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「事実」よりも「主義・主張」を重んずる朝日新聞と毎日新聞

2018年07月14日 | 日本

それがどのような態度になるか、一例を見てみよう。

日本政府は2年前、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に対するその年の分担金や任意拠出金など計約44億円の支払いを留保した。

 

ユネスコに求めている「世界の記憶(記憶遺産)」登録制度の改善が進むまで支払いの留保を継続する方針で、菅義偉官房長官は記者会見で、「ユネスコの活動が正常化されることを見ながら対応を考えたい」と述べた。

 

菅長官は、「ユネスコでは前年(平成27年)、私どもがまったく知らないなかで、さまざまなことが決められていった」とも述べたが、これは中国が申請した「南京大虐殺文書」が記憶遺産に登録されたことを念頭に置いての発言である。

 

中国側は国際社会に向けた「反日宣伝」として周到に準備、工作し、申請した資料の一切を日本側にも国際諮問委員会にも開示しないまま登録にこぎつけた。中国側の意図は明らかだが、ユネスコが国際機関としての公正と中立性を著しく欠いている現実は見過ごせない。これが日本政府の判断である。

 

この分担金の留保について、『朝日新聞』は≪節度欠く分担金の留保≫、『毎日新聞』は≪品位ある関与が必要だ≫とそれぞれ社説で日本政府を非難した。これに対して、『産経新聞』は≪政治利用許さぬ改革迫れ≫、『読売新聞』は≪記憶遺産の政治利用を許すな≫と日本政府の判断を支持する姿勢を見せ、朝毎二紙とは異なる意見を読者国民に示した。

 

いわゆる従軍慰安婦報道の問題で国民も気づくところとなってきた朝日・毎日と読売・産経の論争は、非占領時の連合国軍総司令部GHQによる“閉された言語空間”を撃ち破り、日本人が自由な言論空間を取り戻すうえで大いに意味のあることだが、ここで肝心な視点は、それが「事実に基づく」報道・論評なのか、「主義・主張に基づく」報道・論評なのかということである。

 

慰安婦問題に関しては、「主義・主張に基づく」報道・論評だったことを朝日新聞は認めざるを得なくなって、不承不承に訂正したが、いまも悪あがきを続けている。この悪あがきは日本国と日本人の名誉、利益を損なうもので、まことに迷惑、厄介だが、朝日新聞には日本国と日本人以外に奉仕する対象があるらしい。

 

ユネスコへの分担金留保の話に戻ると、『朝日』は「記憶遺産の審査が非公開で、関係国に意見表明の機会がないといった問題点を日本が指摘したまではいい」としながら、「分担金と引きかえに履行を迫るような強圧的な対応は賢明とはいえない」と述べ、「そもそも記憶遺産は、後世に残すべき資料の保存や活用を支援するもので、正しい歴史的事実を認定する制度ではない」と、記憶遺産が政治宣伝の舞台になっている現実や中国側の意図を読み解くことはまったくせず、日本の自制を求めた。

 

『毎日』もほぼ同様で、「記憶遺産の審査過程に見直すべき点はある。日本政府が政治利用に懸念を持つのはわかる」としながらも、「分担金の支払いを留保すれば、国際社会での振る舞いとして品位を欠く」と述べた。

 

両紙に共通するのは、あらゆる国際機関は、その加盟国による政治宣伝、情報戦の舞台になっているという事実認識のなさであり、「平和を愛する諸国民」の存在を前提にした「主義・主張」である。困ったことに彼らは、前提が成り立っているかどうかの「事実」には関心がない。

 

自国の名誉が根拠もなく損なわれることを放置し、利益を棚上げしてまで国際機関に仕える国はない。

 

たとえばイスラエルは同じ年、イスラム圏7カ国が提案した世界遺産「エルサレムの旧市街とその城壁群」の保護に関する決議案をユネスコが賛成多数で採択したことに対し、「聖地がイスラム名の『ハラム・アッシャリーフ』とだけ記載され、ユダヤ名の『神殿の丘』が表記されなかったことは著しい偏向である」と強く抗議し、ユネスコとの協力を一時停止すると表明したのである。

 

---owari---

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