平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「新空港占拠」~テレビドラマは実況ツッコミを入れながら見る時代になったようだ!

2024年01月26日 | 推理・サスペンスドラマ
 ツッコミ所満載! ドラマ『新空港占拠』(日本テレビ系 土曜22時)が面白い!

 最近、僕はタブレットを購入したが、
 タブレットでネット掲示板の「実況」を読みながら見るのに、この作品はうってつけなのだ。
 ネット民たちはこんなツッコミを入れながら『新空港』を見ている。

 櫻井翔さんの演じる刑事が透明ビニールでグルグル巻きにされてダストシュートを滑走すると──
・サクラップ、キター!
・コントやめろwww
・腹痛いwww
・今季NO.1ギャグドラマ!
・完全にふざけて作ってるだろうwww

 櫻井さんの刑事が耐爆防備容器に爆弾を入れて、ふたを手で抑えて爆発を阻止すると──
・手で押さえてるwww
・手で防げるパワーwww
・日テレってバカなのかwww

 人質のパワハラおじさんが水槽に入れられて水責めにされると──
・おっさんの水責めとか誰が見たいんだよwww
・どこから水槽を持って来たんだよwww
・ビッグモーターかよwww

 その他、秘密の脱出口が見つかって、人質が逃げる順番をあみだくじで決めたり、
 逃げる女性空港社長のコケ方がギャグだったり、ともかく面白い!
 ………………………………………………………………………

 櫻井翔さんの主人公の決めぜりふも話題になっている。

 定番は「うっそだろ……?」(嘘だろう?)
 バージョン違いで「ふざけやがって!」「こいつら人間じゃねえ!」

 視聴者は「うっそだろう……?」がいつ出るか、楽しみにしている。

 もうひとつの楽しみは仮面を被った犯人の正体が毎回ひとりずつ明かされていくこと。
「今回は誰だ?」
「あの仮面を被った人はanoちゃんに違いない」
「今回は山谷花純。らんまんの長屋に出てた人か」
「高橋メアリー・ジェーンは決定だな」
 仮面の下から見える口もとでネット民たちはさまざまに推測する。
『大病院占拠』でもそうだったが、これもこの作品の楽しみのひとつだ。
 ………………………………………………………………………

 女優陣が素晴しい!
 僕の好きな人ばかりだ。

 主人公のバディ刑事役で瀧内公美さん!
 僕は『リバーサルオーケストラ』でファンになったのだが、準主役か!
 amazonのCM(バスに乗って街を見ている女性)にも出ていて
『amazon姉さん』とも呼ばれている。
 第2話のラストでは敵の罠にはまってミンチにされそうになっていたが、大丈夫か?

 情報分析官役で白石聖さん!
 演じているのはとんでもなく優秀な分析官。
 一瞬で、防犯カメラの映像を捜査本部に集め、
 一瞬で、あとどれくらいで水槽の水がいっぱいになるか計算し、
 一瞬で、偽装遺書のフェイクを見破る!
 彼女がひとりいれば刑事とか要らないだろう。笑
 ネットではPCのキイボードを打つ彼女の指がきれいだと評判←よく見てるなぁ。

 というわけで『新空港占拠』第3話は27日(土)22時~放送。
 次回は走るのを止めると死んでしまう『殺人ランニングマシーン』が登場するらしい。笑

 テレビドラマは実況ツッコミを入れながら見る時代になった!


※関連動画
 「新空港占拠」第2話ダイジェスト/主演・櫻井翔【日テレドラマ公式】(YouTube)

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「ハヤブサ消防団」~おっさんばかりの、田舎の消防団のドラマがバズる時代

2023年09月16日 | 推理・サスペンスドラマ
 本日(16日)は僕の住んでいる街のお祭り。
 僕は自治会の理事をやっているので、御神輿の交通整理で駆り出される。
 その際、いっしょに交通整理をしてくれるのが、地元の消防団の皆さんだ。

 ドラマ『ハヤブサ消防団』
 巨大火災と立ち向かうカッコイイ消防員の話かと思っていたら、
 田舎の消防団の話だった。

 しかも登場するのは、岡部たかしさん、梶原善さん、橋本じゅんさん……。
 おっさんばかり……。
 主役の中村倫也さん、山本耕史さん、満島真之介さんはまだ若いが、おっさんに近い。
 そんな中、紅一点が川口春奈さん。
 川口春奈さん、おいしい役だ。

