電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

香月美夜『本好きの下剋上』第四部「貴族院の自称図書委員」第7巻を読む

2019年09月08日 06時03分47秒 | -香月美夜
TOブックスから刊行された単行本で、香月美夜著『本好きの下剋上』第四部「貴族院の自称図書委員」第VII巻を読みました。2019年7月に入手し、すぐに読了していましたが、そろそろ次巻が出る予定ですので、再読後に記事とした次第。



プロローグはWEB版本編(*)にはない、ローゼマインが倒れた後の「本好きのお茶会」を、ダンケルフェルガー側から見たサイドストーリーです。

自領エーレンフェストに帰還後、なぜ学生が魔獣ターニスベファレンを倒せたのかを究明する尋問会にむけた予想対策会が開かれますが、頼りになるのはやっぱりフェルディナンドです。でも、神殿に戻り、聖典を確認しようとしたら、なにやら不穏な文字と魔法陣が浮かび上がりました。

汝、王となるを望む者?

他の人には見えないのに、ローゼマインとフェルディナンドには見えるのです。なぜ?
いやいや、フェルディナンドの言うように、死にたくなければ必殺知らんぷりの術、見ざる・言わざる・聞かざるを決め込むのがよろしかろう。

城ではローゼマインの新しい武器「水鉄砲」も好評でしたが、貴族院に戻ってから開かれた尋問会は簡単には終わらず、ローゼマインは中央神殿の神官長イマヌエルがキモチワルイ。問題になっている祝詞の有無を調べるため、フェルディナンドも呼び出されることとなり、ローゼマインとエーレンフェストへの疑いも晴れるのですが、中央騎士団長ラオブルートはフェルディナンドに含むところがありそうです。

本巻のもう一つの見せ場は、ダンケルフェルガーの歴史書の現代語訳を出版する権利を賭けたディッター勝負です。フェルディナンドvsハイスフィッツェの因縁の対決は、「水鉄砲」を活かしたフェルディナンドの勝利に終わり、エーレンフェストの印刷物にはダンケルフェルガーの歴史書というタイトルが加わることに。もちろん、名を捧げ側近となったローデリヒによる創作物語も、この後で多大なる人気を博すのですが。

政変で家族を失った元王女エグランティーヌは、第二王子アナスタージウスと婚約、アナスタージウスは王位を望まず、第一王子ジギスヴァルトが王位継承者となり、ドレヴァンヒェルのアドルフィーネが嫁ぐことになりました。ローゼマインは、王族との関わりがすでにとっぷりと深まっています。待て!次巻!



マチガイなくライトノベルとして登場しているのですが、単にライトノベルとは見なせない面白さです。兵士の娘として生まれ変わってから、神殿へ、領主の養女へとしだいに広がる世界。今は主にエーレンフェストと貴族院が舞台です。本が好きというだけで突進するローゼマインが可愛いというか、実際に身近にいたら鬱陶しいというか、微妙なところもありつつ、けっこう作者の術中にはまっております。面白いです! 次巻は9月10日発売、予約済みです。

(*):WEB版本編はすでに完結。〜「本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜」

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