平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

不都合な真実

2007年12月29日 | 洋画
 ヒマラヤの氷河が溶けている。
 結果、氷河の水を使って生活している40万人の人が水不足になる。

 南極・北極の氷が溶けている。科学者の予測以上に。北極の氷などは50年から70年後にはなくなってしまうという。
 結果、太平洋の島々、オランダなどは水没する。
 ニューヨークのグラウンドゼロも水没する。
 20万人の難民。

 アラスカの氷河が溶けている。
 結果、大西洋の暖流・寒流の流れが変わり、暖かい空気が運ばれなくなりヨーロッパは氷河期となる。

 こんな予測を非科学的と否定することも出来るが、我々はすでに異常気象を目にしている。
 この夏の酷暑。
 これは世界的なものであり、氷の気泡から測定される過去65万年のデータの中で異常なものであるという。
 気候が変わり、今まで眠っていた病原菌が復活した。鳥インフルエンザ、サーズもそうらしい。
 蚊などの限界棲息地域が広がってアフリカでは新たな被害も。

 すべて二酸化炭素の増大、結果もたらされる温室効果が原因である。

 この作品の講演者であるアル・ゴアは政治家としてアメリカ議会に訴えたが、反応は鈍い。
 議員は石油メーカー、自動車メーカーをバックにしているからである。
 政治家は票に結びつかなければ動かないからである。
 マスコミも御用記事を書いているらしい。
 科学者全員が温暖化の警鐘を鳴らしているのに、マスコミが記事にすると50%が「それは根拠のない嘘だ」と報じているらしい。
 ある科学者はデータの改ざんを求められた。
 それは追及され科学者は辞めることになったが、今は石油メジャーのそれなりのポストで働いているという。

 これらの事実をどう受けとめるか?
 50年後には自分は死んでいるから関係ない、と言うことも出来る。
 でも、残された子供たちがかわいそうだ。
 未来の子供たちに「何をやっていたんだ?」と言われたくない。
 これらをいたずらに危機を煽る誇張だと批判することも出来るが、批判し否定して何が残るのか?
 この主張をするゴアさんをハイブリット車を売っているトヨタやホンダのまわし者、太陽光発電・風力発電メーカーのまわし者と捉えることも出来るが、自然環境にやさしい方がいいに決まっている。

 作品では第二次大戦を前にしたチャーチルの言葉を引用してこう主張している。
「問題の先送り、中途半端な態度、気安めやその場しのぎの時代は終わった。今こそ結果を出すべき時だ」

 環境問題を気にしていては経済が成り立たないという主張もある様だが、今売れているのは低燃費のハイブリット車だ。

 作品ラストでは二酸化炭素排出を減らすために出来ることがひとつひとつ語られていく。
 確かにこの作品を見て問題意識を持っても、それだけに留まっていたのでは何も変えることは出来ない。
 二酸化炭素削減のために語られたことは次の様なこと。

★省エネの電化製品を使いましょう。
★エアコンの温度を調節しましょう。
★家の断熱材を増やしましょう。
★公共の輸送機関を使いましょう。
★徒歩、自転車を使いましょう。
★出来ればハイブリット車に乗りましょう。
★電力会社にはなぜクリーンエネルギーを使わないのか問い合わせをしましょう。
★環境問題に問題意識を持っている政治家に一票を。いなければ自分が立候補を。
★木を植えましょう。
★新聞雑誌に投書しましょう。
★環境の国際運動に参加しましょう。
★石油・石炭エネルギーでなく代替エネルギーを。
★祈る時、他人は変えられるんだと思って祈りましょう。

 現在は人類が滅びるか、叡智によりさらなる発展をするかの大事な岐路にある様な気がする。


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花ざかりの君たちへ 再見

2007年12月28日 | 学園・青春ドラマ
 「花ざかりの君たちへ」再見。結構、名作だ。

★バカになろう!
 全体として貫かれているのは「バカになろう!」。
 三つの寮のバカ騒ぎもすべてこのテーマを表現するため。
 「踊る阿呆に見る阿呆……」
 女装コンテストもやってみれば楽しいのだ。

