折々スケッチ

小さなスケッチブックやハガキに水彩と鉛筆ペン等で描いた絵を中心に、感じたこと等日記代わりに添えています。

畑の中の応接間

2022年06月04日 | 風景

パラソルの下で



高校の同級生だったSさんはここ数年病院以外は出かけることも少なくなり気分も不安定。私が暇人だと分かっているので電話をかけて来ては1時間ほども話します。元気だった高校時代の話の他は「もう家の前の田んぼの田植えが始まったよ」「桑の実が収穫できたから1年分のジャムになるよ・・・」などという話は羨ましくてたまりません。話の途中でご主人が「枇杷が食べごろになったので、枇杷の食べ放題に来ませんか」と。「枇杷ですか~っ! 行きます!」と即返事。彼女の家に行くのは多分50年振り。

彼女の家までは自転車、私鉄、JR中央線と乗り継いで、それからバスで30分。なのですが、JR駅までご主人が迎えに来てくださって意外に早く着けました。国道を離れれば水田が広がり、そうそうこの風景が見たかったと私。

Sさんのご主人は勤め人だった方で、分譲地を買って結婚以来住み、家の前の畑を借りて色々な野菜や果物づくりをされています。その畑の中にパラソルを立ててテーブルを置き「ここが外の応接間なんですよ」と。畑の前も横も早苗が揺れる水田に囲まれて、白い雲を浮かべた空は広いし遠くには低い山が青く見える。ヒラヒラとモンシロチョウ、時々シュッと飛ぶのはツバメ。足元にはカモミールの白い花やオオバコ。こんなに茎をのばしたオオバコを見たのはいつ以来かしらと何を見ても楽しいものばかり。
途中で買ったお弁当と山盛りの枇杷をいただきながらおしゃべりすれば、日差しは強いのにパラソルの陰の涼しさが何とも気持ちいい。
「田んぼの上を吹いてくる風は涼しくてクーラーも余りつけなくてもいいくらいよ」なんて言うのはまたまた羨ましいことです。



ビワとブラックベリーと桑の実



お土産用にと畑のニンニクを抜いて、枇杷や桑の実をもいでいただきながら欲張って「枝付きのも欲しいのですが」と。その上赤や黒い実を付けたブラックベリーを見つけると「これも一枝」と遠慮なしの私でした。
庭に沢山の鯉を泳がせて、ゆったり構えた猫さんとの暮らし。「名古屋の家を売ってこっちに越して来ない?」と彼女は時々言うけれど、住み慣れた場所は移れないし、車を持たない私にはここの暮らしは出来そうもない。

Sさんとご主人は同い年(私と同い年でもある)で、Sさんは数年前から介護が必要になっている。「もう少し元気でいてくれるといいんだけどねぇ・・・ネコさん(私のこと)と話していると今日は元気だったよ。また来てください。」駅まで送ってくださったご主人の言葉に「ありがとう。また・・・」と私。若い時は女親分のように頼もしかったSさん、今は駅まで一緒に来る気力もないようで、家の前で別れた姿が寂しそうでした。これからも話が出来る間は、また会いに行こうと思っています。




桑の実‥・ジャム上手にできるかしら


10年前には向こうに見える建物も電柱も無かったけどね・・・と

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