深入山のギボウシの群落。数年来の念願がやっと果たせた。
五年前の七月初め、宇品自然観察会「しいの実会」の会員数人で行ったことがある。
バスで簡単に行ける深入山にしたのは、当時代表だった長井氏もぜひ参加して欲しかったから。
長井氏は前年に食道がんになり、そのころは入退院を繰り返しながらもう高い山へは行けなくなっていた。
「麓を花を見ながら歩くだけでいいから是非行きましょう」と誘ったが、「みんなに迷惑かけるから」と固辞された。グループで山を歩く時の心得を教えてもらったのは、あとのことを考えていたのだろう。
九月一日に長井氏は亡くなった。家族のいない人で、ご兄弟からの連絡で会の資料を取りに主のいなくなったアパートに伺った。
事前に渡していた深入山の資料も残っていた。何でもっと強く誘わなかったのかと悔やんだが、他人の私には立ち入ってはいけない領域だったのだろう。
一期一会。山は変わらず、季節になれば花は咲くけれど、同じメンバーで同じ季節に再び行くことは決してない。不動の山を見るたびに人の縁の不思議さをしみじみと思う。
五年前の七月初め、宇品自然観察会「しいの実会」の会員数人で行ったことがある。
バスで簡単に行ける深入山にしたのは、当時代表だった長井氏もぜひ参加して欲しかったから。
長井氏は前年に食道がんになり、そのころは入退院を繰り返しながらもう高い山へは行けなくなっていた。
「麓を花を見ながら歩くだけでいいから是非行きましょう」と誘ったが、「みんなに迷惑かけるから」と固辞された。グループで山を歩く時の心得を教えてもらったのは、あとのことを考えていたのだろう。
九月一日に長井氏は亡くなった。家族のいない人で、ご兄弟からの連絡で会の資料を取りに主のいなくなったアパートに伺った。
事前に渡していた深入山の資料も残っていた。何でもっと強く誘わなかったのかと悔やんだが、他人の私には立ち入ってはいけない領域だったのだろう。
一期一会。山は変わらず、季節になれば花は咲くけれど、同じメンバーで同じ季節に再び行くことは決してない。不動の山を見るたびに人の縁の不思議さをしみじみと思う。