 おっさんばかりのドラマは『ファーストペンギン』などがあったが、
 今は「おっさんばかり」でも成り立ってしまう時代だ。
 逆にイケメンばかりのドラマ『真夏のシンデレラ』は低視聴率。
 ツッコミ所満載でそれが話題になっていたが……。

 やはりテレビドラマのニーズも変わって来ている。
 イケメンを出せば視聴率を取れるという時代ではなくなった。
 しっかりした「ドラマ」と二番煎じでない「オリジナリティ」と「考察」の対象になるミステリー要素が求められている。
 …………………………………………………………………………

 犯人の目的は次の2点ですぐにわかった。
・宗教団体・アビゲイル騎士団
・太陽光発電を手掛ける「ルミナスソーラー」が太陽光発電に不向きな土地も買い占めていた。
 このふたつの点を掛け合わせれば。

 そう言えば日曜劇場『VIVANT』のテントも土地の買い占めを行なっていたな。
 テントの土地買い占めがわかった時、「アビゲイル騎士団かよ!」とツッコんだのは僕だけではないはず。

 主人公の推理作家・三馬太郎(中村倫也)が放火犯を推理するくだりはミステリーとしては弱い。
 何しろその推理の根拠が、車のエンジン音とベンジン。
「音」で推理するというのはミステリの古典『ブラウン神父』シリーズの中にあった。
 ベンジンが車にあったというのもなあ……。
 普通、処分するだろう。

 怖ろしいのは『人間の二面性』。
 身近で心を通わせていた人は実は○○○だった、というのは実に怖ろしい。
 あとはカルト宗教の熱狂、狂信。
 ラストの終わり方はまさにそれだった。
『アビゲイル騎士団』の女神は次々と登場するのだ……。

『ハヤブサ消防団』
 ドラマの特異性という点で面白いドラマだった。
 今までだったら「池井戸潤さんの原作だが、田舎の消防団の話か。地味だな……」と言われて、
 企画の段階で却下されていただろう。
 視聴者は今までに見たこともない作品を見たいのだ。
 それはサブスクで海外ドラマをいくらでも見られる現状では当たり前のこと。
 オリジナリティのあるドラマはサブスクの中にいくらでもある。
 過去の成功体験に囚われた同じようなドラマは誰も見ない。

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エルピス 希望、あるいは災い~世の中には「嘘をついて平気な人」と「嘘をついて壊れてしまう人」がいる。

2023年03月17日 | 推理・サスペンスドラマ
『エルピス 希望、あるいは災い』を一気に見た。
 サブスクのいい所はこれなんですよね。
 面白いドラマやアニメを一気に見られる。

 作品は女子アナウンサーの浅川恵那(長澤まさみ)と若手ディレクターの岸本拓朗(眞栄田郷敦)が、ある連続殺人事件の冤罪を晴らしていく物語だ。
 しかし彼らが担当しているのは『フライデーボンボン』という深夜のバラエティ番組。
 おまけにこの事件は大物政治家の絡んでいる案件らしく、上から圧力がかかる。
 しかし、ここで引き下がったら、犯人とされた松本良夫(片岡正二郎)は死刑になってしまう。
 ……………………………………………………………

 世の中には「嘘をついて平気な人」と「嘘をついて苦しむ人」がいる。
 前者は政治家とかが多いかな?

 浅川恵那と岸本拓朗は後者だ。

 恵那は過去にニュース番組のアナウンサーをしていた。
 だが彼女が読んでいたのは自粛と忖度だらけの原稿。
 恵那はこのことに苦しみ、食べ物を受けつけず、食べれば吐いてしまう体になってしまった。
 自分を偽り続けていると人は壊れてしまうのだ。

 拓朗は、いじめで自殺した同級生を助けられなかったことに罪悪感を抱いている。
 これまで拓朗はこの罪悪感から目を逸らし、自分をゴマかして生きて来たが、
 冤罪事件のことを調べていく過程で、もう逃げてはいけないと決意する。

 そんな恵那と拓朗が傷つき、絶望しながらも、真実の報道をしようとする。
 偽りの自分を否定して心の中のものを吐き出す。
 恵那は叫ぶ。
「心の中の大切なものをどうして押しつぶされて生きていかなくてはならないのよ!
 これのどこに希望があるのよ!
 人として当たり前に生きていたいだけよ!」

