今日も国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。
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全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。
今回は世界情勢ではなく、「幸せな老後」について。
私がメルマガRPEを創刊したのは1999年。
今から25年前で、私は28歳でした。
妻も子供たちもいなくて、お金もほとんどない時代でした。
ところが、今は53歳です。
同じ年齢の知人、友人と話すと、「定年退職後何しよう」と考えているようです。
日本の場合、60歳までフルに働く。
60歳からは、週2日ほど出社して働くも、給料は初任給ほど。
65歳で完全に退職、といったケースが多いようです。
その後の人生の「幸せ」「不幸せ」を決定づけるファクターは何なのでしょうか?
『朝日新聞DIGITAL』5月9日付を見てみましょう。
〈米ハーバード大学は、ウェルビーイング(心身の健康や幸福)のカギを探すための大規模な調査を85年以上にわたり続けている。〉
〈ハーバード大が1938年から続ける「成人発達研究」。
大学卒業生を含め、富裕層や貧困層、子どもから大人まで、生活状況や健康データを継続的に集め、約10年ごとに対面で幸福度などをヒアリングしてきた。対象者は現在、約2600人に上る。〉
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さすがハーバード大学!
心身の健康や幸福の秘訣を探すために、86年も研究が続けられているのです。
では、「幸福のカギ」は何なのでしょうか?
〈研究を担うロバート・ウォールディンガー教授(精神医学)によると、良い人間関係は心臓病や糖尿病、関節炎の発症を抑制する半面、「慢性的な孤独感」は1年あたりの死亡率を26%も高める結果になったという。〉
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どうも「良い人間関係」が、心と体の健康、幸せのカギみたいです。
記事は、二人の男性の例を挙げています。
〈ジョンは大学卒業後、シカゴ大学院をトップクラスの成績で卒業し、弁護士に。コンサルタント業務を手がけ、「自己の内なる欲求を満たす」と出世を重視するようになり、成功して高い報酬を得るようになった。〉
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「成功者」になったジョンですが、「幸せ」とはいえない状態になってしまいます。
〈ジョンの最初の結婚はうまくいかず、子どもたちとも疎遠に。質問票には「人とつながれず悲しい」という思いを書いていた。その後、62歳で再婚するが、愛のない結婚生活だという思いを抱えたまま、亡くなった。〉
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最初の奥さん、子供たちと仲が良くない。
再婚相手との関係もよくない。
それで、悲しい気持ちを持って亡くなったと。
一方、いわゆる「成功」はしなくても、「幸せ」になった例が挙げられています。
〈一方、レオはジャーナリストになるのが夢だったが、母親が病気になり、介護のために故郷に戻り、高校教師になった。〉
〈レオは熱烈な恋に落ち、結婚。教師を続け、年収は一般的だが、妻と4人の娘と一緒に幸せな生活を生涯にわたって送ったという。〉
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一見平凡な人生を送ったレオの方が、「成功者」ジョンよりも幸せだったと。
86年続いているハーバード大学の研究の結論は。
〈ハーバード大の研究チームは、幸福の二大予測因子として、パートナーなど他者と過ごす「時間」と「質」を挙げた。
長い人生での幸福は、収入の有無や成功と関係なく、人間関係によって育まれると結論づけた。〉
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幸せになるため、幸せでいるために必要なのは、パートナーなど他者と過ごす「時間」と「質」だそうです。
そして、ウォールディンガー教授は、中年の人たちにアドバイスをしてくれています。
〈ウォールディンガー教授は、幸せな老後を迎えるためのミドルの過ごし方について「仕事だけでなく、家族との人間関係の再構築などいろんなものに関心を向けることが大事だ」と助言している。〉
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「仕事だけでなく、家族との人間関係を大切にしましょう」と。
それが、自分自身が幸せな老後を迎えるために必要だということですね。
もちろん、夫、妻、お父さん、お母さんとの関係がよくなる家族も、それで幸せです。
皆さん、今回のお話、いかがでしょうか?
幸せな老後の要因は、「よい人間関係だけ」とはいいません。
お金も必要、健康も必要でしょう。
しかし、「よい人間関係」も必要なのでしょう。
特に、夫婦関係、親子関係が冷え切っていて、「いつ熟年離婚を言い出されるか?」と不安なら、なかなか幸せとは言えないでしょう。
というわけで、定年退職するずっと前から、奥さん、旦那さん、子供たちとの関係を大切にしておきましょう。
これは、私自身へのアドバイスでもあります。
---owari---
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