ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2019.6.17 滞在最終日 旅のフィナーレはこの上なく美しく優雅にROYALに・・・

2019-06-17 22:09:17 | 

 昨夜は露天風呂で美しい月を愛でた後は、大浴場の隣のサロンへ。前の方の時間が押していて予約時間より少し遅れてのスタートになった。担当のIさんにお願いするのはこれで3度目。すっかりお任せでもう身体はゆるゆる。既に大分眠かったので、そのまますんなり眠りにつけるようにスイートオレンジとマグノリアの精油をチョイス。昨日より10分ほど短いベーシックコースだったけれど、十分満喫した。

 Iさんが仰るには、身体が緩んでいて、肩甲骨もいい感じに動いたとのこと。殆ど夢心地で施術後のカシスティーを頂き、「明日は素敵なお誕生日でありますように。」と言って頂く。「ありがとうございました。おやすみなさい。またお世話になりたいです。」とご挨拶してサロンを後にした。
 部屋に戻ったのは日付が変わってまもなくのこと。夫も半分寝ぼけながらドアを開けてくれた。そのまま二人でバタン・キュー。5時間ほど連続して眠れたが、遮光カーテンの隙間から明るい陽が差し、起床予定時間より1時間半ほど早く目覚めてしまう。
 一昨日は暴風雨、昨日はこちらの方たちでも驚くほどの酷い風の日だった。今日、帰京する日は海も空もとても凪いでいて穏やかだ。

 まだ朝食まで大分時間があるので、ひとまず温泉へ。相変わらず夫は朝風呂なんてもってのほかのようで、行くのはいつも私一人である。温泉に来たら、起きたらお風呂!と思う女性は多いようで、大浴場は夜よりも混雑していた。露天風呂で美しい海と空を見ながら、いい誕生日だなと有難く思う。
 昨日、一昨日ともクローズ間際にレストランに入っていたが、今日は一番乗りのつもりで出向いたところ、3日間で一番混んでいた。朝早く朝食を摂ってお出かけする方が多いということだろう。

 今日の帰路は THE ROYAL EXPRESS。2017年7月のデビューからもうすぐ2年になるという。
 そもそも1月にこちらに来た時に初めてこの列車を見かけて、素敵だな、乗ってみたいなと思った(息子の影響か私も大分鉄度が高い。)。調べてみたところ、毎日運行しているわけでもないことが分かった。たまたま夫が6月運行分に今日の帰路が当たっていると気づいたのは、募集締め切り前日のこと。

 人気列車だし、とても当選などしないだろうけれど・・・とダメ元で応募したところ、ほどなくして当選のハガキが届いてびっくり。こんなにタイミング良い誕生日プレゼントは他にない、ちょっとどころかかなり贅沢だけれど(ゴールドクラスは募集なし、プラチナクラスのみとのことだった。)、これは神様の思し召し、とか何とか都合よく自己正当化して申し込んだ次第である。食事つき乗車と宿泊・現地観光もセットされたクルーズプランもあったようだが、今回は食事つき片道乗車のプランである。

 そんなわけで最終日程のご案内を見ると、9時15分受付開始で9時半が集合時間。10時半前に出発し3時間後には終点のJR駅に到着してしまう。その間にフルコース料理を頂くとなると、かなり早めの昼食スタートになるだろうから、今日は朝からお腹一杯にするのはやめておこう、と夫と控えめに。とはいいつつも、ついつい目が卑しい私である。

 部屋に戻って朝の連続テレビ小説を視、パッキングを済ませてチェックアウト。「おかげさまでとても良い誕生日が過ごせました。」とご挨拶。朝一番のシャトルバスは補助椅子まで活躍している。

 駅に到着すると、既に受付がオープンしていた。ユニフォーム姿の女性からロイヤルブルーのバッジと小さなクリアファイルに入った今日のご案内一式を頂く。既に列車は入線しているが、乗り込むまで暫しお待ちをとのこと。ロイヤルブルーのボディにゴールドのロゴが素敵である。すっかりいい気分でご案内の女性スタッフと記念写真撮影。スマートカジュアルの服装指定だったので、ちょっぴりお洒落なワンピースを新調した。

 ほどなくして、入り口が開錠されてホーム各車両にクルーがお出迎え。女性クルーがタグをつけ、キャリーケースを持ってくださる。そこかしこで記念写真も撮って頂く。もうVIP対応で照れ臭いほど。「今日はプラチナクラスは、ほぼ貸し切り状態ですよ。」と言われてまたまたびっくり。当選通知を頂いたのだけれど、ゴールドクラスはツアーで満席、一方プラチナクラスは私たち夫婦と3人家族の合計5人なのである。
 そもそもゴールドクラスとプラチナクラス合わせて100席しかなく、プラチナクラスは2両で30数席。それを5人で使って良いなんて・・・。記念日に乗る方が多いようだけれど、本当にドンピシャで誕生日という方は本当に少ないそうだ。