 圧巻のドラマだった。
 BG少なめで、過剰な演出はなく、カメラは役者さんをそのまま映す。
 映画を観ているような感覚だった。

 脚本は渡辺あやさん。
『相棒』の脚本も書かれているが、社会問題を扱った内容が多い。

 タイトルの「エルピス(Elpis)」とは、様々な災厄が飛び出した「パンドラの箱」に残された「希望」あるいは「災い」の兆候のことを言うらしい。
 冤罪事件というパンドラの箱が開いてしまい、恵那と拓朗は「希望」と「災い」の間をさまようのだ。

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「警視庁アウトサイダー」~お笑い刑事ドラマ! 西島秀俊さんの極道刑事がプロレスのリングにあがり、血を見ると失神する!笑

2023年01月19日 | 推理・サスペンスドラマ
 冬ドラ『警視庁アウトサイダー』も面白い。
 三人の刑事が完全なお笑いトリオなのだ!

・架川英児(西島秀俊)
 組織犯罪対策部(暴力団)の刑事だったが、今は殺人事件の刑事に。
 サングラスをかけ、見た目は極道。でも血を見るとふらつく。笑
 捜査手法もコンプライアンス無視でムチャクチャだが、なぜかそれが解決に繋がる。笑
 新しい言葉(「パリピ」「バクタンサイ」)を知るとやたら使いたがる。笑

・水木直央(上白石萌歌)
 新人刑事。実父は警視庁の副総監。
 事務職が希望であったが、地域課から刑事課へ異動となる。
 すぐに「えっ?」と聞き返し、架川をイラつかせる。
 刑事言葉を知らない。
「地取りしろ」   →携帯で「自撮り」を始める。笑
「よし、かますぞ!」→魚のカマスを思い浮かべる。笑
 架川と蓮見が近距離でしゃべっていると、男同士でデキているのではないかと疑う。笑

・蓮見光輔(濱田岳)
 桜町中央署刑事課のエース。
 実は「蓮見光輔」ではない。蓮見になりすまして、ある事件を追っている。
 ボケ担当の架川と直央のツッコミ役。
 架川のヤクザ言葉を警察用語と勘違いして『警察用語集』で調べる。

 というわけで、この作品、お笑い満載の刑事ドラマなのだ。

 小ネタも満載。
 微糖の缶コーヒーの名は『イサオの微糖』笑←つまり尾藤イサオさん。
 ブラックの缶コーヒーの名は『しげるのブラック』笑←つまり松崎しげるさん。

 とはいえ、この作品、お笑いばかりでなくミステリー要素もしっかりしている。
 ネタバレになるので書かないが、先週の2話のトリックなど、なかなかよかった。

 元欅坂46の長濱ねるさんが若手婦人警官役で出ている。
 朝ドラ「舞いあがれ」といい、最近ねる、テレビに出まくってるな。
 昨日のお笑い芸人ニューヨークの番組にも出ていた。

 さて今夜は第3話。テレ朝系21時。
 肩の力を抜いて楽しむにはちょうどいいドラマだ。

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霊媒探偵 城塚翡翠~「私ったら、うっかりさんです」 かわいい探偵・翡翠を見られるのもあと1回!

2022年12月24日 | 推理・サスペンスドラマ
 明日、最終回を迎える『霊媒探偵 城塚翡翠』

 1話~5話
 5話で話が一気にひっくり返ったのは面白かった。
 犯人は何となく予想がついたけど、実は驚きは他にある。
 1話、2話で挫折した方はぜひ5話まで見ることをお薦めします。

 6話~最終話までは『倒叙方式のミステリー』。
 犯人が最初にわかっていて探偵が推理して犯人を追い詰めていくミステリー形式。
 例をあげれば『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』。

 解決編に入る前に城塚翡翠(清原果耶)は視聴者に向かって、こんな感じの口上をおこなう。
「さて、ここからは解決編です。
 ここまでで真相はすべて語られています。
 なぜ○○○は☓☓☓したのでしょう? キイワードは□□□。
 城塚翡翠でした」

 古畑任三郎か!笑
 でも、清原果耶さんがやるから可愛らしい!
 新しい古畑任三郎の登場だ。

 以下、少しネタバレになるので未見の方はパスして下さい。








 ………………………以下、少しネタバレ

 さて城塚翡翠。

 実は、この子、実は性格が悪い……笑
 こんなに可愛いのに……!
 清原果耶ちゃんなのに……!

