アメリカが国内へ企業の呼び戻しに入り、雇用を生んで、税金も国内で払わせるということにすると、どうなるでしょうか。海外でいくら安くつくったところで、「輸入関税をかける」という強い方針を出せば、これは必ず波及するしかないので、やはり、ある程度、優位に立っていた国が、もう一段、経済的に内容をよくすることはできると思います。
その後、そうした経済的な力をどのように使うかというところについては、やはり、智慧でもって考えていくということでしょう。
したがって、「中国の一人勝ちを止める」ということであれば、TPPも一つの案ではあったけれども、「もう一回、関税の自主権を取り戻し、国対国の採算を点検していく」というトランプ型の考え方も一つの方法としてはあるでしょう。
その根本は、結局、九十年代から始めたグローバル化の問題だったのであり、「グローバル化というものが、資本主義の発展のようにも見えながら、現実には共産主義の蔓延と裏表の関係だった」ということです。
そのように、すべてのものを同じ基準にしていこうとする考え方は、結局は、共産主義的な発想と同じ、裏表になってしまったということでもあります。自由であるということのなかには、もう少し自主性がなければいけないのです。
それまでは「人件費が安い」というだけで呼び込めていたところであっても、やがて、そこも高くなっていきます。産業として成熟してくると、以前は呼び込めたものでも、いずれはそこが高くなってくるので、メリットがなくなり、そのうち衰退していくことになりますから、もう一段、高度に発展しなければ駄目でしょう。
途上国が高度な発展をするためには、要するに、「教育投資」と「産業のインフラ投資」、それから、「犯罪等の抑止」といったことをしないかぎり、一流国にはなりません。そうした努力を伴わず、貿易だけで経済黒字を出そうとしても、それは続かないものになるでしょう。
現時点では善悪をはっきりつけるのが難しいことではあるものの、世界最強のスーパーパワーであるアメリカのほうが「国論をはっきり変える」ということであるならば、やはり、日本としてもその流れのなかに入るべきでしょう。
この考え方で勝利することができたならば、日米が基本的に共有している価値観(自由、正義、幸福)によって、あと三百年は世界をリードしていく時代をつくることができるはずです。
その意味では、アメリカや日本は、経済的にもう一段の充実を図り、その力を背景にして世界的なリーダーになれる道のほうがよいのではないかと思っています。
---owari---
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます