水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

涙のユーモア短編集 (70)涙を出す成分(せいぶん)

2023年10月23日 00時00分00秒 | #小説

 涙を流し、それが頬(ほお)を伝って口へ入ればショッパい。薄々ながらも、涙には塩分が含まれてるな…くらいのことは、思うでなく誰もが感じることだろう。事実はそのとおりで、検索結果によれば<98.0%が水で、その他は約1.5%のナトリウム・カリウム・アルブミン・グロブリンなどと、0.5%の蛋白質が含まれている>とある。感じるショッパさはナトリウムの成分(せいぶん)によるものらしい。では、涙を出す成分とは? 今日はそんなお話です。^^
 とある大学の研究所で、とある実験が行われている。
「先生っ!!」
「どうした、丸禿(まるはげ)君っ!」
「め、目から涙が…」
「ああ。それは見りゃ分かるよ…」
「どうして出るんですか?」
「んっ!? どうしてって、君。そのフラスコに入れた物質の成分じゃないか?」
「でも、先生は涙を流してませんよね?」
「ああ、私は大人物だからね。これくらいの成分では、ははは…」
 助手は自分が小人物だと言われたような気がしたのか、少しショボくれた。
 涙を出す成分に影響されるのは個人差があるようです。^^

                   完


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする