平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ユー・ガット・メール

2008年01月31日 | 洋画
★小さな絵本の店を経営するキャスリーン(メグ・ライアン)。
 大手書店チェーンの御曹司ジョー(トム・ハンクス)。
 ふたりは反目。
 理由はジョー書店が近くに出店してきて、キャスリーンの店が潰れそうだからだ。
 キャスリーンは本への愛情もなくビジネスだけで書店をやっているジョーが許せない。
 ジョーは憎たらしいオンナだと思っている。

 しかし、彼らには家に帰ると別の生活が待っていた。
 見知らぬ相手とのメール交換。ハンドルネーム「NY195」「Shopgirl」。
 これが楽しい。安らぎを覚える。
 パソコンを立ち上げて「ユー・ガット・メール」という機械音から聞こえるとワクワクしてくる。
 そして彼らは「NY195」がジョーで「Shopgirl」がキャスリーンであることを知らない。

★さて、こんな状況設定でふたりをどう結びつけるか?
 これが作者の腕の見せ所である。

 通常の作劇だと、ラストに反目し合っているふたりが「NY195」「Shopgirl」であることを知り、今までのわだかまりを捨てて愛し合っていくというものだろう。
 メールのやりとりをしている「NY195」「Shopgirl」の方が彼らの本当の姿(ジョーは冷徹なビジネスマンでなく実は優しい男、キャスリーンは強さの裏でイジイジ悩む弱さを持った女性)で、そんなお互いを愛するというような。
 だが作者はそんな単純な方法を取らなかった。
 さらにストーリー練って作り込んだ。

 まずジョーに「Shopgirl」がキャスリーンであることを気づかせた。
 キャスリーンは「NY195」がジョーだと知らずにメールを送り続けている。
 さてジョーはどう動くか?
 ジョーは自分が「NY195」であることを名乗らずに、キャスリーンの友情と愛情を得ようとした。
 風邪のキャスリーンにデイジーの花を持ってきてお見舞い。「友だちになってほしい」と言う。
 キャスリーンは最初突っぱねるが、やがてジョーの人柄に触れて「NY195」のことについて相談する様に。楽しく時を過ごすようになる。
 
 そしてキャスリーンと「NY195」が会うことに。
 彼女の中では理想の男性は会ったことがない「NY195」だ。
 ジョーはいっしょにいて楽しいが友人。
 ジョーの愛の告白を振り切って「NY195」との待ち合わせ場所に行くキャスリーン。
 果たして待ち合わせ場所にジョーはやって来るのだが。
 「NY195」がジョーだとわかった時のキャスリーンのせりふは名セリフである。
 ネタバレになるので書かないが、このせりふを言わせるためにすべてのシーンが計算されていた。
 このせりふでジョーとキャスリーン、ふたりの世界が一変して光り輝く。

 外国映画はシナリオが巧みだ。
 大胆でありながら緻密。
 見事な構成力。
 トム・ハンクスもメグ・ライアンもいい味を出している。 


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ハチミツとクローバー 第4回

2008年01月30日 | 学園・青春ドラマ
★前に進む者と留まる者

 クリスマスに違和感を覚える竹本祐太(生田斗真)。
 理由は「好きと言えない、プレゼントを渡せない、ふがいない自分と向き合うのがイヤだから」。
 竹本はバイト料で花本はぐみ(成海璃子)にプレゼントを渡そうとするが結局、渡せず同じ苦い想いに。

 山田あゆみ(原田夏希)はプレゼントを渡した。
 真山 巧(向井 理)のデスクの上に置いて。
 「誤解しないで下さい。ただの友だちですから」と恥ずかしそうに言い訳して。
 真山も渡した。
 ドアのノブのところにプレゼントを掛けて、リカ(瀬戸朝香)に言う。
 「ここに戻ってくるためがんばります」
 はぐみも森田 忍(成宮寛貴)のところに行った。
 そしてふたをしていた自分の感情を話した。
 「頭から追い出そうとしたけど、忘れようとしたけど全然消えてくれない。森田さんのことが好きです」

