(日米同盟がアジアの平和の背骨)
現在の米中対立は、貿易面だけでなく。「自由主義対社会主義・共産主義」というイデオロギーの対立を背景にした「新冷戦構造」の中で起きています。安倍政権は八方美人型外交でうまく立ち回り、日米同盟重視を強調しながら、中国にもすり寄って経済的利益だけは得たいという「漁夫の利」型のやり方を続けていますが、それでは米国の信頼を損なうことになります。
これからの日米同盟を強固なものとするためには、情報や通信、貿易などと軍事を合わせた、総合的な協調体制が求められます。
しかし、現実の世界では、日本はそのような判断をしていません。
例えば、米国は中国に対して、2018年7月に対象金額340億ドルに25%、8月に対象金額160億ドルに25%、9月には対象金額2000億ドルに10%の関税を課しました。米国は、対中貿易黒字を削減し、中国の「一帯一路」構想における経済・軍事両面にわたる資金源を断とうとしているのです。
それにもかかわらず、安倍首相は2018年10月に中国を訪問し、事実上、「一帯一路」構想への協力を約束しました。さらに、日本は中国と、通貨危機などの際に円と人民元を互いに融通し合う「通貨スワップ協定」を結びました。
これでは、日本は米国と中国のどちらの味方かわかりません。頭では、自由や民主主義の米国の立場が正しいとわかっているのですが、中国の購買力の高さに魅了され、社会主義・共産主義・侵略主義とわかっていても、離れることができないのでしょう。哲学なき政治、理念なき外交が行われている証です。
しかし、哲学なき浮き草のような「二股外交」が許されない時代に入ろうとしています。かつて、米ソ冷戦の際、共産主義国との商取引は厳しく制限されていました。対共産圏輸出統制委員会(通称ココムCOCOM)に日本を含めた西側諸国が加盟していたからです。
ファーウェイやZTEに対する米国の規制は、「対中国輸出統制委員会」のはしりと見るべきでしょう。中国の一党独裁に変化を促すのは20年、30年の長期戦になるかもしれませんが、政治家や経済産業省をはじめとする官公庁、日本の企業群は、この潮流に、急ぎ、合わせていかねばなりません。
これからの外交や経済・金融において理念となるのは、「自由」「民主」「信仰」という価値観だと考えています。これからの国際政治は、この三つの価値観を共有できる国とそうでない国に二分されていくでしょう。それが国際社会で正しい判断をするためのポイントだと思います。
その観点で世界地図を見ると、米中が、南シナ海・台湾・朝鮮半島・日本列島でにらみ合い、日本は「自由」「民主」「信仰」をめぐる新しい冷戦の最前線(フロントライン)に置かれていることがわかります。
日本は米国とともにこれらの価値観を守るリーダー国として役割が求められるということです。少なくとも、現在の米国がアジアで担っている経済的、軍事的な役割を肩代わりできるぐらいの大国になる必要があります。
---owari---
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