米国における多くの科学的調査で、結婚・出産・育児は幸福の源泉であることが示されている。
(未婚率の上昇は放っておけない問題)
弊誌「人口適正化と新技術で築く『和の文明』」では、今後100年間に我が国の人口が7千万人も減ってしまう、という予測に対して、それは過去150年ほどで9千万人も増えた反動でもあるとして、厖大な食料輸入によって1億2千万人もの人口を養っている現在の危険な状況にも目を向けるべきだ、と指摘した。
特に、経済面の考慮だけで人口1億人維持を目標として、外国人移民を導入するなどという政策は、何が国民の幸福かを見誤った本末転倒の議論である。
その一方で、未婚率の急上昇は放っておけない。国民の不幸に直結した現象だからだ。我が国の未婚率(50歳になった時点で一度も結婚をしたことがない人々の割合、2015年データ)は、男性が約23%、女性が約14%。1970年頃までは安定して2%程度、2000年頃でも10%未満だったので、未婚化が急速に進行していることが分かる。
後述するように、結婚はすべての民族で採用されてきた普遍的な制度であり、人々の健康や幸福を増進する叡智であったのだ。したがって幸福な国をつくるためにも、未婚率の急速な上昇は座視できない現象なのである。
同時に、少子化の原因のうち、夫婦出生力の低下は約1割に過ぎず、残りの9割は未婚化によってもたらされている。未婚化について手を打つことが、少子化の衝撃を和らげることにもつながる。本編では未婚化について、今までの科学的な研究を紹介しつつ考えて見よう。
(結婚や出産の促進策には、すぐに反対の声)
未婚化の原因の一つとして、昔のような親戚や上司の世話によるお見合いなどが減っていることが挙げられるが、これは自治体の「出会いの場」作りの政策でカバーしうる。しかし「結婚や出産に関する価値観に働きかける可能性のある政策については、すぐに批判が出てきてしまうという問題」がある。
__________
実際、政府が結婚支援に乗り出し始めた2013年以降、とくにジェンダーの立場から激しい批判が起きました。「リプロダクテイブ・ヘルス/ライツ」の理念を楯にして、「産む産まないは個人の自己決定権の問題であり、国が結婚や出産に対して介入すべきではない」といった論調は非常に強まっています。
例えば、2016年に内閣府の有識者会議の中で「婚活メンタ-」が検討されていることが報道されました。独身の従業員に対して結婚を後押しするような役割の立場を設けて、企業の中で婚活の働きかけをしていこうというものです。
しかし、マスコミがその動きを報道して以降、まさに独身ハラスメントだといった批判が種々の団体や個人から内閣府に相次いで寄せられ、結局これは実施できなくなりました。
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こうした動きの背景には次のような考え方がある。
__________
結婚や出産は個人の自由な選択と決定に基づくものであり、特定の価値観を押し付けてはいけない。そのような考え方が強く主張され過ぎている状況の中で、結婚へ向けて背中を押すような取り組みを実施することが難しくなっているといえます。
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疑り深い弊誌などは、こうした主張の陰には、左翼の常套手段である「国家や共同体を弱体化させようと言う魂胆」が隠されているように思えてならない。
(未婚は「個人の自己決定権の問題」か?)
結婚や出産が「個人の自由な選択と決定」の問題、というなら、「タバコを吸う吸わない」はどうなのか。反対派はこう言うだろう。「喫煙が当人の健康を害し、さらに受動喫煙によって周囲の人に迷惑をかける以上、『個人の自由な選択と決定』の問題ではない」と。
確かにそうだろう。しかし、それなら、もし「未婚が本人の健康や幸福を害し、周囲の人々にも迷惑をかける」なら、同様にそれは完全に自己決定権の問題とは言えなくなる。本人の健康や幸福のため、社会全体の幸せのために、政策として結婚と出産を奨励する事は、禁煙政策と同様に許されるべき、と言えよう。
実は、数々の科学的調査研究によって、結婚が本人及び周囲の人々の幸福につながる事が立証されてきている。ここでは『独身者は損をしている―財産を築き、健康を維持し、子供の非行を防ぐ「家族」という仕組み』[ブランケンホーン]を中心に、それらのいくつかを紹介しよう。
(「お金がないなら結婚しなさい」)
「独身貴族」という言葉もあるように、結婚したら、いろいろ費用がかさんで生活が苦しくなる、と考えている人も多いであろう。その恐れが未婚率を引き上げている一因のようだ。しかし、これは誤解である。ニッセイ基礎研究所の天野馨南子氏は「お金が足りない人ほど『結婚がお得』」と説く(『データで読み解く「生涯独身」社会』)。何故か?
