ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

コスタリカ 3 <幸せシリーズ21>

2012-03-06 | Weblog
 世界でもっとも自由で幸せな国ベスト11。その筆頭格ともされるコスタリカ共和国について、児玉房子さんの本から得た興味深いエピソードを選んでみました。

動力
 コスタリカの発電についてはまだ情報知識を得ていないのですが、動力として水車の話しです。
 木工工場の裏には、河から幅1メートルほどの人工の小川が引かれている。そして直径2メートルほどの車輪がその川の水の落下で回るようになっていた。この水車が回り始めると、工場内の小さな機械がいっせいに動き出す。木を切ったり削ったりする機械がフル稼働する。
 動力が電気でなくて水力なのだ。児玉さんは「わたしは、いつ第二のチェルノブイリが起こるかとおびえている。日本は原発を増設するよりコスタリカのこの工場のように、自然の力をもっと活用してほしい」(12年前の記載です)

難民受け入れ
 かつてコスタリカは隣国のニカラガから難民を30万人も受け入れたことがあります。30万人はたいへんな数です。その当時のコスタリカの人口は300万人ほど。ほぼ1割にあたります。日本でいえば、1000万人の難民が流入することになるわけです。
 なぜ国内の不安定要因になる難民たちを受け入れたか? 「彼らがかわいそうだから。わたしたちが認めなければ、どこの国も難民を受け入れない」。言葉もスペイン語なので、互いに通じるのです。
 しかしキューバから16人が亡命したいと小舟で来たことがある。受け入れるか入れないか、1週間も国内で論争が続いたそうです。その間、16人は港で待たされた。結論は「われわれは助ける。しかし受け入れない」というもので、病人は病院に入れて治療し、必要な水や食料は補給してあげ、船も修理して出発させた。理由は「16人が全員ひとり者で家族を連れて来ていない」ということだった。
 「難民とはいえないということだろう。キューバともアメリカ合衆国とも仲よくして、人道的にも正しく平和の道を進むには、右か左かの性急な結論ではやっていけない。平和を求めるなら、時間をかけて積みあげ」ることが大切である。

デモ隊
 年金改悪反対のデモ隊が国会前に押し寄せた。議事堂の白い外壁に彼らはスプレーで要求を吹きつけて帰って行った。
 「しかし、日本のように機動隊が出てくるわけでもなく、警察官さえ見あたらなかった。デモが終わると国会の建物の中から、しっくいのバケツを持った人が出てきて壁は白く塗られ、もとどおりになった。軍隊や武器がなければ、クーデターや暴動の心配がない。」

不安な夜道
 町の夜道を女性がひとりで歩くのは不安なものだ。日本でも「怖い」という声が多い。ところがコスタリカでは、ホテルの受付嬢に女が夜ひとりで歩けるかと治安を聞いたら、「軍隊がないんですから、コスタリカは危なくないですよ。」

童話『トントのなぞなぞ』
 コスタリカの子どもたちが大好きな童話に『トントのなぞなぞ』があります。おばかさんといわれているトントが、王様の三つの謎々を解いて、お姫様と結婚できることになった。しかし「先の細いエナメルの靴や、高い衿(えり)のある袖のきつい服を着せられ、つり人形のような姿で暮らすのはいやだと、服も靴もお城の窓から投げ捨てて、田舎のお母さんの所にトントは帰ってゆく」
 この国の価値観は、日本とは相当に異なるようです。

参考書
『コスタリカ讃歌 絵かきが目と手と足でみた』 児玉房子著 2001年 草の根出版会
<2012年3月6日>
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