛に障害はつきもの。
 また障害は恋人たちの気持ちをさらに燃え上がらせる。
 篤姫(宮崎あおい)と家定(堺雅人)もそう。
 政治的な争いの中で引き裂かれるふたり。
 相手を想うひとりのおなごであることに政治は関係ないのに。
 まさか大河ドラマで「ロミオとジュリエット」を見られるとは思わなかった。
 この辺が人気の秘密。

 ラストの家定様はかっこいい。
 「そちが来ぬからわしが来た。
  そちがおらぬとこの世から色が消えた様じゃ」
 篤姫も同じだと応えると
 「わしらは気が合うのう」
 こう言える家定様は実に率直、素直。
 「御台はどこじゃーーっ」は駄々をこねる子供の様。
 率直で子供。
 篤姫にも同じ所があるからふたりは気が合うのだろう。

★母の想いふたつ
 本寿院(高畑淳子)も母に戻った。
 政治的に考えれば家定を篤姫の所へ行かせてはならない。
 しかし「わしらは気が合うのう」と語る楽しそうな息子の顔を見ると……。
 彼女が母親に戻った瞬間だ。
 母親は何より子供の幸せを思う。

 大久保(原田泰造)と母のフク(真野響子)の物語はなかなか泣ける。
 初めて薩摩の外へ出る大久保のために新しい羽織をしつらえる。
 息子が外に出て恥ずかしい思いをしない様に。
 自分はいつも息子のそばにいるという想いを羽織に込めたのかもしれない。
 そして息子が挫折して帰ってくると「わたしも鬼の母になります」ときっぱり。
 彼女は常に息子と共にいる同行者だ。
 希望と挫折の中で揺れ動く息子の気持ちと常に同じでいる。
 息子が何に喜び、何に悩んでいるかを知っている。
 
★同行者
 大久保の母の様な同行者がいることで人は随分救われる。
 背負っている荷物も軽くなる。
 子供は育ち、同行者は家定の様に母から妻に代わっていくのかもしれないが、人生には同行者は必要だ。
 単純でわかりきったことかもしれないが、現代ではそれが失われている。
 自分を含めて相手の考えていることがわからない人間がどれほどいることか。
 子供の考えていることがわからないのが当たり前になっていないか。
 話が飛躍してしまったが、コミュニケーションできないことが現代の一番の問題である。


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2008 春ドラマをふり返る その1

2008年06月22日 | 研究レポート
 2008年春ドラをふり返る。その1。

★「CHANGE」と「ホカベン」
 「CHANGE」はまだ終わっていないけど、対照的な社会派ドラマ。

 「ホカベン」は社会問題を真っ正面から扱う。
 ある事件の解決に関して原告の立場に立てば正しいけど、被告の立場に立てば正しくない。
 絶対的に正しいことなどない。
 こうした現実を前にして弁護士はどうなるべきかに迷う灯。
 現実に立脚した非常に真面目な作品だ。
 志の高さを買う。

 一方の「CHANGE」。
 基本的に朝倉の主張が正しい。
 「国民のため」と言うが国民と言っても様々。
 公共工事を無くせばそれで困る人が出てくるのにその辺の現実は切り捨て。
 官僚の抵抗、通商を迫るアメリカの抵抗もわりとあっさり。
 官邸に派遣されてくる各省の秘書官も簡単に朝倉に寝返ってしまう。
 こんなに簡単なら現実はもっとよくなるはず!
 「CHANGE」は社会派ドラマではなくキャラクタードラマ。
 キャラクターが立っていて痛快ならいい。
 これはドラマがどうあるべきかという議論にも繋がるが、「CHANGE」は現実のうさ晴らし。
 悪が懲らしめられてすっきりする「水戸黄門」と同じなのだ。
 僕も含めて社会派を期待していた人には物足りない。

★「無理な恋愛」と「Around40」
 中高年のターゲットにした作品ふたつ。
 一方は男性版、一方は女性版。
 視聴率として成功したのは「Around40」(15.1% 6/13)
 ドラマを見る中心は女性だからだろうか?
 ドラマの結論は両作品とも同じ。
 恋愛も大事。仕事も大事。
 立木も聡子もその両方を手に入れた。
 メッセージとしてはありきたり。
 立木も聡子もそのキャラクターはよかったけど。

 中高年ドラマでは今のところ「結婚できない男」が一番名作だなぁ。
 恋愛の否定、人と関わることの否定から入って、最後でこれらを肯定している。
 中高年ドラマはこれからも模索されていくジャンルだ。


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