 中津(生田斗真)も心を閉ざした佐野(小栗 旬)に言う。
 「いつまでも世界中の不幸を背負っている顔してんじゃねえよ!」
 梅田北斗(上川隆也)は、「それ以上の感情を持ってはいけない」と自制する瑞希(堀北真希)に言う。
「大人だね。ガキが大人ぶってんじゃねえ」
 恋愛だってどんどんぶつかっていけばいい。ぶつかっていけば何かが見えてくる。
 校長先生(松田聖子)も言う。
「後悔している暇があったら今を存分に楽しみなさい」
 確かに貴重な青春時代。
 小利口に無難に生きても面白くない。
 大人になって恥ずかしくなるようなバカなことをやって、いっぱい思い出を作った方が楽しい。
 そんなメッセージがこの作品には込められている。

 まあ考えてみると男になって男子校にやってくる瑞希自体、相当なおバカさんなんだけど……。

★中津語録
 中津は本当に楽しくていいやつ。
 名セリフもたくさん残している。
 中津のことを「最高のダチ」だと言い、気持ちに気づかない瑞希に
「鈍感ボーイ」
 男に恋してしまったことに悩んで
「最近ホモセクシュアルということに何の違和感もなくなってきた」
「あと一押しすれば、瑞希も禁断の恋に目覚めるかもしれない」
 瑞希が女であることを佐野が知っているか確認したくて
「知ってるか? 瑞希がおん……がくビヨンセが好きなの?」
「知ってるか? 瑞希がおん……野菜食えないって?」
「瑞希っておん……きせがましくねえ?」
 瑞希の気持ちを分析して
「ツンデレの佐野より笑カッコイイ自分の方に瑞希の心は傾いている」(笑カッコイイは流行語にならなかったが……)
 そして自分の気持ちを正直にぶつけて
「俺にしとけよ。お前が誰が好きでもかまわない。お前のことが好きだ」

★佐野語録
 佐野は大きく成長した。
 お前に俺の気持ちなどわからない、俺の心に踏み込んでくるなと言っていた佐野が最後にはこう言う。
「逃げ出したくないんだ。お前からも自分からも」
 そして逃げ出さなかった結果
「昔の自分より今の自分の方が好きだ」
 と言えるようになった。

 自己肯定。
 青春時代は劣等感に悩み自分を否定しがちだが、佐野の様に思えると幸せだ。


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1989 つづく。で終わる物語

2007年12月27日 | バラエティ・報道
 1989年
 昭和から平成になった年。
 美空ひばり、松下幸之助が亡くなった年。

 番組中、出演者の鳥越俊太郎さんは次のようなことを言っている。
「昭和は明日への希望が持てた時期。汗して働けば報いられ、豊かさという幸せが実現できた時間」
 確かに現在は豊かさは実現され、次にどんな幸せを実現したらいいのかわからない時代になっている気がする。
 三種の神器(テレビ、冷蔵庫、洗濯機)、新三種の神器(車、クーラー、カラーテレビ)が豊かさの目標になっていたのは昭和。

 平成になった90年代。企業や人々が何を買ったかというと、土地や株。
 土地や株は豊かさを実感出来るモノではない。お金と言っていい。
 そしてお金を得て、次に何をするかという視点がない。
 その象徴がホリエモン。
 彼は政治や宇宙事業みたいなことを言っていたが、結局は売名行為やお金儲けとしてしか思えなかった。
 「お金で買えないものはない」、人の心も買えると彼は言ったが、果たして人々は彼に心服しているか?
 番組では松下幸之助が描かれたが、松下さんと比べてみればいい。
 松下幸之助には理念、理想がある。
 家電製品が安価で多く普及することで人々は豊かになり、幸せになれる。
 人間の幸せの実現のために企業がある。
 だから社員は終身雇用。松下政経塾の設置。
 自社の欠陥商品に対する対応。
 人にはお金や物の先にある「理念」「理想」が必要なのだ。
 美輪明宏さんが番組中に言っていたように「文化」が必要なのだ。

 もうひとつ美輪さんの言葉。
「正負の法則。何かを得れば何かを失う」
 確かにひとり一台のテレビが得られて家族の団らんはなくなった。
 近所の人たちが集まって力道山を見る時代などはるか彼方。
 映画「三丁目の夕日」のヒットはそんな時代への憧れだろうが、もはやそんな時代には戻れないのだから、現状の中で何が「生きる希望」で「幸せ」なのかを模索すべきであろう。
 「井上陽水スペシャルTV」(TBS)で、陽水さんは「パワーダウン」、「(進歩を)止めよう」と言っていたが。
 なるほど、このまま進んでいったら地球はますます破壊され、人はどんどん孤独になっていく気がするが。