 前に進む者と留まる者。
 どちらも苦い想いを噛みしめたのは同じだったが、前に進む者の苦さの方が深い。コクがある。

★心に残る者

 また前に進んだ者には別の景色が見えてくる。
 ニューヨーク行きを決めた森田(そう言えば彼も恋愛ではないが前に進んだ)。
 彼は自分の気持ちを打ち明けたはぐみに言う。
 「俺はこの中(現代美術館)のひとりになる。おまえもなれる。心が震える絵を描いてくれ。俺たちはライバルだ」
 恋愛は実らなかったが、はぐみの中に森田の言葉が突きささった。
 それは決して消えることのない言葉。
 結果、離れていても森田は常にはぐみの心の中にいることに。
 竹本は言う。
 「森田さんが残したものを受けて、彼女は前に進み始めていた。落ち込んでくれた方がよかった。行かないでってすがって泣いてくれた方がよかった」

 しっかりしろ、竹本。
 自分の気持ちを表現しなきゃ伝わらないぞ。あゆみのように。
 あるいは今の自分に自信がないのならはぐみにふさわしい人間になれるようがんばらなきゃ。真山のように。


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薔薇のない花屋 その2

2008年01月29日 | 恋愛ドラマ
 今のドラマってテンポが速くなってきている。
 次から次へと事件が起こらないと視聴者は待ってくれない。
 テレビっていうのは繊細な描写には向かない媒体だし。

★「薔薇のない花屋」はテンポが遅い。
 よく言えば人物を丁寧に描いている。
 ただ本質は描かれていない。
 汐見英治(香取慎吾)。
 ビデオでの妻のコメント、その父・安西輝夫(三浦友和)の言動から、英治は孤独で過去に大きな事件があった人間であることはわかる。
 ではその孤独とはどの様なものだったのか? その事件とは?
 不良との喧嘩で見せた相手を圧倒する目。狂気の目。
 それは過去に関係しているのだろうが、一体英治の過去とは?
 安西が美桜(竹内結子)に盲目の演技をさせてまで為そうとしている復讐の理由とは?
 この謎は3話まで明らかにされていない。以後もどうか?

 この謎が明らかにされないことがSPの様に劇的な効果を生むものなのか?計算されたものなのか?
 あるいはいずれ明かされるであろう英治の過去が陳腐なものだったら、この作品は駄作となるだろう。
 作者の構成力と想像力が試されている。

★美桜の描かれ方も本質に迫っていない。
 彼女の父親などからの言動で、彼女が「欲しいものを手に入れるためにわがままであること」、「わざと困らせて愛情を試すようなことをする」人物であることがわかる。
 彼女は自分を偽り、他人の中で無理をしている。
 しかし優貴(釈由美子)に見破られるほどわかりやすい。
 優貴は美桜の自分への挑発が嫉妬であることをすぐに見破った。

 第3話後半。
 美桜は英治にゲームを提案する。
 それは渋谷で自分を見つけてほしいというゲーム。
 作者としては都会の中でのファンタジーを狙ったのだろうが、一歩間違うと相手の愛情を確かめるわがまま行為ととられかねない。
 感情移入できない視聴者には「この人、頭おかしいんじゃないの?」ととられても仕方がない。

 作中の人物が突飛な行動を起こすにはそれなりの理由がある。
 この様なゲームを行う美桜も英治同様、暗い過去がありそうだが、それを早く明らかにした方がいいのではないか?
 その方が美桜に感情移入できる。
 例えば、「佐々木夫妻の仁義なき戦い」の律子(小雪)。
 愛人だった母親に育てられ悩んだことが明らかにされ、律子の言動に説得力が出て来た。(その過去の描かれ方は乱暴であったが)
 
 どうした野島伸司?
 書けなくなってしまったのか?
 今という時代とズレてしまったのか?
 それとも後になってプロの技を見せてくれるのか?
 こんなことで関心を惹くこと自体、作品としては失敗なのだが。


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篤姫 第4回「名君怒る」

2008年01月28日 | 大河ドラマ・時代劇
★於一(宮崎あおい) VS 藩主・斉彬(高橋英樹)!

 面白くならないはずがない。
 今回、於一は何をしでかしてくれるか?
 彼女は何を学ぶか?

