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日本人のアニミズム的宗教観を見直す③

2021年08月13日 | 日本
(動物にも魂があるが、人間と同じレベルのものではない)
日本の宗教的には、霊界や霊的存在があるとしても、まだまだ、それらを正統に、すっきりと整理できていない面はあったかというように思うのです。

確かに、自然を司(つかさど)る存在もいることはいますが、それは、人間を指導している正統な筋の神様と同じものではないと思います。

動物なども、人間よりも劣る部分はありますが、魂的なものは持っているので、それがいろいろと災いを起こすこともないわけではありません。この世では、動物も「生きたい」と思っているため、そうしたものを殺生(せっしょう)して食べたりしていると、祟(たた)りがあるといったこともあるかもしれません。

ただ、これに関しては、多少、知識的な触発があってそのように感じる場合もあるとは思います。

日本においても仏教の思想が入ってきたら、「殺生を戒(いまし)める考え」も入ってきました。例えば、『日本霊異記(りょういき)』などを読んでみると、魚を獲っていた漁師が、祟りというか罰が当たり、炎に包まれるような経験をしたりして、殺生をやめて、救われたといった話なども出てきます。このように、多少、知識的なものの触発を受けて、考え方が変わることもあるのです。

このへんもすべてやめるわけにもいかないので、難しいところではありますが、レベルに違いがあるものの、動物たちにも魂があることはあるのです。

例えば、「ウサギを飼(か)ってみればペットとしてはかわいいから、これを殺してパイにして食べるとなったら、かわいそうで食べられない」のは当然のとこでしょう。ただ、そうしたルートを知らずに、加工されて売られている肉であれば、みな食べたりはしているので、このあたりに、殺生しないと済まない、雑食性の人間の性(さが)はあることはあります。

また、これを避(さ)けて、植物だけにしたり、魚には魂がないと思って、「魚までは食べても構わない。これはベジタリアンに入る」と考える人もいるようですが、魚にも魂がないわけではありません。

特に、ある程度以上の大きさのものになると、明らかに魂らしきものは存在することが分かります。魚だけでなく、カニやエビなどでも、大きなものになってくると、ある程度、魂的なものは何らか存在することが分かります。

霊的能力を持った方は、大きなカニや伊勢エビ等を活け造りなどで出されると本当に困ることがあって、「いやあ、ちょっと勘弁(かんべん)してくれ」というようなこともあるようです。「では、お客さん、生が駄目なら茹(ゆ)でてきますよ」と言って、また、持ってきてくれたとしても、先ほどまで動いていたかと思うと、やはり、スッとはいかないところがあるようです。最初から茹でたり、揚(あ)げたりしてくれればよかったのですが、「先ほどまで生きていたものが逝(い)ってしまった。昇天した」と思うと、さすがに嫌だと感じるところがあるということでした。

ちなみに、オーストラリアあたりでも、日本の伊勢エビ料理などは残酷(ざんこく)だという言い方をしています。「まずは氷で脳を冷やして、“脳震盪(のうしんとう)”を起こさせ、意識をなくしてからエビ料理にするのならよいけれども、生きたままヒゲが動いているものを割(さ)いたりするのは残酷だ」というような言い方もしているので、多少、感じるところがあるのでしょう。西洋的には、動物などの魂の存在は認めないほうが主流かとは思いますが、いちおう残酷だと感じるようですし、その直感は、ある程度当たっているでしょう。

そのように、すべてのものに、ある程度、魂的なものは存在しますが、「仏性のレベルとして、人間と同じものとは考えがたい」ということであります。この差はあります。

そういう意味で、動物を祀るということはあるし、供養したりすることの意味は、多少分かりはします。例えば、(とさつ)業者等が供養したり、漁師が漁をしているのでときどき魚を祀ったり、山の猟師でシカ狩りやウサギ狩りなどして生業(なりわい)を立てている者がときどき供養したりすることはあってもよいですし、それは悪いことではないでしょう。

ただし、それらを「人間以上の猛威を持ったものとして崇め奉(たてまつ)ること」には、間違いがあると思います。

---owari---
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