 こうして総括されつつある昭和の時代。
 平成の時代が総括されるのはずっとあとになってからだろうが、今こそ歴史や松下さんの様な過去の人物に学ぶべき時であるような気がする。

※追記
 番組では今年のヒット商品が紹介された。
 今年のヒット商品はWii、ビリーズブートキャンプ……。
 かつての三種の神器に比べると一過性で生活に密着したものでない。
 豊かさを実現した今、かつての様な三種の神器は現れないだろう。


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ロンドンハーツ~麒麟・田村ハッピープロジェクト

2007年12月26日 | バラエティ・報道
 「ホームレス中学生」の麒麟・田村へのお詫びのためにロンブー淳が行ったのが『ハッピープロジェクト』!
 これは麒麟・田村が美女たちにモテモテになるというもの。
 しかし田村がいい気になって四股かけたことで淳が怒り……。

 「ブラックメール」もそうだが、この企画のコンセプトは『のぞき』である。
 カメラを通して恋愛に右往左往する人間の姿を観察する。
 視聴者は司会者らと共にそれを楽しむ。
 「あいのり」も同じコンセプトだ。

 このコンセプト、別の視点で見れば残酷である。
 視聴者は司会者らと共に右往左往する人間を上から見ている。
 天上で神様が人間のすることを「愚かよのぉ」と見下ろしている様に。
 動物園の檻の中の動物を見ている様に。
 しかしテレビとは「のぞきからくり」、そういう媒体だ。
 考えてみればドラマだって人の生活をのぞき見ている様なもの。

 さてこうして観察の対象にされた麒麟の田村。
 まず、この「のぞき」のコンセプトが嫌悪にならないのは司会のロンブー淳の人柄、芸に拠る。
 いたずらっ子をそのまま大人にした様な淳が仕込んでいるから許される。
 また悪戯をしてしょうがない、みたいな感じになる。
 それは「あいのり」で久本雅美が司会をしているのも同じ。
 恋愛下手をネタにしている久本さんがやっているから許される。

 あとは恋愛ってスマートなものでなく泥臭いものだってことがわかる。
 メイクのエリカに凝視された時のうろたえよう。
 おしゃれなレストランで金属で止まったナプキンを外さないで使ってしまう。
 かっこつけても下心見え見え。モデル・マイコの家に行けると思ってドキドキしているが仕事の電話が入って(寸止めされて)落胆。
 叶姉妹プロデュースの霧子が本命だが出来る限り多くの女性とつき合いたい。
 これが恋愛の現実だ。
 こうして我々は男心、女心を学んでいく。

※追記
 同時並行で「爆笑問題の証人喚問」(日テレ)を見た。
 そこで横峰パパがマスコミの報道のあり方に激怒。
 本音トークは嘘くさくなくて面白いのだが、そこに表現力や芸がないとマイナスになってしまう。
 今回の横峰パパはまさに感情的に怒っているだけ。格好悪い。
 この点、同じ激怒でもテリー伊藤さんらは芸になっている。
 見え方が違う。
 テレビを知り尽くした人間とそうでない人間との違いである。


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オジサンズ11 SP

2007年12月25日 | バラエティ・報道
 「オジサンズ11」SPを見た。

★コメント力
 面白い作りだ。
 ある出来事(例えば年金問題など)について徳光さんら11人のおじさんがコメントしていく。
 コメントに与えられる時間は10秒。

 この10秒というのがミソ。
 通常ワイドショーなどのコメント時間は発言者、司会者に委ねられる。
 しかしこの番組では10秒。
 10秒過ぎれば途中であってもぶっつり切られる。
 10秒間で言い切れるかというサスペンスが生まれる。
 番組にもテンポが出る。
 そしてコメントする人間のコメント力が問われる。
 10秒の間にどれだけ密度の濃いことを言えるか?
 オジサンたちは小倉智昭さんらいずれも番組司会を務める強者たち。その辺のコメント力には長けている。
 工夫された番組作りだ。

