水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

楽しいユーモア短編集 (71)自然体

2019年12月06日 00時00分00秒 | #小説

 意気込まないで自然体でコトに処せば、割合とスムーズに、そのコトは成就(じょうじゅ)するから不思議だ。お相撲の立ち合いなどを観ていると、お相撲さんの仕切(しき)りにそれが見て取れる。制限時間いっぱいとなり、行司さんが「待ったなしっ!!」とか「手をついてっ!」などと渋い声で窘(たしな)め、いざ! 立ち合いになったとき、二人のタイミングが合わない場合がよくある。当然、[待った!]ということになり、仕切り直しとなるが、先に突っかけたお相撲さんは、気走りし過ぎで自然体を忘れたことになる。もう片方のお相撲さんは自然体で土俵に臨(のぞ)んでいるから、よく状況が見える訳だ。で、バシッ! っとやる。その結果、『突き落とし、突き落としでホニャララの勝ち』とかの場内アナウンスになる訳だ。^^
 今年最後の大相撲が行われている国際センター会場である。
 アナウンサーが相撲解説者に訊(たず)ねた。
「すると、やはり勝気(かちき)が邪魔をしたと?」
「その通りですっ! やはり自然体! 自然体で臨むことが大事ですっ! 下手(へた)に考え過ぎれば、こういう負けになりますよね」
「なるほどっ! 大熊(おおくま)の毛深さ勝ちですね?」
「毛深さ? 上手いっ! ははは…大熊だけに、毛深いですか?」
「はい、まあ…」
「アナウンサーもダジャレを言うんだっ!」
「ええ、自然体ですと、ついっ!」
「では、私も。鮭川(さけかわ)は自然体の大熊に掬い取られた訳です」
「上手いっ! 鮭川だけに、掬い取られましたか?」
「ははは…そうです。掬い投げで」
 いつの間にか解説は相撲を離れ、ダジャレ合戦の様相(ようそう)を呈(てい)していた。
 自然体でいれば、ついつい楽しい気分になり、ダジャレなどが飛び出すようだ。^^ 

                                


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする