物事をしたあと、やり残しがあったり、結果が果たせなかった場合、その後の展開は二つの道に分かれる。一つは最後までやり通したり結果が残せるよう物事を続けて、きっちりと仕上げる道だ。そして、もう一つは、一端、中断したり、あっさりと諦(あきら)めてしまう道である。この二つの道は、どちらが正解でどちらが間違いというものではないが、楽しい気分を早く味わいたいか、あとのお楽しみに取っておくか・・という本人の性格によって分かれるのである。仕上げたあとの方がやり残し感がなく、気分が楽しいように思われるが、これもケース バイ ケース[時によりけり]で、一端、中断したり、諦めた方がいい場合もある。あとから楽しい気分を味わおう…と思うのはいいが、あとからでは、あとの祭(まつ)りになってしまうケース[場合]もある・・ということだ。^^
お正月の干し柿作りをする、とある田舎の庭先である。ご主人が両腕を組んで考え込んでいる。自宅用だから、そう多く作る必要もないのだが、これがなかなか難しく、毎年、収穫前にカラス害に遭(あ)ったりして、きっちりと収穫出来ないでいた。
「そろそろ硬(かた)くなってきたな…。この辺が潮時(しおどき)か? いや、二日ほど晴れるという予報だから、そのあとで穫(と)り入れてもいいな…」
干し柿の甘い、いい香(かお)りが辺(あた)りに漂(ただよ)っていたが、きっちりと硬く熟成(じゅくせい)させてから…というご主人の考えは甘かった。^^
二日後、ご主人が穫り入れようとしたとき、すでに干し柿は一つとして残っていなかった。カラス達が、きっちりと失敬したあとだったのである。だから物事は、潮目(しおめ)が変わる潮時を機敏(きびん)に察知(さっち)する判断力が求められるということになる。これは、多くの人々のトップ[頂点]に立つ様々(さまざま)なリーダー[指導者]にも言えることだろう。^^
完