 また11人のオジサンたちが時計回りに質問していく質問コーナー(今回は東国原知事や小池百合子議員に質問)がある。
 その質問はオジサンたちの個性によって多種多様。
 テリー伊藤さんと「はなまるマーケット」の薬丸さんじゃキャラが全然違うから質問内容もおのずと違ってくる。
 だから様々な切り口の質問がされる。
 その質問のひとつひとつに東国原知事らが答えていく。
 よく討論番組などで話がクロスして何を言っているのかわからないものがあるが、それよりはずっと洗練されている。(90年代「朝ナマ」の討論バトルは新鮮だったが……)

★環境エネルギー問題
 最後に環境問題について質問された小池百合子さんがこんなことを言っていた。
「日本は石油など資源のない国。エネルギー確保のために太陽光、風力、地熱などによるエネルギー政策をとるべき」
 大賛成である。
 地球環境にも優しい。
 現在、政府の来年度予算案が提出。道路のことなどが話題になっているが、無駄な道路よりはこうしたエネルギー政策にお金を使ったらどうか?
 その方がどれだけこの国、この国の子供たちのためになることか。

 予算はもっと柔軟に。
 既得権に縛られて硬直化した予算しか作れない政治家・官僚はもはや必要ない。
 政治家になる人や官僚は優秀な人が多いというが、この点で少しも優秀だと思わない。


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プリズンブレイクの日

2007年12月24日 | バラエティ・報道
 CM プリズンブレイクの日。
 マイケルとスクレが「24」の様に「プリズンブレイクの日」を作ろうというCMだが、面白い。

 まずお金がかかっていない。
 二次使用料は払うだろうが、映像の編集とアフレコのみ。
 おまけに「24の日」を話題にすることで、「24」のCMにもなっている。
 CMひとつで二作品のCM。
 このCM製作者のアイデアに脱帽。

 その他、最近のCMで面白いのは、欽ちゃん、舘さん、中村靖日さん、ウルトラマンが麻雀やって幸せを語る缶コーヒーのCM。
 ウルトラマンがしゃべれることが判明。
 役者さんは歳をとるけど、ウルトラマンは歳をとらないし永遠。
 ウルトラマンというキャラクターを作っただけで円谷プロさんは永遠に食べていける。
 これぞキャラクタービジネス。
 ところで、このCMでCMしてる缶コーヒーの銘柄って?
 思い出せない。
 商品名連呼のCMは嫌だけど、肝心の商品に結びつかなければ……。

 キャラクターものと言えば、パチンコ「宇宙戦艦ヤマト」のCM。
 ささきいさおさんの歌をバックに実写版の森雪をカメラが舐めていく。
 しかしこの実写版の人、イメージが違う。
 ファンは怒るだろう。
 これが実写版の怖さ。

 ちょっとほろりとするのが妻夫木くんのガスパッチョのCM。
 本能寺に行く信長が「達者で暮らせよ」と印籠を渡す。
 ほろりとするCMを久しぶりに見た。

 ドコモ、au、ソフトバンクのCM。
 いずれも、自分の所の携帯サービスがいかにいいかを巧みに表現してて面白いが、視聴者の軍配はソフトバンクの「しゃべる犬」にあがったそうだ。
 ドコモ、auの豪華な役者さん、タレントさんも「犬」にはかなわなかった。
 昔から「子供」と「動物」にはどんな役者さんもかなわないと言うが。
 確かに「私がやりました」と言ってパソコンをクリックしたり、「いちいち言葉を略すな」と怒る犬のお父さんは人間らしくて可愛かった。
 昔は動物が主人公のドラマがあったけど、そろそろそれが復活してもいい頃?


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戦争と人間 第一部「運命の序曲」

2007年12月22日 | 邦画
 五味川純平の「人間の条件」の映画化。
 戦争へ至るまでの人間群像。山本薩夫監督作品。
 第一部「運命の序曲」は張作霖事件から上海事変までが描かれる。

 まず日本が大陸への戦争へ走った理由は次の様に語られる。
 伍代財閥の伍代由介(滝沢修)の言葉だ。
「貧乏人が多いということは国が貧乏だからだ。日本に権利のある満州を開拓すれば利益を生み国を富ませることができる」
 経済的息詰まり、国民も疲弊している。
 その打開策が満州の権益。

 この状況下で様々な人がそれぞれの立場で行動する。

 伍代由介を中心とする伍代財閥は関東軍を動かして一気に満州の権益を得ようとする。そのために鴫田駒三郎(三國連太郎←若い)らを使い、中国人の仕業に見せかけて日本人の民家を襲い軍に介入させようとする。

