(東南アジア・ロシア・台湾との友好関係を)
外交においては日米同盟の強化に加えて、東南アジアや南アジアに友好国を増やし、経済・安全保障面での連携を一層強化すべきです。
現在、中国は「一帯一路」構想を実現するために、経済支援の名のもとに巨額の債務を対象国に負わせていますが、返済不能になった場合、中国にインフラ設備の運営権を奪われるリスクがあります。その代表例が、スリランカです。
2010年、親中派ラジャパクサ政権下でスリランカ南部ハンバントタ港の建設が始まり、建設費約13億ドル(約1421億円)の多くを中国からの融資で賄いました。しかし、2017年12月、スリランカは多額の債務返還を諦め、港湾の株式の80%を中国国営企業に貸与し、99年ローンでリース料をもらうことにしました。事実上の売却です。いつの間にか港湾が中国のものになったわけです。
一方で、2018年5月に首相に返り咲いたマレーシアのマハティール氏は「債務のワナ」に陥ることを警戒し、「一帯一路」構想のもとで始まった総工費200億ドルの大規模プロジェクト「東海岸鉄道(ECRL)」と、サバ州に石油パイプラインを2本敷設するプロジェクトをキャンセルしました。中国の借金外交にノーを突きつけたかたちです。
こうした略奪的投資に警戒感を持つ東南アジアや中東、アフリカ諸国に対して、日本は中国に代わってインフラ投資などの支援を金融面から強化すべきです。巨額の金融資産を抱えながら、国内の資金需要不足に悩む日本にとって、これらの国々のインフラ整備需要を取り込むことができれば、日本の経済成長にも資するところが大きいはずです。
日本の技術力と運営ノウハウを共有しながら、自由や民主主義を尊重する価値観を浸透させていくことで、仲間を増やし、中国包囲網を構築していくべきでしょう。
さらに踏み込んだ決断をしなければならないのが、ロシアと台湾の関係です。未だにロシアは日本と平和条約を結んでおらず、欧米からも軍事的に警戒され、G8から除外されています。その隙を狙って中国が近づいていますが、中国とロシアが組んでしまえば、日本の安全保障は極めて危険な状況に陥ります。
日本は、日露平和条約の締結を目指すとともに、ロシアとの協商関係の構築を図ることが大事です。ロシア極東地域を中心としたエネルギー、農業、交通インフラなどへの投資を活性化させるとともに、北海道へのシベリア鉄道延伸を推進し、日露経済交流を促進したいところです。
日本は、原油の約6%、天然ガスの約9%をロシアから輸入しています。また、日本はロシアにおける石油・天然ガスの開発プロジェクト(「サハリン1」「サハリン2」)にも参画していますが、共同経済活動の規模はまだ小さいものです。
石油の中東依存度を減らし、エネルギー安全保障を確保するためにも、ロシアとの結びつきは強化していく必要があります。
また、急がねばならないのが、日台関係の強化です。米国と台湾の間には断交後も「台湾関係法」があります。これは、国交はないが軍事に責任を持つという法律で、トランプ大統領はこれに加えて昨年、上下両院の全員の賛成によって「台湾旅行法」を可決しました。
これにより米国と台湾の高官レベルの交流が可能になるとともに、懸案だった潜水艦建造についての許可も出され、米国企業に対して台湾側との商談開始も認められました。
中国の狙いは、台湾を併合し、沖縄を奪い、太平洋へ進出することです。中国の膨張政策を封じ込めるためにも、日本も台湾との間に「台湾関係法」を制定し、安全保障でも協力を進めるとともに、経済的には日台FTA締結を目指してはどうでしょうか。
そして、台湾をすでに独立した国家として承認・国交回復するとともに、台湾の国連加盟を後押ししたいところです。
---owari---
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