ふろむ播州山麓

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検証北朝鮮・延坪島ヨンピョンド事件 №13 最終回 <2010年12月20日~21日>

2011-01-11 | Weblog
12月20日
<韓国>軍関係者は午前、延坪島から南西部海上に向けて、海上射撃を同日中に実施すると発表した。北朝鮮は「我が領海への射撃」とみて、韓国領への砲撃を警告。
 韓国軍では午前中に、F15KやKF16などの戦闘機が出撃態勢を構えている。駆逐艦や哨戒艦も周辺海域に配備。K9自走砲や多連装ロケットシステムMLRSも北に向けて応射の構えを取った。在韓米軍約20人も参加しており、後方支援に当たる。国連軍の代表も現場状況の監視に当たる。
 この日は濃霧で200メートル先も見えない天候であった。19日は好天であったが射撃せず、この日に約1500発を発射した。砲弾は11月23日に中断した訓練の残りを使用したとする。訓練は14時半から16時まで実施された。翌日の訓練は、中止が決定。

<国連>安全保障理事会が緊急会合を招集(米国19日午前・日本20日未明)。懸念される軍事衝突の回避に向け、南北双方に自制を求める報道向け声明の採決を模索したが、中国は「本国政府からの指示が届いていない」という事情で、本会合を再開できない状態が継続。会合は8時間以上に及んだ。米ライス大使は「これ以上議論をすることは、特に必要でも生産的でもない」。英国案に大多数が同意する準備ができていたのだが「強い声明を全会一致でまとめることができなかった」。日本の西田恒夫国連大使は「何とか妥協したい」
 
<北朝鮮>訪朝中のリチャードソン知事が声明で北朝鮮との合意事項を明らかにした。
 ①国際原子力機関IAEA監視要員の復帰。
 ②保有する核燃料棒の売却による国外搬出交渉の開始。
 ③南北間の緊張回避を目的とする米韓との軍事委員会設置。
 米国務省によると、リチャードソン知事は訪朝中、定期的に同省に連絡を入れていた。
 知事は20日に平壌を離れる予定だったが、濃霧のために帰国を1日延期した。平壌空港で知事は記者団に対し、当面の軍事的衝突は回避したと語った。
 朝鮮人民軍最高司令部は20日、韓国軍が同日実施した海上射撃訓練について「臆病者の幼稚な火遊びに過ぎない」。「卑劣な軍事的挑発にいちいち対応する一顧の価値も感じなかった」とする報道文を発表した。発表は韓国軍訓練終了の3時間後。


12月21日
<韓国>漢江をはさみ北朝鮮を望む京畿道金浦市の愛妓峰154㍍山頂に、高さ30㍍のクリスマス電飾が7年ぶりに灯った。南北対話の促進を背景に04年6月、軍事境界線付近での「宣伝戦中止」合意で中断していた。電力難の北朝鮮では、遠くからでも電飾がよく見えるという。

<中国>平壌から北京に到着したリチャードソン米ニューメキシコ州知事は「北朝鮮が、韓国の射撃訓練に報復せず、ウラン濃縮施設のIAEA査察受け入れに同意した機運をとらえ、各国は対話を再開すべきだ」
 外務省の姜瑜副報道局長は記者会見で「対話と協調の軌道への復帰を関係国に希望する」と表明した。
 姜は同記者会見で、黄海で中国漁船が韓国海洋警察の警備艇に体当たりして転覆した事件について「韓国側に抗議し、同国関係者の厳重処分と損害賠償を請求した」ことを明らかにした。事件海域は「中韓漁業協定に基づき両国の漁船が操業できる水域」で、中国側も漁業権を持っているとの認識を示した。「相手国の漁船を取り締まる権利はない」とした。韓国側は不本意であろうが、拘留していた乗組員3人を起訴せず12月25日に釈放。「操舵していた船長は死亡しており、3人は衝突に積極的には加わらなかった。また捜査にも協力した」。撮影ビデオは公表されず、中国の漁民3人は、仁川国際空港で中国総領事館担当者に引き渡された。そして25日正午発空便で大連に飛び立った。

<日本>在沖縄海兵隊の移転先となる米領グアムのインフラ整備を支援するため、4億2千万ドル(約370億円)を2011年度予算案に計上する方針を、政府民主党は固めた。国際協力銀行JBICへの出資を通じて、現地の上下水道、電力事業に融資する予定。370億円は、日本が米国と合意している総負担経費、計60億9千万ドル(約5000億円弱)の最初の負担である。

<2011年1月10日 連載「検証北朝鮮」は本日で終了します。世界を背中に背負って平壌に乗り込まれ、金正日さんとひとりで渡り合ったリチャードさんに、こころより敬意を表し、ご苦労さまと申し上げます。南浦邦仁記>

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