1997年、訪米した江沢民はハワイに立ち寄り、真珠湾記念館で献花した。そのとき江主席は「米国民は真珠湾の教訓を忘れるべきではない」と訴え、日本を「米中共通の敵」とする記憶を喚起しようとした。
2年前、オバマ大統領は広島を訪問し、献花したが、代わりに安倍首相が真珠湾に行って謝罪を求められることもない。これは安倍外交の勝利である。
この効力は韓国にも及んだ。
オバマ大統領の広島訪問について、さすがに韓国政府は他国の外交日程だから「理解する」という公式見解を発表して日米両国を非難することはなかったが、韓国メディアは相変わらず日米への非難と注文を繰り返した。
産経新聞の黒田勝弘記者(ソウル駐在客員論説委員)によれば、その反応は、<「(第二次世界大戦の)戦犯国という加害者の日本が被害者イメージを浮き彫りにしようとしている」「日本の戦争犯罪に免罪符を与えるものだ」という。そして日本には「被害者ショー」「被害者面(づら)」「被害者コスプレ」と毒づき、米国にも「広島平和ショー」「日米合同平和ショー」と皮肉るなどいささか品がない>(同紙平成28年5月22日付)というものである。
黒田記者は記事を、こう続けている。
<韓国の議論で欠けているのは「ヒロシマは核問題の原点」という観点である。オバマ大統領の広島訪問は過去の核被害への慰め以上に現在、未来に向けた非核・反核への意味合いを探るものだろうに、そのことにはまったく顔をそむけている。
すぐ隣で同じ民族の北朝鮮が核開発を進め、先日の党大会では核武装を意気揚々と宣伝し、核保有で国際社会を脅迫しているのに、現在、未来の自分たちおよび国際社会の「核問題とヒロシマ」がまったく重ならないのだ>
同感である。
韓国の被害者感情の極大化はいまに始まったことではないが、韓国人被爆者に対して日本政府と民間が何も救済や支援をしてこなかったということはない。日本が国力をつけた1970年代以降、支援活動は本格化し、とくに1990年には日本政府から人道医療支援基金として約40億円が韓国に提供されている。
黒田記者によれば、<この基金は韓国側で医療支援や福祉会館建設などに使われたが、結果的には長期的かつ効果的な運用に失敗し、「食いつぶされた」といわれる> どのように使われたかまで日本が責任を負うとするならば、韓国は独立国なのかということになる。あるいは再び我が国との合併を望むのか、と。
結果として、オバマ大統領の広島訪問は、韓国の一方的な日本叩きに同調する国は世界に中国と北朝鮮以外にないことも示した。
---owari---
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