 関東軍も同じ。
 張作霖事件は関東軍が仕組んだ謀略。
 中国人が行ったことにして関東軍を治安維持のため軍事介入させるためだ。
 しかし関東軍がやったことは見え見え。
 結果は怒った張作霖の息子・張学良が蒋介石国民政府と手を組むことになる。
 青天白日満地紅旗が奉天に掲揚される。

 一方、これらの動きに抗する人たちもいる。
 外交官・篠崎淳児(石原裕次郎)。
 緊張する中国との関係の中で軍に拠る解決でなく外交的解決を行おうとする。
 軍にも屈せず「白を白と言い、黒を黒と言えないのなら外交官じゃない」と啖呵を切り、「役人にしては珍しく骨のある男」と言われる。

 満州にある伍代公司に勤める高畠正典(高橋幸治)もあくまで現地の人間との話し合いの中で流通経路を開き、満州でビジネスをしようとする。
 しかし軍の介入などで反日感情は強く……。

 日本にも今の動きに疑問を持つ人間がいる。
 伍代由介の子、俊介(中村勘九郎←何と少年時代の勘九郎さん!)は矛盾に悩む。
「男は心がきれいなだけでは駄目。男が外に出れば戦争。戦争に負ければ落伍者になるしかない」と諭させるが。

 満州の権益を得るために謀略を行う者。
 政治的解決を行おうとする者。
 話し合い、信頼でビジネスを行おうとする者。
 疑問を持つ者。
 これら様々な人間が描かれて昭和初期という時代が描かれる。

 この日本の戦争に関しては立場により意見の分かれる所だろう。
 是とするか非とするか?
 未だにその結論が出されておらず、政治家などの発言で反日運動が起きたりしている。
 
 謀略、戦争という手段で解決しようとするのは間違いだと思うが。

 また我々が今後の歴史を生きていく上で考えなくてはならないのは劇中の次のふたつのせりふにある様に思われる。

「何のための誰のための戦争か?」
「人が何と言おうと自分が納得するまでは何もするな。分かりが遅いということは恥じゃない」


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医龍2 カルテ11

2007年12月21日 | 職業ドラマ
 最終回

★「医龍」の魅力・新しさは手術シーンをサスペンスにしたことだろう。
 移植心臓が使えなくなるまでのカウントダウン。
 例えば「ガリレオ」の爆弾解除シーンと同じ。
 朝田(坂口憲二)は湯川先生と同じ立ち位置。
 足を痛めた伊集院(小池徹平)のもとにやって来るヘリ。
 まさに「24」を見ている様な映像。

 チームプレイも魅力のひとつだ。
 各自がプロフェッショナルで自分自身の持ち場をしっかり守る。
 野球とかサッカーを見ている様な感じ。

 チームが全員登場で歩くシーンは歌舞伎で言う見栄を切るシーン。舞台のカーテンコールも思わせる。

 医療ドラマは医療ドラマ風に、刑事ドラマは刑事ドラマ風にという時代は終わった。
 何かを組み合わせることで新しいドラマが生まれる。

★野口先生はおいしい
 この様に作劇に様々な趣向を凝らせた「医龍」だが、今回は何と言っても野口先生(岸部一徳)だ。

 日本初の心肝同時移植手術を成功させたら大きな話題になると聞かされて
「がんばってって伝えてくれるかな、朝田ちゃんに」
 この毀誉褒貶。朝令暮改。
 パーティで「れっつ・ぱーてぃ~」。
 あの奇妙な動き。
 岸部さんの遊び心を感じる。
 野口先生はこうなると何でもありだ。
 天国から地獄もある。
 心肝同時移植手術を発表と思いきや、スクリーンに映し出される不正暴露の記事。
 最後にグッサリ。
 おまけに瑕疵条項による経営権の剥奪。
「これが本当のウインウインです」
 これらすべてが片岡(内田有紀)の仕組んでいたこととは。
 映画「スティング」を見るような感じ。
 アメリカで救急車に運ばれるくだりはやり過ぎな様な気がするが、野口先生はおいしい役だ。