 そして口調がムカつく。
「なるほどさんです」
「不思議さんですね」
「私ったらうっかりさん!」
 いちいち「さん」をつけるなっ!笑。
 まあ、清原果耶ちゃんだから許せるんですけどね。

 そんな視聴者の気持ちを代弁してくれるのが、翡翠のアシスタントの千和崎真(小芝風花)だ。
 真は漫才のツッコミのように翡翠の頭をパシッ! と叩く。
 その叩き方が心地よい。
「デコピンするぞ!」と翡翠を脅したりもする。
 それは今泉くんの頭を叩いた古畑任三郎の逆。

 でも、翡翠と真ちゃん、いいコンビなんですよね。
 翡翠には事件の全貌が見えているのに真にはわからない。
 それはまるでホームズとワトスンのよう。
 翡翠は着せ替え人形のように毎回、豪華な衣裳をしているのに、真はダサいTシャツ。
 たとえば、怪獣のプリントされたTシャツで『ぷてらの丼』と書かれている。笑
 そんなTシャツを真ちゃんはお洒落だと思っている。
 真は完全に翡翠の引き立て役で、翡翠にコキ使われるのだが、
 時には翡翠の頭を叩き、「デコピンするぞ」と言う。
 このふたりのやりとり、見ていて楽しい!

 脚本では揉めたらしい。
 当初の脚本は黒岩勉さん。
『ライアー・ゲーム』『謎解きはディナーのあとで』『絶対零度』『ストロベリーナイト』
 ミステリーを書かせたら、今、一番の脚本家さんだ。
 原作のアレンジも上手い。
 そんな黒岩さんが原作の相沢沙呼さんと揉めたらしい。
 どんなことで揉めたのかはわからないが、
 黒岩さんは降板し、脚本を原作の相沢さんが書いたり、手直ししたりすることになった。
 まあ、さすが原作者だけあって、相沢さんの脚本、すごく面白いんですけどね。
 ただ黒岩勉版の『城塚翡翠』も見てみたかった気もする。

 さて、明日は杉本哲太さん演じる最強の敵との戦いの後編。
 そして最終回。
 楽しみだ!

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相棒21 「眠る爆弾」 ~今回のエピソードは「旧統一教会問題」をモチーフにして作られたのだろう

2022年11月10日 | 推理・サスペンスドラマ
 3つの爆弾の物語である。
 ひとつめは、冒頭の大学校内で爆発した爆弾。
 ふたつめは、三沢准教授(山崎潤)に仕掛けられた爆弾。
 みっつめは、眠る爆弾。

 みっつめの「眠る爆弾」について書けば、
「大学の研究費の低さ」だ。
 社会に有益な研究なのに国から資金が下りない。
 不況で資金を出す企業もない。
 これが今回の犯行を招いてしまった。

「眠る爆弾」
 言い換えれば「潜在する社会問題」だ。
 ラスト、右京さん(水谷豊)は言う。
「眠る爆弾。これは積もり積もっていつ爆発するかもしれません」
 亀山薫(寺脇康文)は言う。
「俺たちが気づかないだけで、本当はそういう爆弾がまわりにたくさんあるのかもしれませんね」

 さて、この「眠る爆弾」について、最近起こった事件を思い起こす人も多いだろう。
 安倍晋三氏銃撃事件だ。
 安倍氏は「旧統一教会」という「眠る爆弾」が爆発して殺害された。
 あの事件が起こるまでは、旧統一教会は一部の人を苦しめていたが、
 この20年間、社会問題として大きく取り上げられることがなかった。
 このことが山上容疑者の犯行を招いてしまった。

 今回のエピソードは、7月8日の事件をモチーフにして製作されたのだろう。


※追記
 三沢准教授に仕掛けられたふたつめの爆弾についてはネタバレになるのでキイワードだけ。
 下半身に掛けられた毛布。
 クラッシュ・シンドローム。
 なるほど、こういう殺害方法のトリックもあるのか。

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相棒21 「逃亡者 亀山薫」「最後の晩餐」をまとめてレビュー!

