電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

甘味の摂り方と血糖値を考える

2023年11月19日 06時00分42秒 | 健康
以前は、健康診断オール◯を自慢にしていましたが、2021年からポツポツと注意信号が灯るようになりました(*1)。具体的には、糖尿病の危険指標となる HbA1c の値です。HbA1c というのは、要するに糖化ヘモグロビンのことで、酸素O2と結合するはずのヘモグロビンHbがグルコースと結合してしまい、この比率が 6.0%以上になると糖尿病として認定される、ということのようです。

はて、私はそれほど多くの甘味を摂取しているだろうかと考えてみても、いわゆる「甘党」と呼ばれるような「お菓子大好き人間」ではないはずです。それなのに HbA1c の値が上昇したという背景には、何かが、たぶん生活習慣の中の何かが、あるはずです。考えられるのは、早朝のコーヒー習慣、もっと言えば「甘味を伴った空腹時のコーヒー習慣」ではなかろうか。

先年、NHK教育テレビEテレの高校講座「生物基礎」の動画等を見て、糖代謝の制御の仕組みの精妙さに今更のように感嘆しました(*2)。特に、血糖値を上昇させるグルカゴンと血糖値を下げるインスリンのコントロールが日々精妙に行われていることは、実にスゴイことです。これを踏まえて甘味の摂り方を考えてみるとどうなるか、ということです。

計算の簡略化のために四捨五入してしまうと、私の体重では全血液量はおおよそ 5L くらいでしょうから、5g の糖分を摂取し全部が吸収されたとすると、糖分量は 5g/5L=5000mg/5000mL=100mg/100mL(1dL) となります。私の空腹時血糖値は 93mg/100mL ですから、これを加えると 193mg/100mL となります。これが早朝空腹時のごく短時間にあらわれるのですから、いわゆる「グルコース・スパイク」となることでしょう。すると、通常の食事のように、徐々に消化しながら吸収される=血糖値が緩やかに増減するのではなく、急激に増減するわけですから、血糖値をコントロールするホルモン濃度を適正に保つのが追いつかない。たぶん、

膵臓ランゲルハンス島の細胞:毎朝毎朝、こない急激に「インスリン出せ」とか「グルカゴン出すな」とか言われても、えらいきつうおまっせ。くたびれて、やってられませんがな!

という状況になるのでしょう。そこで過剰のグルコースがヘモグロビンに結合するものが増え、HbA1c の値が増加してくるのではないか、という推理です。


 (食事による血糖値の変化とホルモン分泌、「生物基礎」2軸グラフを1軸に改変)

これを避けるには、要するに甘味を摂ることで起こる血糖値の急激な増減を、食事時の穏やかな増減の中に組み入れてしまえば良い。これが、デザートとして甘味を摂れば良かろう、という考え方です。もう一つ、空腹時ではなく食後2時間くらい、つまり朝食が8時なら10時頃、まだグルカゴン濃度は下がっていてインスリン濃度は中程度に高い時、すなわち「おやつのじかん」に甘味を摂れば、早朝空腹時の急激な「グルコーススパイク」のショックはだいぶ和らげられるのではなかろうか。

もう一つ、歯周病と HbA1c との関連も指摘されているようですので、歯周病を治療することでインスリン感受性を低下させる物質の分泌を抑制し、血糖値の改善につなげるということも考えていく必要がありそうです。



「要するに甘いものを食べなきゃいいのよ」という考え方もあるでしょうが、それでは生活の中の楽しみが一つ欠けてしまいます。楽しみつつ、コントロールすることで結果を出せる、そんなやり方を探りたいところです。

(*1): 健診の結果が届く〜残念、オール◯でなくなった〜「電網郊外散歩道」2021年9月
(*2): NHK高校講座「生物基礎」で血糖値の調節の仕組みにあらためて感嘆〜「電網郊外散歩道」2021年11月


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