 過去於一は調所や大久保の母らと相まみえ、心を通わせ様々なことを学んできた。
 第4回のタイトルは「名君怒る」。
 いやがおうにも期待はふくらむ。

★さて対戦。
 於一は父に教えられたとおりの挨拶。
 生け花ではなく『史書』を好むと答えたことで斉彬の関心をひいたが、対戦はこれで無事終了?
 と思いきや緊張がとけて於一はため息。
 それを斉彬に見られて必死の弁明。
 連日父親に特訓をさせられたこと。
 お守りのお礼を言うように父から言われたが、お礼は自分の心からの本心であること。
 やっと於一らしさが出て来た。
 格闘技で言えば、やっと自分の技が出せてきた感じ。
 しかし、これで対戦は終了?
 そんな於一ではない。
 「お聞きしたいことがございます」
 小松清猷(沢村一樹)は咎めるが斉彬は「構わぬ」と言う。
 そこで遠島から戻らぬ大久保一家のことを話す於一。
 斉彬は於一の話を聞いていずれ赦免すると約束。
 これで対戦は終わりと思いきや、於一、もうひとつ聞きたいこと。
 於一、ついに必殺技を出してきた。
 それは「なぜ反・斉彬勢力が罰せられないのか?」という問い。
 斉彬の答えは
 『力は力を呼ぶ。腕力には腕力、武力には武力で人は応じようとする。しかし、そこに生じるのは憎しみばかりじゃ』。
 憎しみの連鎖。
 すなわち9・11でテロを受けたアメリカが報復。憎しみは憎しみを呼び……。
 ということを於一は学んだ。

★見事な作劇である。
 この対戦により、於一と斉彬の人物が的確に描かれ、後の於一が斉彬の養子になるというエピソードに繋がった。
 また於一はさらに学び成長した。
 対戦がこれで終わりかと思わせておいてさらに展開させる手法も視聴者を巧みにくすぐっている。
 
★ラストのエピソードもいい。
 斉彬との一件を問いただす於一の父。
 しかし於一に煙に巻かれて一家揃って月見酒。(父親は娘に弱いのだ)
 この酒宴を最後に一家は激動に巻き込まれていくというナレーションで、この月見のエピソードがさらに意味のあるものになる。

 脚本は田渕久美子さん。
 「暗く陰湿に見られがちな幕末という時代を、明るく清々しい、人間賛歌のドラマに仕上げることができれば」と公式HPで述べられているが、うまい脚本家さんだ。


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エジソンの母 第3話

2008年01月26日 | その他ドラマ
 今回は「橋のうえのオオカミ」の話。

★物語の力というものがある。
 難しい言葉で書かれている論文も物語で描かれてしまうとスーッと入ってしまうみたいな。
 聖書なんかはその最たるものであろう。
 
 物語の力。
 この点で鮎川規子(伊東美咲)の授業は正しい。
 子供たちに体で実感させてみたりして、決して「つまらない授業」ではない。
 賢人(清水優哉)くんが指摘したのは「自然科学」の問題で「道徳」とは分けて考えなくては。
 ラストで賢人が女の子を助け起こしたのだって、母親の愛情とか父親が出ていってしまった寂しさとかを体験していて人に対する共感力を根底に持っていたから。
 物語の力もその一助を担っていただろう。
 美浦博之(谷原章介)が「やさしさなんて教えなくても身につく」というのは暴論だ。

★もっとも美浦が「つまらない」と言ったのは、子供たちが同じ様な画一的な反応をしてしまったことだろう。
 「橋のうえのオオカミ」という物語に対して、様々な意見が出ていいはず。
 賢人が投げかけた意見に対して子供たちは様々な意見を言い始める。
 「ウサギは二度とオオカミのいる橋に行くべきではなかった」
 「オオカミは自分の体を支えるためにいっぱい食べなくてはならない。だから仕方がない」など。
 作者は「オトナがひとつの方向に子供たちを持っていこうとする危険」を主張しているのだろう。
 戦前の道徳教育がそうであった様に。
 教育は、子供たちを社会生活を送れる市民にするために「型」にはめる作業であるが、その兼ね合いが難しい。
 「型」にはめすぎると「自由な発想」や「個性」が失われる。
 教育の永遠の課題だ。

★さて主人公たちの恋の物語はさらに発展した。
 規子には研修で知り合った教師・佐々木則和(安田顕)登場!
 美浦は賢人の母親・あおい(坂井真紀)に興味津々。エプロンつけて授業参観に参加。
 青柳美月(杉田かおる)の娘・玲実(村中暖奈)は賢人LOVE。
 人間関係に恋のスパイスは重要だ。


