あんたはすごい! 水本爽涼
第九十回
「それで、二つの玉が相互にコンタクトを取りあっている目的というのは?」
「早い話、小玉が大玉に報告をしておるのです。分かりやすく云えば、そうなりますな」
「報告ですか…。すると、それを受けた大玉は、また次の指示を小玉に出すとか?」
「御意(ぎょい)!」
沼澤氏は古い時代言葉で答えた。
「えっ? なんです?」
「仰せのとおり、ということです」
「そうですか…。で、私は今後、どうしておればいいんでしょう? 不吉(ふきつ)でないからいいものの、いつ幸運が起こるか分からないというのもねえ…。どうも落ち着きませんし…」
「はあ…、過去にもそうおっしゃった方はおられました。まあ、少しずつお慣れになりましたが…」
「その方は、今?」
「外国に住んでおられます。巨万の富を得られて…」
「ウワ~! すごいですねえ」
「何をおっしゃる。こんなことを申しちゃなんだが、あんたはすごい! お方だ…。今後、世界を動かす一人になるに違いない…と、まあ、これは以前にも申しましたが。私は飽くまでも、玉の意志を伝えておるだけですから…」
「満ちゃん、すごいじゃない~!」
ママが称賛する声も、なぜか虚(むな)しく私の耳には聞こえていた。私は、今の現実が、そら恐ろしくなっていた。普通なら素晴らしく思えるが話が、逆に夢ならいいが…と思えてきていた。
第九十回
「それで、二つの玉が相互にコンタクトを取りあっている目的というのは?」
「早い話、小玉が大玉に報告をしておるのです。分かりやすく云えば、そうなりますな」
「報告ですか…。すると、それを受けた大玉は、また次の指示を小玉に出すとか?」
「御意(ぎょい)!」
沼澤氏は古い時代言葉で答えた。
「えっ? なんです?」
「仰せのとおり、ということです」
「そうですか…。で、私は今後、どうしておればいいんでしょう? 不吉(ふきつ)でないからいいものの、いつ幸運が起こるか分からないというのもねえ…。どうも落ち着きませんし…」
「はあ…、過去にもそうおっしゃった方はおられました。まあ、少しずつお慣れになりましたが…」
「その方は、今?」
「外国に住んでおられます。巨万の富を得られて…」
「ウワ~! すごいですねえ」
「何をおっしゃる。こんなことを申しちゃなんだが、あんたはすごい! お方だ…。今後、世界を動かす一人になるに違いない…と、まあ、これは以前にも申しましたが。私は飽くまでも、玉の意志を伝えておるだけですから…」
「満ちゃん、すごいじゃない~!」
ママが称賛する声も、なぜか虚(むな)しく私の耳には聞こえていた。私は、今の現実が、そら恐ろしくなっていた。普通なら素晴らしく思えるが話が、逆に夢ならいいが…と思えてきていた。