夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『バティニョールおじさん』

2003年09月25日 | 映画(は行)
『バティニョールおじさん』(原題:Monsieur Batignle)
監督:ジェラール・ジュニョ
出演:ジェラール・ジュニョ,ジュール・シュトリック他

タイトルから察するに、
優し~いおじさんと近所の子どもたちの心温まる話を想像してたら、全然ちゃうやん。
「バティニョールおじさん」はハゲで小デブ、ちょびヒゲにへの字マユの偏屈オヤジ。
1942年のパリが舞台で、ユダヤ人一斉検挙に燃えるドイツ軍がウヨウヨ。
背景も非常にヘヴィーです。

精肉・惣菜店を営むバティニョール。
妻と娘、そして娘の婚約者、ピエール=ジャンとともに暮らしている。
隣人はユダヤ人のバーンスタイン。
妻と幼い息子ふたりの4人家族。

バーンスタイン一家が逃亡計画を実行するはずだった日、
バティニョールの店からハムが盗まれる。
ピエール=ジャンから隣人が犯人だと聞かされたバティニョールは、
バーンスタイン家を訪れる。
実はドイツ軍協力者であるピエール=ジャンが
隣人がユダヤ人であると密告し、
軍当局がやってくるまで足止めをくらわすために
バティニョールを利用したのだった。
そしてバーンスタイン一家は検挙される。

チクリ屋ピエール=ジャンのおかげで、
バティニョールは空室となった隣人の豪華な部屋を手にいれる。
バティニョールの惣菜は軍幹部の御用達に。
釈然としない思いのまま、毎日を送るバティニョール。

ある日、自宅でドイツ軍支援者のためのパーティーを催していると、玄関のベルが鳴る。
バティニョールが出てみると、そこにはバーンスタインの息子であるシモンが。
聞けば、収容所へ送られる途中に逃げてきたとのこと。
自分の家だと思ってたどりついたのに、
そこはバティニョールの家になっていたのだ。

仕方なく、メイド部屋にシモンをかくまうことに。
食事や毛布を運び、おもちゃの人形も与える。
しかし、家族に内緒で面倒をみるのがむずかしくなり、
バティニョールはシモンをスイスへ逃がそうと決意。
シモンの従姉妹も連れていくはめになって、
なんとか資金を工面したバティニョールと3人の子どもたちは
パリを抜けだしてスイスへと向かう。

惣菜をつくることにかけては素晴らしい腕の持ち主だけど、
子どもの心をつかめない、さえないおっちゃん。
でも、下心なしに、なんとか子どもを無事に逃がしてやろうと
孤軍奮闘する姿がほんとにかっこいい。
重たい背景だけど、笑えて、ウルッとできて、爽やかな気持ちに。
とってもオススメ。

おっちゃんもエライのだ。

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