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鹿男あをによし 第2話

2008年01月25日 | その他ドラマ
★この作品の面白さはギャップだ。

 神の運び番に選ばれた小川孝信(玉木 宏)。
 彼は京都に行ききつねからサンカク(目)を受け取ってくることを命じられる。
 RPGっぽい展開。
 京都で行われる大和杯懇親会。
 小川には長岡美栄(柴本 幸)がきつねに見え、優勝トロフィがサンカクに思われる。
 小川はこうしたファンタジーの論理で行動している。

 しかし同行した藤原道子(綾瀬はるか)は普通の日常に生きている人間。
 小川の行動が長岡先生LOVEに見える。
 ちょっと悔しい。

 このギャップがこの作品の魅力だ。

 それは持ち帰った八つ橋にも言える。
 福原重久(佐々木蔵之介)にしてみれば、めったに手に入らない銘菓だが、小川にとっては何者かにすり替えられた品物。
 このギャップ。

 人はそれぞれ自分の論理で生きている。
 それを他人は十分に理解してくれず、そのギャップに悩む。孤独を感じる。
 普段、我々が漠然と感じていることをこの作品はファンタジーという形でデフォルメして描いている。
 考えてみると道子も自分の論理で生きている。
 彼女は「すぐ話が飛ぶ」と言って非難されているが、道子は道子で自分の論理で生きているのだ。

★事件の全貌も見えてきた。

 ラストに登場したのはナマズのしっぽ。
 このナマズが地震を起こしているらしい。
 それを阻止しようとしているのが鹿や小川たちで、彼らと対抗して地震を起こそうとしている勢力があるらしい。
 当座のミッションはすり替えられたサンカクを取り戻すこと。
 すり替えたのはネズミ。
 表面は紳士だが野心家であるという小治田史明(児玉 清)が怪しい。
 堀田イト(多部未華子)は鹿? 小川の仲間っぽい。

★綾瀬はるか!!

 この作品の魅力は男性ファンには綾瀬はるかさんだ。
 懇親会、お酌されちやほやされるのは長岡先生。(おそらく設定で男たちを惹きつける魔力みたいなものを持っているんだろう)
 それが綾瀬さん演じる道子には面白くない。
 お酌してもらえないで結局手酌。
 自分だったら道子にお酌すると思った人は多いだろう。
 長岡先生役の柴本幸さんも「風林火山」に出ててきれいな人だと思うけど。

※追記
 「鹿の口の骨格じゃ人間の言葉を発音するのは不可能だ。『い』の発音が出来ない」
 何とマニアックなせりふ!
 




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あしたの、喜多善男

2008年01月24日 | その他ドラマ
★今期のドラマは「いい人」が主人公の作品が多い。

 「あしたの、喜多善男」の善男(小日向文世)。
 「ボンビーメン」の小山一美(小栗旬)。
 「薔薇のない花屋」の汐見英治(香取慎吾)。

 この世の中で「いい人」が生きていくのは大変だ。
 「ボンビーメン」の一美は借金地獄。
 「喜多善男」の善男は自殺を考えている。

 善男の人生でよかったと思えることは元妻・みずほ(小西真奈美)と愛し合えたこと。
 美しい記憶。輝く思い出。
 だが、みずほと再会してその輝く思い出が幻想であったことがわかる。
 みずほは善男との記憶を否定したがっていた。
 過去にも裏切られ、未来にも希望の持てない男。それが善男だ。
 「いい人」の人生とはこの様なものなのか?
 「ボンビーメン」の一美は若き日の善男で、彼も善男の年齢になると自殺を考えるのか?