2022年11月03日 | 推理・サスペンスドラマ
『逃亡者 亀山薫』(10月26日放送)

 普通に考えれば刑事・羽柴(波岡一喜)が犯人になる。
 クスリの横流しがバレて塩見を殺害した羽柴。
 これを追及する亀山(寺脇康文)が邪魔なので殺人犯になってもらう、という流れだ。
 だが、これでは30分で終わってしまうので、ひとひねりが必要。

 本当にクスリを横流ししたのは誰なのか?
 息子の難病と高額な手術料。
 羽柴も難病で息子を亡くしていた。
 クスリの売人の強請。

 これ以上はネタバレになるので書かないが、
 これらのピースを繋いでいくと真相が見えて来る。

 刑事のしたことは「人としては」正解かもしれない。
 しかし「刑事としては」やってはいけないこと。
 右京さん(水谷豊)は言う。
「不都合な真実を隠し通すことは愛情とは言えません」

 本当の人生は不都合な真実と向き合うことから始まるのだ。
 ………………………………

『最後の晩餐』(11月2日放送)

 何て鮮やかな語り口!
 右京さんはバーで堂島と会話。
 外で亀山が動きまわり、聞き込みをする。
 ふたりの連絡手段はショートメール。
「静」と「動」の見事な連携だ。

 ラストですべてが180度ひっくり返るのもお見事!

 堂島(矢柴俊博)はこんな男だ。
「自分が何かをすれば不幸が起こる。
 だから何も成し遂げず、誰とも深く繋がらず生きて来た。
 自分は空っぽだった。
 だが、娘が現われて、これから娘のために生きようと思った」

 堂島がこう言った理由は、自分のやったことで娘の由季が殺されてしまったからだ。
 由季を失った堂島は死を考える。
 バーのカレーのことが気になり『最後の晩餐』を食べに行く。
 しかし──
 ラストで、こんな堂島の人生が大きく変わる。
 堂島の人生は決して空っぽではなかった!

 キイワードは「別れた亡き妻の梅酒」「バーのカレー」「チャップリンの街の灯」
「亡き妻の手紙」「由季へ」「手切れ金」「クラブのママ」。
 これら散りばめられた伏線がすべて回収される。

 右京さんはラストで語る。
「悲観的になって幕を下ろさなければ、人生はいずれハッピーエンドになる」

 実に鮮やかな物語でした。

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相棒21 「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」~亀山薫登場で、右京さんの小賢しい推理なんか要りません!

2022年10月13日 | 推理・サスペンスドラマ
 亀山薫(寺脇康文)が帰って来た!

 亀山のもとに送られて来た脅迫文。
「アイシャ(サヘル・ローズ)を殺害しなければ飛行機を爆破する」
 飛行機には亀山薫の妻・美和子(鈴木砂羽)と150人の乗客が乗っている。
 右京(水谷豊)はさまざま情報をもとに「飛行機爆破はブラフで飛行機は安全に着率する」と推理するが、亀山は葛藤してこう叫ぶ。

「飛行機が安全に降りるって保障できますか!?」
「右京さんの口車に乗って飛行機が落ちたら俺は後悔します!」
「ひとりの命のために150人の命に引き換えにしていいとは思えません!」
「右京さんにとっては他人事なんですよ!」
「右京さんは黙ってて下さい! 右京さんの小賢しい推理なんか要りません!」

 亀山節さく裂である。
 長きにわたって相棒を務めた冠城(反町隆史)はあまり感情をあらわにしないスマートな人物だったので、新鮮でもある。
 飛行機爆発で死ぬかもしれない美和子に動画送ってくれと頼んだり、
 空港で美和子を抱きしめて泣いたりするのも亀山薫だなあ。

 感情の爆発。
 泥臭さ。
 最近の『相棒』に欠けていたのはこれだった。
 ドラマがあまりにもスマートになりすぎていた。

 右京さんは権力を利用する術を覚えた様子。
「これを聞いたら、あなたたちは共犯者になりますよ」
 と鑓鞍兵衛(柄本明)や片山雛子(木村佳乃)の好奇心を刺激し、なかば脅迫して
 内閣調査室を動かした。
 実にしたたかである。

 ただ、今回は右京さんの敗北。
 アイシャは自分が死ねば飛行機は爆破されず150人の命が助かると考え、自殺した。
 それが正しい行為かはわからないが、利他的な美しい心の持ち主ではあった。
 感情をぶつけた亀山もそうだが、右京さんの理性では解決できないものが世の中にはあるのだ。
 どんなに右京さんが合理的に説明しても、アイシャは自殺していたのではないか?
 ここに右京さんの限界がある。

 亀山がもたらすプラスアルファ。
 感情という理性では割り切れないもの。
『相棒』はこれで豊かなものになっていく気がする。

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「マイファミリー」真犯人を考察する!~犯人はズバリ! 阿久津さんではないか?

