アヒルを「あひる」と名付けたのは、いつころ、また何故か? 連載最終回
の今回で、卒業ならぬ中退を目指します。
(1)各地方言
日本各地の方言に、ヒントがあるかもしれません。
「アイヒル」和歌山
「アシュ」秋田
「アイル」岐阜・志摩
「アシル」津軽・岩手・東京
「アシ」津軽
「アヒ」青森・岩手・群馬・佐渡
「アヒー」鳥取・鹿児島
「アヒロ」岩手・秋田
「アヘル」岐阜・志摩・伊賀・大和・福岡
※すべてが「ア」で始まっています。また「アシ」[アイ]「アヒ」との関連を
感じます。
(2)朝鮮語
アヒはイへ(家)の転で、ルは朝鮮語の鴨(Ori)から。金沢庄三郎説。
(3)アヒロ
アヒルはアヒロの転じたものか。アは足、ヒロは水掻が広いことから。この説は、林羅山、貝原好古、貝原益軒、和漢三才図会など。新井白石は「アヒロとはアは足也。ヒロは潤也。」
織豊期以前には「アヒロ」は一度も登場しません。「アヒル」のみがみられます。江戸時代からの「アヒロ」語源説は誤りだろうと思います。
(4)姓「阿比留」氏
対馬は大きな島ですが、この地でもっとも多い苗字は、「阿比留」(あびる)さんだそうです。
ご先祖は元々、旧姓「畔蒜」(あびる)で、上総国の官人だったそうです。そして9世紀に一族は対馬に転勤。「阿比留」姓には、このころに改名したという。千年以上も「阿比留」氏を名乗っておられるのですね。アヒルよりも余程歴史がありそうです。しかし鳥アヒルとの縁は薄そうです。
(5)「浴びる」説
アヒルは水浴びが大好きな鳥です。実は40年ほど前の昔に、わたしはアヒル1羽を飼っていたことがあります。神社の夜店でヒナを売っていたのですが、実にかわいい。散歩に出かけると、リードなしで家族の一員のようについて来ます。
水遊びが必須なので、金たらいや湯舟で遊ばせたりするのですが、本人はのびのびと泳げないので納得していません。仕方なく近所のため池で遊ばせるのですが、すっかり気に入ってしまい、いくら名を呼んでも戻って来ません。夕方まで遊んでいます。
やはり広い水場が必要だなあ。親戚の紹介で田舎の農家に引き取られていきました。その農家にはアヒルの先輩が10羽以上おり、仲良くやっていると聞きました。わたしがアヒル話にこだわるのは、この子Kくんへの想いがあるからかもしれません。
ところで、アヒルの名の語源ですが、わたしは「浴びる」であろうと思っています。「あびる」が「あひる」に転じたのではないか。さていかがでしょうか。
<2025年11月12日 鶩完>
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