 こんな善男と対照的に「薔薇のない花屋」の「いい人」英治は幸せだ。
 愛する娘がいる。
 決してあせることのない死んだ妻との思い出がある。
 仲間がいる。

 もっとも死を前にした善男には平太(松田龍平)や元アイドル・宵町しのぶ(吉高由里子)など、心を通わせる仲間が現れたが……。

 いい人の人生とは?
 善良に生きるとは?
 美しいものなのか?つらいものなのか?
 それぞれの作者がどの様に結論を出すか見ていきたい。

※追記
 善男としのぶの関係は面白い。
 「○○させてあげる」
 「○○させてもらって嬉しい?」
 『させる』というのは受身の言葉。
 受身というのは受け入れるということ。
 一定の線は引かれているが、善男はしのぶに受け入れられているのだ。
 また同時に「嬉しい」と言ってくれる善男はしのぶにとっても救いなのだ。

※毎回出てくる中村屋のカレー。
 時々行くけど確かにおいしい。


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ハチミツとクローバー 第3回

2008年01月23日 | 学園・青春ドラマ
★それぞれの想いが交錯して流れる緊張した空気。

 お土産で蕎麦を買ってきた花本はぐみ(成海璃子)。
 蕎麦パーティ。
 だがはぐみは自分にキスをした森田 忍(成宮寛貴)のことを気にしている。
 それを知っている竹本祐太(生田斗真)はフクザツ。
 山田あゆみ(原田夏希)は酔っぱらって真山 巧(向井 理)に「好きだ」と言ったことを気にしている。
 何でもない蕎麦パーティで、心と心が火花を散らしている。

 これってドラマだ。
 単なるご飯を食べているシーンだけではつまらない。(ホームドラマなどではよくあるが)
 心が交錯して面白いシーンになる。

★さて、それぞれの恋。

 あゆみは真山を諦める決心をするが……。
 ラ・ロシュフコオの箴言にこんな言葉がある。
 「相手が目の前にいなくなれば、並みの恋は醒め、並々ならぬ恋は募る。ちょうど風が吹くとロウソクの火は消えるが、火事は勢いがはげしくなるように」
 あゆみの恋は火事の恋だった。
 消そうとしていったんは鎮火したように見えていたが、くすぶり続けていた火は再び燃え上がって。

 真山はリカ(瀬戸朝香)を支えるには今のままではいけないと覚る。
 そばに立っているだけでなく、支えられる一人前の男にならなければと思う。
 いったん断った就職。
 一人前になるためにどんなに罵られ格好悪くても頭を下げる。

 はぐみは恋愛未経験。
 少し時間が経って恋だと気づくのは、はぐみらしい。
 きっかけは海での唐突なキス。
 これで火がついた。
 しかし、はぐみの恋の火はなかなか大きくならない。
 いったん消えたように見えたが、森田に「花火を見に来いよ」と言われたことで再び点火される。
 森田の言葉が彼女の心の中に残っている。
 くすぶっている火。
 それが大きな炎になるのは花火の場から森田が立ち去ったこと。
 逃げられれば追いたくなるのが心情。
 これで完全にはぐみの心に火がついた。
 はぐみは恋愛など超越したキャラであってほしいと思うが、今後の展開を見守ろう。

 だらしないのは竹本。
 はぐみのまわりをウロウロしているだけ。
 ピンクカーテンをつけても、千円高い浴衣を着ても何も変わらないのに。
 もっともこの無器用さが青春なのだが。 

※追記
 今回のローマイヤー先輩は『すいか割り』。
 「すいか割りは恋に似ている。目隠し手探りで相手の心を探す。まわりの言葉を信じるか信じないか」
 詩人の先輩にかかると『すいか割り』も『恋の哲学』になってしまう。
 先輩の目に世界はどの様に映っているんだろう? 


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佐々木夫妻の仁義なき戦い

2008年01月22日 | ホームドラマ
 小雪さんが鼻血!?
 伊東美咲さんといい、最近は美女がコメディエンヌを演じている。

★テーマは結婚。
 恋愛時代は素晴らしく思えたことが、結婚していっしょに生活してみると……。
 大らかさはだらしなさの裏返し。
 知性とは減らずグチ。
 わかります! 実感!

