コスタリカ共和国に到着した初日、おふたりの印象記を前回に紹介しました。開高健さんと早乙女勝元さんです。
児玉房子さんは、同国をはじめて訪れた日の印象を、つぎのように書いておられます。
1992年にはじめてコスタリカの空港に着いて、芝生の広場に出た時、飛行機をいっしょに降りた上品なスーツ姿のコスタリカ女性が、アアと大きく手を広げ、荷物を芝生の上に放り出してつば広の白い帽子を顔の上にのせ昼寝を始めたのをみた。機関銃を持った兵士に守られた隣国パナマのホテルを、その日の朝発ってきた私には、いくら自国に着いて気がゆるんだとしても足を投げ出し寝入るなんて荷物もからだから離して安全であるなんて考えられず、不思議で理解できなかった。
後で、コスタリカが、永世中立を全世界に表明し、世界の平和を話しあいで進めてきた国であり、戦車も大砲もなくて軍事費を教育費にまわした国だということがわかり、多くのコスタリカ人と接するなかで、私もコスタリカの空港に入るとどの国よりもホッとするようになった。
軍隊はないがポリスはいる。ピストルと警棒を提げている。隣国からの麻薬や武器などの密輸入、そして犯罪にからむ密入国者は、この国にとっては頭の痛い問題である。ニカラグアとパナマにはさまれ、サンドウィッチ状態のコスタリカには、悩みは当然だがある。
しかし児玉さんがコスタリカで会った日本人青年は「メキシコから陸路で中米を下に降りて来たのですが、コスタリカのポリスはおだやかな目をしていますね。この国のいちばんの印象です」
早乙女さんはサンホセの新聞編集長の話しを紹介している。
編集長「政府は国民の健康や教育面では、大きな成果をあげてきましたよ。平均寿命はラテンアメリカでは第1位だし、識字率も同じ第1位、子どもの死亡率では、もっとも低い国になっていますからね」
早乙女「なにしろ、日本とちがって、軍事費はゼロですものね」
編集長「そう、それは大きいですな。もうひとつ、つけ加えておきましょう。コスタリカには国防省でなくて警備省がありますが、その大臣は女性ですよ。まだ任命されたばかりですが、任命式に武器を持ってきてもおかしくないが、彼女は赤ちゃんをかかえてやってきました。つまり、この赤ちゃんを無事に育て上げるには、平和でなくてはならないのです」
コスタリカが大好きな日本人は数多い。タレントの故フランキー堺さんもそのひとりでした。彼は日本コスタリカ交流協会のメンバーだったのです。コスタリカを紹介した本『中米の奇跡 コスタリカ』の裏表紙に堺さんの推薦文が載っています。以下抜粋です。
「アメリカの花園」とか「中央アメリカの楽園」とか、さまざまな言葉でこの世のパラダイスのように表現されている国、コスタリカについて、皆さんは、どの程度ご存じでしょうか。
東西対立の「はざま」といわれ、キナ臭い話題が飛びかっている中米地域において、安定した国情を保ち続けている同国は、1983年に、今後も平和であり続ける決意をこめて、中立を宣言し、その政策は高く世界に評価されています。…
通り一ぺんの観光案内に満足せず、より深く中米地域、特にコスタリカについて知ろうとする人びとにとって、本書はまさに最適のガイドブックになるものと思います。ぜひ一読をおすすめします。
本書が日本とコスタリカとの友好のかけ橋になることを願って……。
『コスタリカ讃歌 絵かきが目と手と足でみた』 児玉房子著 2001年 草の根出版会
『軍隊のない国コスタリカ』 早乙女勝元編 1997年 草の根出版界
『中米の奇跡 コスタリカ』 寿里順平著 昭和59年初版 平成2年2版
<2012年3月2日>
児玉房子さんは、同国をはじめて訪れた日の印象を、つぎのように書いておられます。
1992年にはじめてコスタリカの空港に着いて、芝生の広場に出た時、飛行機をいっしょに降りた上品なスーツ姿のコスタリカ女性が、アアと大きく手を広げ、荷物を芝生の上に放り出してつば広の白い帽子を顔の上にのせ昼寝を始めたのをみた。機関銃を持った兵士に守られた隣国パナマのホテルを、その日の朝発ってきた私には、いくら自国に着いて気がゆるんだとしても足を投げ出し寝入るなんて荷物もからだから離して安全であるなんて考えられず、不思議で理解できなかった。
後で、コスタリカが、永世中立を全世界に表明し、世界の平和を話しあいで進めてきた国であり、戦車も大砲もなくて軍事費を教育費にまわした国だということがわかり、多くのコスタリカ人と接するなかで、私もコスタリカの空港に入るとどの国よりもホッとするようになった。
軍隊はないがポリスはいる。ピストルと警棒を提げている。隣国からの麻薬や武器などの密輸入、そして犯罪にからむ密入国者は、この国にとっては頭の痛い問題である。ニカラグアとパナマにはさまれ、サンドウィッチ状態のコスタリカには、悩みは当然だがある。
しかし児玉さんがコスタリカで会った日本人青年は「メキシコから陸路で中米を下に降りて来たのですが、コスタリカのポリスはおだやかな目をしていますね。この国のいちばんの印象です」
早乙女さんはサンホセの新聞編集長の話しを紹介している。
編集長「政府は国民の健康や教育面では、大きな成果をあげてきましたよ。平均寿命はラテンアメリカでは第1位だし、識字率も同じ第1位、子どもの死亡率では、もっとも低い国になっていますからね」
早乙女「なにしろ、日本とちがって、軍事費はゼロですものね」
編集長「そう、それは大きいですな。もうひとつ、つけ加えておきましょう。コスタリカには国防省でなくて警備省がありますが、その大臣は女性ですよ。まだ任命されたばかりですが、任命式に武器を持ってきてもおかしくないが、彼女は赤ちゃんをかかえてやってきました。つまり、この赤ちゃんを無事に育て上げるには、平和でなくてはならないのです」
コスタリカが大好きな日本人は数多い。タレントの故フランキー堺さんもそのひとりでした。彼は日本コスタリカ交流協会のメンバーだったのです。コスタリカを紹介した本『中米の奇跡 コスタリカ』の裏表紙に堺さんの推薦文が載っています。以下抜粋です。
「アメリカの花園」とか「中央アメリカの楽園」とか、さまざまな言葉でこの世のパラダイスのように表現されている国、コスタリカについて、皆さんは、どの程度ご存じでしょうか。
東西対立の「はざま」といわれ、キナ臭い話題が飛びかっている中米地域において、安定した国情を保ち続けている同国は、1983年に、今後も平和であり続ける決意をこめて、中立を宣言し、その政策は高く世界に評価されています。…
通り一ぺんの観光案内に満足せず、より深く中米地域、特にコスタリカについて知ろうとする人びとにとって、本書はまさに最適のガイドブックになるものと思います。ぜひ一読をおすすめします。
本書が日本とコスタリカとの友好のかけ橋になることを願って……。
『コスタリカ讃歌 絵かきが目と手と足でみた』 児玉房子著 2001年 草の根出版会
『軍隊のない国コスタリカ』 早乙女勝元編 1997年 草の根出版界
『中米の奇跡 コスタリカ』 寿里順平著 昭和59年初版 平成2年2版
<2012年3月2日>