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税金に対する考え方(前編)

2020年05月28日 | 政治・経済
(高すぎる税金は「奴隷的拘束」に近い)
税金は、「奴隷的拘束」や「苦役(くえき)」とは別物だと思われがちですが、場合によっては、それに近いことが起きることもあります。

日本でも、戦後の一時期に、最高税率が90パーセントぐらいまで行っていたことがありました。それはちょうど、松下幸之助氏などが長者番付に載っていたころですが、彼の場合、年収が10億円で、9億円が税金だったため、「1億円の手取りをもらうためには、10億円の収入がなければならず、9億円は税金で取られるのです。これが本当にフェアな社会でしょうか」というようなことを何度も何度も訴(うった)えていたのです。

年収が1億円もない人からすれば、「1億円もあるならよいではないか」という言い方も当然あるでしょう。しかし、10億円の年収を挙げようとしたら、普通の成功では無理です。それにもかかわらず、その9割を税金で取られる社会というのは、はっきり言って、「あこぎな社会」だと言わざるをえません。

その9億円が、ほかの人のために使われるのは、よいことかもしれないとはいえ、「ただ、いくら何でも人権無視ではないか」という感情が働くことには、想像に難(かた)くない面があります。

その後、最高税率はじわじわと下がってきて、5割ぐらいになっていましたが、今、それがまたリバウンドして上がろうとしています。

イギリスでは、一時期、対象によっては最高税率が98パーセントぐらいまで行っていたときがありますが、そこまで行くと、ほとんど「奴隷的拘束」に近いかもしれません。

「10億円稼(かせ)いでも、9億8千万円が税金」というのは、“地獄”であり、これでは、実際上、10億円を稼ぐために働く人はいなくなると考えてよいでしょう。2千万円以上の税金になる部分を稼ごうと思う人は、いなくなるのが普通です。

---owari---
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