夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『きれいなおかあさん』

2003年09月22日 | 映画(か行)
『きれいなおかあさん』(原題:漂亮媽媽)
監督:スン・チョウ
出演:コン・リー,ガオ・シン,シー・ジンミン,リュ・リーピン他

昨年公開された2001年の中国の作品。

コン・リー演じる女性はタクシー運転手の夫と離婚。
聴覚障害のある息子をひとりで育てている。
どうしても普通学級で学ばせたいと、懸命に言葉を教える母。
しかし、息子は緊張のあまり、試験に落ちてしまう。

息子が試験に落ちたのは
自分の仕事が忙しくてかまってやれなかったせいだと、
高収入の外資系工場での仕事を辞め、
息子と少しでも長く過ごせる新聞配達や家政婦の仕事を始める。

かなりベタな話ですが、
これでもか!という泣きへの強引さは感じられず、素直に涙。

コン・リーって山口百恵にドスコイ入ったみたいな感じで(失礼)、
美しく化粧した顔も似合うけど、
すっぴんに近い顔でがんばる母もやたら似合います。
「人生って楽じゃない」とこの顔で言われると、
そうよ、そうやんね、でもなんとかするんやで!と
心の底から応援したくなります。

幼い息子を演じたガオ・シンは、実際に聴覚障害があるそうです。
めちゃめちゃうまいです。けなげです。

2度目の試験の前、「試験に落ちたらどうしよう」と、
校門から先に進めないでいる息子に対し、
「今年ダメだったらまた来年。来年ダメだったら再来年。
再来年がダメならその次があるよ。
母さんがついてるから大丈夫」とにっこりと笑う母。

通りすがりの小学生から補聴器のせいでいじめられ、
もう学校には行きたくないと母に八つ当たりする息子。
息子を激しく叱ったあとで「母さんはいじめられたらどうすればいいの?
いじめられても、母さんには帰るところがない」と泣き崩れる母を見て、
息子は大好きな物語を大きな声で暗唱します。

人生は楽じゃない、でも嫌なことばっかりでもない、
それが心にジワ~ン。

ついでに、「マクドナルド」の存在は外せません。
母子がマクド(関西ではこう略す)にいる場面がありますが、
イギリス映画の『アバウト・ア・ボーイ』(2002)でも
「お祝いにマクドナルドで食事はどう?」と母が息子に言うシーンがありました。
誰でも入れるように思ってしまうマクドナルド。
日々の生活を切り詰めている母子にとっては特別な日の特別な食事なんやなぁと。

おかあちゃんはエライのだ。

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