★片岡のドラマ
 患者のために目の前の患者を救うことに命を懸け、結局報われずに借金だけを残して死んでいった父親。
 これが片岡の根っこだった。
 理想よりも現実。
 それが彼女の選んだ生き方だったが、迷いはあった。
 そんな彼女が朝田を見て思ったことは、医師の崇高な姿。

 片岡は明真を乗っ取り、政治の力で理想の医療を実現しようとする。
 これで彼女もチームの一員だ。
 片岡は患者と真剣に向き合う医師が報われるように国からお金を取ってくると言うが……。
 折しも昨日は薬害肝炎の政府の結論が出た日。
 困難な道だががんばってほしい。
 
★桐島と鬼頭の理想
 最後は霧島軍司(北村一輝)も登場。
 人工心臓を鬼頭笙子(夏木マリ)に届けたのだった。
 鬼頭は人工心臓を認めさせることで現在の移植心臓がなくて死んでいく(しかも高額な医療費で)患者を救おうとしていた。
 ここにも自分なりの方法で理想の医療を実現しようという人間がいる。

 しかし北村さん、ワンポイントの出演でおいしい所を持っていく。
 佐藤二朗さんとともに存在感のある役者さんだ。


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のだめオーケストラ

2007年12月20日 | バラエティ・報道
 のだめオーケストラコンサートに行ってきた。

 のだめ出演者がセレクトした曲を演奏。
 演奏前には出演者がビデオメッセージをくれる。
 特にのだめ(上野樹里)、千秋(玉木宏)はパリからの映像。
 ちなみにセレクト曲はのだめが番組ですっかりメジャーになったベートーヴェンの7番。
 千秋が、年始SP「ヨーロッパ篇」の指揮者オーディションで指揮することになるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。
 会場では「ヨーロッパ篇」の特別映像も流れて。
 なお、のだめはパリで観客を前にピアノリサイタルをするらしい。
 ウェンツくんも出るらしい。
 1/4・5がいよいよ楽しみ。

 なお昨日は大学で二番目に有名な大河内守(遠藤雄弥)が「埼京線から出て来てみれば、銀座はカップルばかりじゃないか」と言って会場に乱入。(この日だけ限定)
 指揮者の松井さんを麻酔薬で眠らせて大河内が指揮をするというハプニングが起きた。
 指揮をしたのは「ラブソティ・インブルー」。
 オーケストラのメンバーや観客からはブーイングが流れたが、見事に指揮。
 指揮後はマングースにすぐに取り押さえられたけど。

 通常のクラシックコンサートにはない楽しさ。
 7番をナマで聞くのもすごい迫力。
 よかった!


 
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江戸川乱歩 「踊る一寸法師」

2007年12月19日 | 短編小説
 江戸川乱歩の「踊る一寸法師」の一節。

「八字ひげの手品使いは酒樽のふちをたたきながら、胴間声をはりあげて、三曲万歳を歌い出した。玉乗り娘の二、三が、ふざけた声で、それに合わせた。そういう場合、いつも槍玉に上がるのは一寸法師の緑さんだった。下品な調子で彼を読み込んだ万歳節は次から次へと歌われた」

 大正時代の描写である。
 この時代には「八字ひげの手品使い」「玉乗り娘」「一寸法師」らが通りにいた。
 街にいかがわしさがあった。
 乱歩は子供ものでもこれらのいかがわしさを描いてきた。
 「二十面相」「黄金仮面」「青銅の魔神」
 僕らはこれらをわくわくして読んだ。

 今の時代にはこうしたいかがわしさがない。
 きれいな数学的な無機質な街並み。

 「地獄の季節 酒鬼薔薇聖斗がいた場所」(高山文彦/新潮文庫)では少年Aのいた須磨ニュータウンのことが描かれている。
「六角形の巨大な箱の底のような広場は、見渡す限り人工の石畳で敷きつめられている。まわりを囲む垂直の壁は、百貨店の大丸であり、スーパーマーケットのダイエーであり、それらを囲むようにつないでいるマクドナルドや無数の和洋中の食堂、用品店、花屋、書店などのはいったショッピングモールだ」
 そして犯行の行われた「タンク山」がかろうじて残された「異界」だと表現している。

 合理的で窮屈な現実の中で人は異界を求める。
 都市伝説がそう。
 グリコ森永事件で犯人が「かい人二十面相」を名乗ったのにも同じ根があるような気がする。
 現在の街には異界がない。

 乱歩の小説を読んでそんなことを考えた。


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