 私たちの席は7号車、そして食堂車は5号車だそう。席に着くと「今日担当させて頂きます。」とクルーのHさんが挨拶に見える。一両で2人のクルーが担当するということだが、今日は私たち2人に専属で張り付いてくれるようだ。この列車に関わりたくて前職を辞して北海道からこちらに移り住んだという。まずはスパークリングワインのウエルカムドリンク。夫はご機嫌である。もちろん私はノンアルコールなのだけれど。

 そして、各車両をご案内してくださる。組子等の伝統工芸やステンドグラスが各所に散りばめられた贅沢な空間で、ヴァイオリンとピアノの生演奏を聴きながらコース料理と車窓を堪能できるという触れ込みだ。
 先頭の8号車は書斎兼ライブラリーになっていて、運転士さんと握手が出来る(仕切りの窓ガラスがない)仕組み。全ての車両がそれぞれ異なるコンセプトで絵画も趣向が異なる。車両ナンバーを示す金のレリーフのプレートが美しい。

 4号車はメイン厨房。3号車は多目的車両で先日は結婚式も行われたという。今日はオリジナルグッズや地元の特産物等の販売があった。どれもこれも素敵でついつい財布の紐が緩む。息子も乗りたかっただろうな、とお土産としてあれこれグッズを買ってしまう。
 そうこうしている間に列車が発車する時間になる。席は決まっているけれど、もうどこでも好きなところにお座りください、状態である。いいのかしら、こんなに贅沢で・・・。
 1,2号車のゴールドクラスはファミリー向けでチャイルドスペースもあり、可愛らしい造りになっている。

 ほどなくして地元のJAの方たちがニューサマーオレンジのプレゼントに来られる。駅では沢山のお見送りの方たちも。嬉し恥ずかし、である。地元の花束が届いたり、途中駅でも旗を振って頂いたり・・・。
 出発して1時間ほどで「お食事の用意が出来ましたので、食堂車へどうぞ。」とご案内がある。事前に苦手な食材等のアンケートも送っていたので、メニューカードには牛肉とあったものが、私のものは別の素材に変えられていた。 もう至れり尽くせり。地元の素材をふんだんに使った和食は上品で優しい味わい。飲み物も地元の果物やお茶等をセレクトしたものばかり。河津桜のチップで燻製したという紅茶はキームンのようで香りがとても良かった。

 そして音旅(おんたび)演出家、ヴァイオリニストの大迫淳英さんがピアニストを伴って、私たちのすぐ横で演奏開始。愛の挨拶、タイスの瞑想、川の流れのように、とお馴染みの曲の後は、このTHE ROYAL EXPRESSのために創作されたテーマ曲、伊豆の四季をイメージした5曲を演奏してくださった。もうなんて贅沢!大迫さんのCDも車内販売があり記念に購入したところ、目の前でサインをして頂けた。鹿児島ご出身とのこと、あれこれお国の話も聞かせて頂いた。その大迫さんもお誕生日が4日後のふたご座だそう。

 そして、最後の曲が終わったと思った瞬間、突然HAPPY BIRTHDAYの演奏が始まった。目の前の夫がなんだかうるうるしているようで、私もつられてしまった。「ああ、生きている!58歳になれたのである。我ながらよく頑張っているではないか。」との思いもこみ上げてきた。

 車窓から見える海は青く、空も青く、白い雲がなびいている。今日は三宅島まで見え、この季節には珍しい良いお天気だとのこと。やっぱり晴れ女だなあと思う。
 記念乗車券にはしっかり今日の誕生日が刻まれているし、スタッフの方たちからプレゼントも頂き、夫と2人で写真も撮って頂いた。夢のような4時間、気づけば列車は終点に近づいている。

 夢なら覚めないで・・・といったところだったが、列車は無事終点に到着。担当してくれたHさんと列車を降りてツーショット。今日のコース料理を作ってくださったシェフ2人とも一緒に写真に納まった。女性スタッフのSさんが2つのキャリーケースを持って改札口までお見送りしてくださり、本日の4時間の列車の旅は終了。

 ぽわんとした気分で再びその改札からJRの在来線に乗って帰宅した。
 タクシーで4日ぶりの我が家へ。息子の足跡はいかに、と思ったけれど殆どどこも綺麗なままだった。溜まっていた汚れ物をまず1度洗濯機を回す。
 あれこれ片付けているうちに3か月ぶりの歯科検診の時間となり、クリニックへ。気持ち悪さでなかなか歯磨きが念入りに出来ない日もあり、今は一か所口内炎も出来てしまい、「もう少し歯間ブラシとフロスを駆使しましょう。」とのコメントを頂いた。はい、仰るとおりです。そして磨きにくい部分のお掃除をして頂き、15分で終了。次回は3か月後である。

 帰宅すると、昨日ホテルから出した宅急便が届いており、2回目の洗濯。夫は息子に買ってきたお土産類を宅急便に出しに行き、本日の工程は無事終了。

 明日一日働いたら、水曜日はまた治療日だ。ハラヴェンはもう止めるつもりだけれど、とにかく手も足も痺れが酷い。浮腫みもある。今日は一日足を上げていることも出来なかったせいだろうか。
 ただただ贅沢な移動をしただけだったけれど、かなり疲れている。
 早めに休まなくては・・・。

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