まず一人暮らしでは洗濯機や冷蔵庫が一人一台ずつ必要だが、結婚すれば二人で一台で済む。光熱費や家賃も一人当たりで見れば効率的だ。さらに食費も二人で自炊すれば、一人暮らしの自炊や外食よりもはるかに安くなる。
天野氏の試算では、一人暮らしでそれぞれ毎年100万円かけている二人が結婚すれば、夫婦で140万円で済む。すなわち各自30万円も節約できる。「お金がないから結婚できない」ではなく、「お金がないなら結婚しなさい」が事実なのだ。
収入面でも結婚は効果がある。米国及び他の先進国の厖大な研究では、「同じような学歴と職歴でも、結婚している男性は独身の男性よりも10~40%所得が高い」「結婚そのものが男性の経済力を約24%上げる」という結論が得られている。
その理由として「結婚している男性の方が仕事に対する責任感が強く、職探しが上手で、健康で、日常生活(睡眠、食事、アルコール摂取など)も安定しているように見える」と指摘されている。[ブランケンホーン、p50]
伴侶がいればこそ「将来は家を持って子供を産み育てたい」などの夢を共有して、より仕事に励むことが出来よう。また嫌な上司と当たっても、伴侶がいれば、短気を起こして仕事を辞めたりしてはいけない、という自制も働くだろう。
(結婚すれば長生きできる)
結婚は健康も増進する。「既婚者は男女とも平均して、独身者や離婚者より健康を享受している」と結論づけられている。
アメリカでの51歳から61歳まで9333人を対象とした調査では、既婚者、同棲者、離婚者、未亡人、未婚者の中で、「例外なく、全ての病気及び障害、機能問題や機能不全にかかる割合が一番低いのは既婚者である」との結論が下されている。
そして「既婚者は、結婚していること以外の面で似た条件の独身者や離婚者よりも長生きする。人種、収入、家庭背景を考慮しても、平均的に夫も妻も、独身者より寿命が長い。」
伴侶のいる生活では、互いの健康を気づかう事で乱れた生活への抑止となり、また精神的な充足感、幸福感も高いからであろう。特に「既婚者は、未亡人、離婚者、同棲者に比べ、健康不良、身体機能の衰え、頭痛、過度の心理的ストレスを訴えることが少なく、喫煙率も低く、アルコール依存症で苦しむ率も低い」という調査結果も得られている。
(結婚は犯罪を減らす)
結婚は犯罪の予防にも効果がある。男性の独身者は、子孫を残そうという本能が働いて、女性を求めて男性ホルモンが高まる。それが「攻撃的行動」、「興奮を追い求める行動」、「種々の反社会的行動」を引き起こしやすくする。しかし「既婚の男性、特に既婚の父親は、未婚や離婚した男性に比べ、男性ホルモンの値が低い」という事が判っている。
2001年にノーベル賞を受賞したジョージ・アカロフ博士の「子供のいない男性」と題する研究は、「1970年代の、労働者階級と貧困層の男性の結婚率の減少が急激な犯罪率の増加に繋がっていた」事を明らかにしている。
興味深い事に、女性の方でも「全体的にどの年齢においても、独身女性と離婚した女性が暴力犯罪の犠牲になる確率は、既婚女性の4~5倍程度」とされている。
例えば、米国法務省の推定では、1992年と1993年において、結婚している女性が凶悪犯罪の被害者になる確率は千人中17人だったのに対し、独身及び離婚した女性の場合は千人中60人となっている。この原因はおそらく既婚女性は、安全な家庭内や近所での時間が増え、また外出も夫とともにする事が多いからだろう。
(「97%の母親が、母親であることに満足」)
もう一つ、少子化にも関連して、女性が母親になる事がどのように幸福につながっているかも見ておこう。現在では、出産と育児とは女性を家庭に縛り付けるものという先入観がある。しかし、アメリカでの調査は、意外な結果を示している。
ミネソタ大学のエリックソン博士を始めとする社会学者からなる研究チームが、アメリカに居住している2千人以上の母親を対象に行った大規模な調査研究を行った。
それによれば、母親としての人生に81%が「とても満足」しており、16%が「ある程度満足している」と回答している。合わせて97%もの母親が、母親であることに満足しているのである。母親のストレスや緊張ばかりが強調される一般の議論とは全く逆の結果が得られた。
この研究では、次のような結果も得られている。
__________
93%以上の回答者が、「子供に対する愛情は、それまでに体験したどんな愛情とも異なっている」と言っている。
