詠む本がなくなって、昨日、書店で正価で買ってしまった。Amazonの中古本は50円から。
2000年に母親が急死、家事が全くできない父親を自宅に引き取って同居スタート。その時、生活費をもらえばよかったけれど、全部著者の持ち出し。やがて介護が必要になり、仕事で忙しい著者に代わって奥様が、時には子供たちも手助けしての介護生活が続く。
2006年に脳出血で倒れ、半身不随、介護度4になり、初めは自宅で介護していたけれど、がんが見つかり施設に入り、2011年の震災後、亡くなる。
施設の費用は初め父親の口座から出していたけれど、それが尽きる。他にもお金はあるはずだけど、本人は忘れているので、著者は自分のお金を出す。
死後、銀行口座を探し、もろもろの諸手続きをするのがとても大変だったそうですが、弟さんとは残りのお金を折半し、親族同士の争いにはならなかったそうです。
ままずはよかった。
けれど奥様が、弟嫁は何もしないのに折半はおかしい。私の働きはどうなるのと著者に言う。言うだけで、お金に執着する人ではないそうで、著者もその話を聞くだけ。そこのところが、長男の嫁としてささやかな介護をした私から見ると、奥様の好意と人柄に甘えていると思う。
「本当に助かった。有難う」と心の底からお礼言ってほしかった。心の中ではもちろん感謝していると思うけど、11年間の苦労に報いるため、慰労金を著者から奥様に上げてもいいと思う。上げるそぶりだけでも。
父親にかかる費用を本人に請求しなかったばかりに、あとからお金が出て来て相続税を納めることになったそうですが、そういうところはきちんとすればよかったと思う。著者も反省しておられますが。
我が家ですか?
2018年4月末から隣の家の姑に、食事を作って届けることになって、材料費は日割りで概算を出し、その他に身の回りの物あれこれ買ったのもレシートを取っておいて、一月ごとに計算、姑のお金からもらっていました。
この本によると、2019年11月から、長男の嫁が(つまりは相続権のない人間が)介護に費やした人件費、経費を計上して法定相続人に請求できるように法律が変わったそうです。
知らんかったなあ。2021年9月に亡くなった姑の分、私、請求していません。そのためには介護した時間、内容などの記録がいるそうですが、そんなこと想定していないのでいちいち記録してません。
でも仕事辞めて介護した人はきちんと記録してた方がよさそう。
2018年の6月ころ、寝る前のオシメ替えに行った夫から緊急の救援依頼が。行ってみると、オシメを外していたので・・・本人の髪、服、手、布団、ベッドをきれいにするのに26時までかかった。
やれやれ。疲れ果ててすぐ寝たけど、寝る前に介護の内容と時間を記録する?そんな余裕ないです。それにそれって時給いくらになる?
法律ができたからと言ってなかなか請求できにくいけど、仕事を辞めて介護した場合は当然請求していいと思う。でも遺産があればの話、なければもらいようがない。
我が夫も、私は空気と同じ、空気が介護したのだから、したことも見えてないし、わざわざお礼の言葉を言ってもらってない。他の法定相続人からも同様。
でも幸いなことに、姑は98歳まで長生きし、自分のお金をほぼ使い切ったので、今それを知っても悔しい思いが全然しないのはよかったと思う。
この本によると著者は介護の苦労はあまりしていないように思う。相続も手続きが煩雑なだけで、肉親の争いもなく、地獄というほどではないと思う。
後半は自分のミニカーなどのコレクションの話で楽しそうである。著者の本にはこの話がよく出てくる。
ただいきなり手続きが始まり、大変だったので、前もって親の財産を把握し、介護の費用は本人にお金を使うという基本的アドバイスは参考になると思う。
子供を産めば自分で育てる。でも自分を生んでくれた親に介護が必要になった時、同じように産んで育ててもらった兄弟姉妹の間でも、する人、しなくていい人と、事情はいろいろ。
ざっくりいえば、介護する人は何かと割が合わないようになっている。今は介護保険ができたけれど、それでも常に介護のことが頭の中にあり、常に気にかかっている。それがする人としない人の違い。
でも介護が貧乏くじだったと私は思ってません。貴重な体験だったと思う。
一つはいろいろな場面に遭遇して胆力ができたということでしょうか。汚いことのいろいろもそうだし、人は決して自分の希望通りにいたわってくれないし、ねぎらってもくれないけど、まあこの世はそうしたものと思えるようになり、これもまた胆力。
もう一つは、気がかりのない毎日の時間が、かけがえのない大切なことと気が付いたことかな。姑を家で介護していたのは、(その前から手助けは必要だったけど)わずか8か月だけど、その只中では先が見えず永遠に続く気がして拘束感が強かった。二回、ショートに預けて夫の泊りがけの旅行したのがとても解放感があり嬉しかった。介護保険のおかげです。
さらに自分の老後~最後をどう迎えたらいいか、イメージが沸いたということでしょうか。
友達の話。
姑の苦労していない人は自分が年取ると、ものすごくわがままになる。そうです。それに介護が加われば鬼に金棒、悪いカードが揃ったら一発逆転のチャンス、不足を言い募る老後ではなく、足るを知る穏やかな毎日が送れそうです。
本の感想を書くはずが、つい自分のことになりました。日曜日は一周忌。9月初めという絶妙の時期に亡くなって、せっかく作った絽の着物、着られることになり、感謝しています。夫いわく、またそれかよ~。