水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

涙のユーモア短編集 (57)真相(しんそう)

2023年10月10日 00時00分00秒 | #小説

 それまで知らなかった事実の真相(しんそう)を知った途端、ぅぅぅ…と涙を流すことがある。今日は、そんな話をしたいと思う。^^
 どこにでもあるような、とある普通家庭である。なにやら問題が起こったのか、居間は家族中で激論が交わされている。
「お父さんは、そう言われますが、正也がダメだったのは確かなんですから…」
「なにを言うかっ! 儂(わし)の孫だっ!! ダメな訳がないっ! 何かの間違いだっ!」
「私の息子でもありますっ!」
 珍しく父親は祖父に反発した。
「なにっ!!」
「まあまあ! お義父(とう)さまもあなたも…」
 そのとき、妹が学校から帰ってきた。
「なんか、よく分からないけど、お兄ちゃん、受かったみたいだよっ!」
「ぅぅぅ…そうだろ、ろうだろっ! みろ、お前っ!」
「…」
 コトの真相は正也の受験校の不始末で、結果発表が番号間違いだったということのようである。なにはともあれ、受かったのだからめでたしめでたしだが、真相が違うと、こういう感激の涙も流れるのである。
 ただし、逆の結果の涙もありますから注意をしましょう。^^

 ※ ご存じ、風景シリーズより、湧水家の皆さんのスピンオフ特別出演でした。有難うございました。^^

                   完


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