同じく93%近くの母親は「自分の子供の世話をするということは、とてもかけがえのないことで、他人に任せられることではない」とも言っている。そして、81%近くの母親は、「母親としての務めは、自分の生活の中で一番大切なことである」と言っている。
子供の健全な生活に対する母親の責任感にも強いものがある。92%以上の母親は、「母親になった後は、自分の子供だけでなく、全ての子供の健全な成長が気になる」という考えに同意している。そして、79%の人が、「子供に対する責任は、どんな大人より母親にある」と言っている。
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この研究では、大規模なアンケート調査と並行して、より詳細な聞き取り調査を行っている。それによれば、母親たちのこんな声が報告されている。
(未婚率の上昇は放っておけない問題)
弊誌「人口適正化と新技術で築く『和の文明』」では、今後100年間に我が国の人口が7千万人も減ってしまう、という予測に対して、それは過去150年ほどで9千万人も増えた反動でもあるとして、厖大な食料輸入によって1億2千万人もの人口を養っている現在の危険な状況にも目を向けるべきだ、と指摘した。
特に、経済面の考慮だけで人口1億人維持を目標として、外国人移民を導入するなどという政策は、何が国民の幸福かを見誤った本末転倒の議論である。
その一方で、未婚率の急上昇は放っておけない。国民の不幸に直結した現象だからだ。我が国の未婚率(50歳になった時点で一度も結婚をしたことがない人々の割合、2015年データ)は、男性が約23%、女性が約14%。1970年頃までは安定して2%程度、2000年頃でも10%未満だったので、未婚化が急速に進行していることが分かる。
後述するように、結婚はすべての民族で採用されてきた普遍的な制度であり、人々の健康や幸福を増進する叡智であったのだ。したがって幸福な国をつくるためにも、未婚率の急速な上昇は座視できない現象なのである。
同時に、少子化の原因のうち、夫婦出生力の低下は約1割に過ぎず、残りの9割は未婚化によってもたらされている。未婚化について手を打つことが、少子化の衝撃を和らげることにもつながる。本編では未婚化について、今までの科学的な研究を紹介しつつ考えて見よう。
(結婚や出産の促進策には、すぐに反対の声)
未婚化の原因の一つとして、昔のような親戚や上司の世話によるお見合いなどが減っていることが挙げられるが、これは自治体の「出会いの場」作りの政策でカバーしうる。しかし「結婚や出産に関する価値観に働きかける可能性のある政策については、すぐに批判が出てきてしまうという問題」がある。
__________
実際、政府が結婚支援に乗り出し始めた2013年以降、とくにジェンダーの立場から激しい批判が起きました。「リプロダクテイブ・ヘルス/ライツ」の理念を楯にして、「産む産まないは個人の自己決定権の問題であり、国が結婚や出産に対して介入すべきではない」といった論調は非常に強まっています。
例えば、2016年に内閣府の有識者会議の中で「婚活メンタ-」が検討されていることが報道されました。独身の従業員に対して結婚を後押しするような役割の立場を設けて、企業の中で婚活の働きかけをしていこうというものです。
しかし、マスコミがその動きを報道して以降、まさに独身ハラスメントだといった批判が種々の団体や個人から内閣府に相次いで寄せられ、結局これは実施できなくなりました。
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こうした動きの背景には次のような考え方がある。
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結婚や出産は個人の自由な選択と決定に基づくものであり、特定の価値観を押し付けてはいけない。そのような考え方が強く主張され過ぎている状況の中で、結婚へ向けて背中を押すような取り組みを実施することが難しくなっているといえます。
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疑り深い弊誌などは、こうした主張の陰には、左翼の常套手段である「国家や共同体を弱体化させようと言う魂胆」が隠されているように思えてならない。
(未婚は「個人の自己決定権の問題」か?)
