あんたはすごい! 水本爽涼
第八十八回
「今も云いましたように、会社は偉く盛況でしてね、申し分ないんですが…。私自身には…」
ふと思い当たることがあり、私は言葉に詰まったが、また続けた。
「ありました! これは、今日、店へ寄ったこととも関連してるんですが…」
「ほう、何でしょう?」
「実はですね、そこの棚の玉なんですが…」
「玉がどうかしましたか?」
「この前なんですが、異様な光を帯びて渦巻いていたんですよ。ママや早希ちゃんには見えていないようでしたので、変に思われるのもなんですから、そのことは云わなかったんですが…」
「やはり、見えましたか…。塩山さん、あなたは、いつぞやも云いましたが、非常に稀有(けう)な運気をお持ちでおられる。さらに、霊力も感知しやすい体質をお持ちと見える…」
沼澤氏の声が荘厳さを増した。
「だから、私だけに見えたんだと?」
「はい…。実は私にも霊力が備わっておるのです。実のところ、そのことに気づいて後、霊術師を名乗らせて戴いておるのですよ」
「えっ! ということは、沼澤さんにも玉が渦巻くのが見えるのですか?」
「ええ、時折り、渦巻きますよね。黄や緑の色を発して…」
「はい! そうなんです」
私は興奮のあまり、声を荒げていた。傍(かたわ)らで二人の話を黙ってじっと聞くママや早希ちゃんは、私と沼澤氏を変な生き物を見るような怪訝(けげん)な眼差(まなざ)しで見ていた。だが、沼澤氏も見えると云ってくれたことで、私は少し心強くなった。
第八十八回
「今も云いましたように、会社は偉く盛況でしてね、申し分ないんですが…。私自身には…」
ふと思い当たることがあり、私は言葉に詰まったが、また続けた。
「ありました! これは、今日、店へ寄ったこととも関連してるんですが…」
「ほう、何でしょう?」
「実はですね、そこの棚の玉なんですが…」
「玉がどうかしましたか?」
「この前なんですが、異様な光を帯びて渦巻いていたんですよ。ママや早希ちゃんには見えていないようでしたので、変に思われるのもなんですから、そのことは云わなかったんですが…」
「やはり、見えましたか…。塩山さん、あなたは、いつぞやも云いましたが、非常に稀有(けう)な運気をお持ちでおられる。さらに、霊力も感知しやすい体質をお持ちと見える…」
沼澤氏の声が荘厳さを増した。
「だから、私だけに見えたんだと?」
「はい…。実は私にも霊力が備わっておるのです。実のところ、そのことに気づいて後、霊術師を名乗らせて戴いておるのですよ」
「えっ! ということは、沼澤さんにも玉が渦巻くのが見えるのですか?」
「ええ、時折り、渦巻きますよね。黄や緑の色を発して…」
「はい! そうなんです」
私は興奮のあまり、声を荒げていた。傍(かたわ)らで二人の話を黙ってじっと聞くママや早希ちゃんは、私と沼澤氏を変な生き物を見るような怪訝(けげん)な眼差(まなざ)しで見ていた。だが、沼澤氏も見えると云ってくれたことで、私は少し心強くなった。