この4月は年間で一番多く、黄砂が飛来する季節です。
この黄砂が日本に与えた影響はどのようなものなのでしょうか。
まず、黄砂とは何でしょうか。
黄砂は中国大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原など、乾燥・半乾燥地域で、風によって数千メートルの高度にまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象です。
風によって大気中に舞い上げられた黄砂は、発生源地域周辺の農業生産や生活環境にしばしば重大な被害を与えるばかりでなく、大気中に浮遊し、黄砂粒子を核とした雲の発生・降水過程を通して地球全体の気候に影響を及ぼしています。
以前、私はこの黄砂発生源地域の砂嵐をテレビの映像で見たことがあります。
ナイアガラの滝のように数十メートルの高さで横幅は数百メートルに及んで移動していました。
その時に地元の家々では戸を閉めているのですが、通過した後は、それでも家の中は砂だらけで、水が少ないこの地方の方々のご苦労を思い知ったのです。
黄砂は普通の砂ぼこりだが、酸化鉄などによって黄色っぽい色がついている。大きい粒はすぐに落ちるが、直径100分の1㎜程度の小さい粒は長期間浮いて、日本に飛来する。
黄砂の一部は日本海や太平洋の海洋へも運ばれるが、黄砂にはミネラル分が含まれているため、海洋表層のプランクトンへのミネラル分の供給を通して海洋生物の栄養源になっている。
黄砂は強いアルカリ性だが、ミネラルをはじめ肥料分には恵まれており、有機質と水を補えば生産力の大変高い土になるのです。
環境省によると、東アジアに飛来する黄砂の量は、年間2億㌧から3億㌧にも及ぶそうです。
一口に2億㌧といいますが、10㌧トラックで運べば2000万台分になります。東京23区に集めると20㌢以上積もる計算になります。
2億㌧の黄砂の価格を単純に市販されている山砂の価格1㌧4,000円で計算すると、なんと総額は8,000億円になります。しかもこれには運搬料金は含んでいません。
そして、この黄砂にはミネラルなど色々な物質を含んでいるので、日本の土壌を肥沃にさせているのです。
話が少し飛びますが、過去に日本の遺跡が発掘された場合、必ず現在の地面より下で発見されています。なぜ、地面より下で発見されるのかは、この黄砂が降り積もったことが原因ではないかと思っています。それ以外に腐葉土やちりも当然ありますが黄砂も入っていると思っています。
さすれば、日本の国土の多くの場所では黄砂が運び込んだミネラルやアルカリ性により、肥沃な土壌を作ったのではないでしょうか。
日本の国土は土地として肥えており、穀物などの収穫量は世界的に見てもトップクラスです。
穀物生産による土地の面積1km2当たりで養える人間の数はサウジアラビアなど砂漠地帯では15~20人、ヨーロッパでは100人~150人、日本では260人となっている。
日本は昔から肥えた国土なので、人々が食物を略奪したり、争ったりすることが少なかったのです。そのため、温厚な民族として育ってきたのです。これは森林が豊かなことや恵まれた水資源によるものですが、大陸からの黄砂(黄土も含む)に由来しているとも思われます。
黄砂は洗濯物や車を汚す理不尽な存在だという見方もありますが、黄砂が環境に寄与しているという指摘もあります。
例えば、黄砂のアルカリ性質が酸性雨を中和してくれるとか、日傘効果(太陽光を遮る)によって温暖化の進行を遅らせることが出来るのではとの研究報告もあります。
黄砂は日本の森林に、田畑にミネラルという栄養分を供給し、また海の資源(牡蠣の養殖や海藻類の生育など)にも好影響を与えているのです。
黄砂には功罪の両面が指摘されていますが、日本に多大な恩恵を与えている存在ではないかと
僭越ではございますが、判定させて頂きます。
---owari---
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