 しかし佐々木法倫(稲垣吾郎)さん、出会いの時から気づくべき。
 『ソースとマヨネーズをかければ何でも美味しくなる』
 これはまずいものを美味しく食べる知恵ではなくて、大ざっぱだってこと。
 『映画を最初から見なくても想像力で補えばいい』
 これは名言でなくてただの減らずグチ。
 「なぜこの美女に今まで男っ気がなかったか?」
 結婚前に考えるべきでしょう。

★さてこんな佐々木夫妻の物語。
 第1回はニュータウンのゴミ置き場問題。
 家中をゴミだらけにしている佐々木律子(小雪)の現状とクロスして描かれる。
 法倫は相談者の小鹿力(小堺一機)に必要以上に共感。
 律子は過労で倒れた法倫の代わりに住民説明会をやって夫の気持ちを知る。
 ドラマとしていささか作り込みすぎの感じがするが許容範囲。(作り込みすぎるとそれが鼻についてしまう) 
 喜劇でありながらブッ飛び切れていないのも日曜劇場らしい。
 猪木さんの登場も唐突。
 法倫が病気で倒れるのも段取りっぽい。
 冒頭のテンポ・テンションが60分続いていればすごいのだが、中盤はどうしても落ちてしまう。

★登場人物の名はプロレスラーの名。
 馬場、桜庭、蝶野、古田新太さんの役は猪木。
 小鹿もそうだと気づく人は古いプロレスファン。
 山本耕史さんは小川、酒井若菜さんは鈴木、法倫先生たちは佐々木ってことは、小川直也に鈴木みのる、佐々木健介か?
  
 稲垣吾郎さんと山本耕史さんのレスリングの絡みはボーイズラブファンの想像をかき立てる?

※追記
 モーツァルトのCDにシャ乱Q。
 僕もよくやるからここは律子先生に共感。

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篤姫 第3回「薩摩分裂」

2008年01月21日 | 大河ドラマ・時代劇
★薩摩(鹿児島)の人にとっては桜島っていうのは心の拠り所なんでしょうね。
 於一(宮崎あおい)の部屋の丸い窓から桜島が見える。
 お国入りした島津斉彬(高橋英樹)の鶴丸城の窓からもそれが見える。
 借景。
 桜島は薩摩の人の生活と共にある。

★女性の結った髪や着物も江戸時代ものの楽しみのひとつ。
 於一の髪の結い方はお姫さまだけあって複雑。(解いたらすごく長いんだろうなぁ)
 一方、下級武士の大久保正助(原田泰造)の母の髪の結い方はシンプル。
 「功名ヶ辻」などの戦国時代の女性たちは髪を長く伸ばしていただけだけど、さすがは文化が爛熟した江戸時代、髪の結い方も凝っている。

 於一の着物も毎回の楽しみ。
 シンプルな柄だけどきれい。
 於一が新しい着物に着替えるたびに目が行ってしまう。

★物語は於一の視点で描かれる。
 目の前に起こる事件を彼女がどう目撃し関わったか。
 今回は薩摩分裂。
 反・島津斉興(長門裕之)の勢力が粛正される。
 大久保は謹慎。
 それを励ます行動派・於一。
 カツオをお見舞いに持っていき、御酒と鯛を復帰祝に持っていく。
 そこで於一が学んだこと。
 誇り。
 「私たちは物乞いではありません。貧しくても生き方に誇りを持っています」
 そう言われて気分を悪くする於一ではない。
 本音でぶつかって来られてむしろ嬉しい。
 見舞いにいくという自分の行為も偽善ではなく心からそうやりたいと思ったことだからだ。
 そして誇りの意味を母に問う。
 「誇りとはその人をその人たらしめているもの。その人の生き方を支えているもの」
 これで於一はまた新しいことを学んだ。

 大久保、西郷吉之助(小澤征悦)もそんな於一に心服した。
 やさしい心遣い。
 豊かな感受性と共感する力。
 失礼なことを言ったにもかかわらず、その言葉を真剣に受け取ったきれいな心。
 こうして作られていく人間関係。
 人と人が信頼で結ばれていく姿を見るのは気持ちいい。
 こうした絆が歴史を動かしていく。

★ラストの於一。
 真面目に習字をしていると思いきや、まぶたに目を描いて。
 「お兄様にも見せよう」
 このお姫様、次に何をしてくれるかワクワクする。
 キャラクターがドラマを作るということをしっかりと教えてくれる。

※追記
 「大変です。カツオがなくなりました」「姫様が消えました」
 このやりとりだけで於一がカツオを持って大久保邸に見舞いに行ったことがわかる。
 ここで『於一が大久保邸に行く決心をするシーン』や『カツオを盗むシーン』を描く必要はない。
 うまい省略の仕方だ。

 この省略は作者が気に入ったのかもう一度繰り返された。
「御酒がなくなりました」「鯛がなくなりました」「姫様が消えました」


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