電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

兼業農家が多いと地域が守られやすいのでは

2019年09月28日 06時01分06秒 | 週末農業・定年農業
昔、水田稲作農業が中心だった頃は、人力と家畜が頼りで、耕作面積の限度は一町歩が限度だったように記憶しています。それ以上の大地主も、結局は小作農の労働が頼りでしたので、基本は全く変わりません。ところが、農業機械の導入と進歩により、農家一戸あたりの耕作可能面積は拡大していきます。現在、高価ではありますが大型のトラクターやコンバイン等のおかげで、一戸あたりの耕作可能面積は20町歩(20ha)までに拡大しているようです。

もし、百町歩の水田を持つ集落があったとすると、昔の基準では百戸程度の世帯が居住し生計を立てることが可能でした。現在、大型の農業機械を導入し、稲作農業を専業とする農家は、五戸しか要らないことになってしまいます。すると、残りの95戸はどうするか。結局は職を求めて働きに出ることになるでしょう。近くに職場があれば良いのですが、そううまくはいきません。いきおい、人口の流出が起こってきます。大規模専業農家が増えた地域はしだいに寂しくなり、あまり良い話を聴きません。

ところが、兼業農家が多い地域はどうなるか。一戸あたりの耕作面積は半分以下で、しかも水田と畑が混在し、果樹や野菜、花卉などを作るとすると、小型の農業機械はさほど高価ではありませんので、なんとか週末農業や定年農業が可能です。もし、50アール程度の兼業農家であれば、200戸が生計を立てることが可能です。経費もかかりますが、給与所得のほかに農業収入が得られますので購買力が高くなり、それを目当てに買物や生活に便利な施設もできてくるでしょう。様々な地域の活動も維持できやすいものと思われます。

農業の経済的側面から、大規模専業農家を育成する方向へ様々な政策が作られますが、それは地域の衰退につながり、効率が悪く高コストだと批判を受ける小規模兼業農家が多い地域は、意外にしぶとく地域が守られるように思います。中核となる大規模専業農家や農業法人の育成も必要でしょうが、それと同様に、兼業農家が継続しやすい制度や働き方への支援を工夫していくべきなのではなかろうか。大事なのは、その比率、バランスなのだろうと思います。

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