水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

楽しいユーモア短編集 (76)その先

2019年12月11日 00時00分00秒 | #小説

 その先の結果が分かっていれば、これほど心が安らぐことはないが、かといって楽しいか? と問われれば、必ずそうとも言えないのが、その先である。推理ドラマの醍醐味(だいごみ)は、偏(ひとえ)にこの一点にあり、視聴者をして興味を抱(いだ)かせるのである。恐らく、この男だろう! とかなんとか思わせておいて、実はその男の服を届けたクリーニング屋だった・・などというその先が予想外の展開で終わるドラマもあっていい。意外なその先の結末に、な~~んだ、コメディじゃないかっ! と、思わず笑ってしまう訳だ。^^ まあ、サスペンス自体が気が滅入る設定だから、こんな3の線のドラマも面白いに違いない。^^
 とあるテレビ局のスタジオである。新企画でON AIRされるサスペンスドラマの収録が行われている。
「監督、こんな本で次回分、いいんですかっ?」
「いいじゃないかっ! ははは…その先がっ! 桃警部が飼っている雉(きじ)と猿と犬が犯人を見つけるっていうプロットが実にいいっ!!」
「はあ、確かに…」
 演出のサブで付いている男は、こんな筋立てが…とは思ったが、そうとはとても言えず、小さく頷(うなず)いた。
 意外なその先の展開も観る側からすれば楽しいだろう。^^

                                


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