電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

映画「英国王のスピーチ」を観る

2011年04月28日 06時03分12秒 | 映画TVドラマ
先の代休日に、映画「英国王のスピーチ」を観てきました(*1)。「英国史上、もっとも内気な王」あるいは「バッキンガム宮殿に隠された、感動の実話」というキャッチコピーのとおり、子供の頃から吃音に悩み、人前で話せない内気なヨーク公が、よりによって英国王になってしまった、ジョージ六世のお話です。

夫の悩みを共にする妻のエリザベスは、高名な言語聴覚士の治療が効果を示さないことから、異端のスピーチ矯正専門家であるライオネルの診療所に足を運びます。このあたり、夫人の気品と優しさが描かれます。そして、エリザベスの愛を受けるヨーク公アルバートは、風変わりな治療に、いったんは怒って断念します。治療とは、ヘッドホンをつけ、大音量で音楽が鳴る中で、スピーチ原稿を読むこと。自分の声が聞こえなければ、どもらない、ということに気づくかどうかです。少年期の自分を厳しく育てた父王の強制に自虐的に反発するアルバートは、ライオネルの診療所で録音した自分のスピーチが、まったくどもっていないことに驚き、再び彼の治療を受けるようになるのです。吃音症状が、心の成長が阻害されたためと見るライオネルは、固く閉ざしたヨーク公の心を解きほぐそうとします。対等の人間として、次第に信頼を寄せていくヨーク公。父王の死後、兄エドワードがいったんは王位を継ぎますが、王冠よりも恋を選んだために、弟が王位を継ぐことになったのでした。ただしその時代は、ヒトラーが台頭し、ヨーロッパに戦雲がたちこめるまさにその時期。国民を鼓舞し、ナチス・ドイツとの開戦を告げる役目は、新王に回って来ます。世紀のスピーチの始まりです。

いい映画でした。ライオネルと国王の友情も、ライオネルの妻の善良さと優しさも、とても良かった。涙腺を刺激するのではなく、次第に高まる緊張感とその解放へ導く手法も好感度が高いものでした。それと、音楽が良かった。パンフレットにも詳細な記載はありませんでしたが、

大音響の音楽の中でスピーチ・・・モーツァルト「フィガロの結婚」序曲
ライオネルと国王の訓練場面・・・モーツァルト「クラリネット協奏曲」
緊張高まる世紀のスピーチ場面・・・ベートーヴェン「交響曲第7番」第2楽章
エピローグ・・・ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番《皇帝》」第3楽章

などが使われていたようです。演奏は、クレジット・ロールを急いで読み取ったところ、「ロンドン交響楽団」とあったようでした。指揮者や音楽担当者は不明。

(*1):なにかと忙しい日々ですが~「電網郊外散歩道」2011年4月
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