2022年06月11日 | 推理・サスペンスドラマ
 明日最終回を迎える『マイファミリー』(TBS)。
 巷間、真犯人は誰か? で盛り上がっているようだが、僕もちょっと考察してみよう。

 阿久津晃(松本幸四郎)

 おそらく犯人は阿久津さんであろう。
 動機は娘の実咲(凛美)と妻の絵里(森脇英理子)を守るため。

 ここからは想像だが──
・実咲は5年前、東堂(濱田岳)の娘・心春(野澤しおり)を何らかの原因で死なせてしまった。
・阿久津はこれを誘拐事件に見せかけて隠蔽。
・実咲の記憶も何らかの形で改変した。
・しかし藤堂の仕組んだ2件の誘拐事件のせいで実咲の記憶がよみがえりつつあった。
・その記憶を呼び覚ましたきっかけは誘拐事件と実咲のタブレットの中の画像。
・心春が自分のせいで死んだという記憶がよみがえれば、実咲は罪の意識にとらわれる。
・心臓の病気の妻の絵里もショックを受ける。
・だから阿久津は第3の誘拐事件を起こして、藤堂と温人(二宮和也)を犯人に仕立てあげようとした。

 どうです?
 実咲の記憶の改変の部分は無理がありますが、その他は辻褄が合うのではないでしょうか?
「家族」という作品のテーマにも合致しますし。
 さて、明日21時の答え合わせやいかに?

 それにしても今の推理ドラマは「犯人当て」が主流になりつつあるなあ。
 テレビドラマがネットの考察と連動する。
 それは推理ドラマだけではなく、
『ドラゴン桜』でも「誰が合格するか?」「誰が本当の黒幕か?」「OGの誰が最終回で登場するか?」で盛り上がった。
『カムカムエヴリバディ』でも「アニーは安子か?」で盛り上がった。

 テレビドラマも新しい仕掛けが要求される時代になったのである。

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相棒20 「冠城亘最後の事件」~「相棒」は転機に来ているのかもしれない

2022年04月01日 | 推理・サスペンスドラマ
『相棒20』最終話「冠城亘最後の事件」

 ミステリーは数学に似ていて、公式を知っていると案外簡単に答えが導き出される。
 それは解き方を知っていれば暗号が解けるのと同じである。
 公式はトリックと言い換えてもいい。
 公式・トリックを知っていることはミステリーの真相解明のためのキイとなる。

 今回のエピソードの公式は以下のふたつ。
 以下、ネタバレ。


1.ふたりの人物が人前でケンカしていたらふたりは共犯者
2.交換殺人

「ふたりの人物が人前でケンカしてたらふたりは共犯者」は僕が思いついた公式だが、
 アガサ・クリスティの某作品、坂口安吾の某作品で使われていた。

 このようにミステリーは既存の公式(トリック)を手を変え品を変え、いろいろな公式を組み合わせて作られている。
 …………………………………

 冠城(反町隆史)の退場(公安行き)に関しては、理由がはっきりしない分、スッキリしないなあ。
 おそらく美彌子(仲間由紀恵)とマリアのためなんだろうけど。

 いみじくも鑓鞍兵衛(柄本明)が「今どき、刑事ふたりなんて流行らないんだよ」と言っていたが、もしかして自虐? 自戒?
『相棒』は大きな転機に来ているのかもしれない。
 一周まわって『特捜9』といったチームで戦う刑事物が新しかったりするし、
 2クールにわたって犯人当てをする『あな番』『真犯人フラグ』、
 ミステリーなのに人生論を語る『ミステリーという勿れ』という新機軸も出て来た。

 さて、青木年男(浅利陽介)もいなくなったし、すべてがリセットされた『相棒』はどこへ行く?
 右京さん(水谷豊)を一時的に捜査一課の課長にしたり、
 毎回相棒を違った人物にして(以前もあったが)、誰が最終的に『相棒』になるかを視聴者に予想させるみたいな仕掛けが必要かもしれない。

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