結婚や出産が「個人の自由な選択と決定」の問題、というなら、「タバコを吸う吸わない」はどうなのか。反対派はこう言うだろう。「喫煙が当人の健康を害し、さらに受動喫煙によって周囲の人に迷惑をかける以上、『個人の自由な選択と決定』の問題ではない」と。
確かにそうだろう。しかし、それなら、もし「未婚が本人の健康や幸福を害し、周囲の人々にも迷惑をかける」なら、同様にそれは完全に自己決定権の問題とは言えなくなる。本人の健康や幸福のため、社会全体の幸せのために、政策として結婚と出産を奨励する事は、禁煙政策と同様に許されるべき、と言えよう。
実は、数々の科学的調査研究によって、結婚が本人及び周囲の人々の幸福につながる事が立証されてきている。ここでは『独身者は損をしている―財産を築き、健康を維持し、子供の非行を防ぐ「家族」という仕組み』[ブランケンホーン]を中心に、それらのいくつかを紹介しよう。
(「お金がないなら結婚しなさい」)
「独身貴族」という言葉もあるように、結婚したら、いろいろ費用がかさんで生活が苦しくなる、と考えている人も多いであろう。その恐れが未婚率を引き上げている一因のようだ。しかし、これは誤解である。ニッセイ基礎研究所の天野馨南子氏は「お金が足りない人ほど『結婚がお得』」と説く(『データで読み解く「生涯独身」社会』)。何故か?
まず一人暮らしでは洗濯機や冷蔵庫が一人一台ずつ必要だが、結婚すれば二人で一台で済む。光熱費や家賃も一人当たりで見れば効率的だ。さらに食費も二人で自炊すれば、一人暮らしの自炊や外食よりもはるかに安くなる。
天野氏の試算では、一人暮らしでそれぞれ毎年100万円かけている二人が結婚すれば、夫婦で140万円で済む。すなわち各自30万円も節約できる。「お金がないから結婚できない」ではなく、「お金がないなら結婚しなさい」が事実なのだ。
収入面でも結婚は効果がある。米国及び他の先進国の厖大な研究では、「同じような学歴と職歴でも、結婚している男性は独身の男性よりも10~40%所得が高い」「結婚そのものが男性の経済力を約24%上げる」という結論が得られている。
その理由として「結婚している男性の方が仕事に対する責任感が強く、職探しが上手で、健康で、日常生活(睡眠、食事、アルコール摂取など)も安定しているように見える」と指摘されている。[ブランケンホーン、p50]
伴侶がいればこそ「将来は家を持って子供を産み育てたい」などの夢を共有して、より仕事に励むことが出来よう。また嫌な上司と当たっても、伴侶がいれば、短気を起こして仕事を辞めたりしてはいけない、という自制も働くだろう。
(結婚すれば長生きできる)
結婚は健康も増進する。「既婚者は男女とも平均して、独身者や離婚者より健康を享受している」と結論づけられている。
アメリカでの51歳から61歳まで9333人を対象とした調査では、既婚者、同棲者、離婚者、未亡人、未婚者の中で、「例外なく、全ての病気及び障害、機能問題や機能不全にかかる割合が一番低いのは既婚者である」との結論が下されている。
そして「既婚者は、結婚していること以外の面で似た条件の独身者や離婚者よりも長生きする。人種、収入、家庭背景を考慮しても、平均的に夫も妻も、独身者より寿命が長い。」
伴侶のいる生活では、互いの健康を気づかう事で乱れた生活への抑止となり、また精神的な充足感、幸福感も高いからであろう。特に「既婚者は、未亡人、離婚者、同棲者に比べ、健康不良、身体機能の衰え、頭痛、過度の心理的ストレスを訴えることが少なく、喫煙率も低く、アルコール依存症で苦しむ率も低い」という調査結果も得られている。
(結婚は犯罪を減らす)
結婚は犯罪の予防にも効果がある。男性の独身者は、子孫を残そうという本能が働いて、女性を求めて男性ホルモンが高まる。それが「攻撃的行動」、「興奮を追い求める行動」、「種々の反社会的行動」を引き起こしやすくする。しかし「既婚の男性、特に既婚の父親は、未婚や離婚した男性に比べ、男性ホルモンの値が低い」という事が判っている。
2001年にノーベル賞を受賞したジョージ・アカロフ博士の「子供のいない男性」と題する研究は、「1970年代の、労働者階級と貧困層の男性の結婚率の減少が急激な犯罪率の増加に繋がっていた」事を明らかにしている。
興味深い事に、女性の方でも「全体的にどの年齢においても、独身女性と離婚した女性が暴力犯罪の犠牲になる確率は、既婚女性の4~5倍程度」とされている。
例えば、米国法務省の推定では、1992年と1993年において、結婚している女性が凶悪犯罪の被害者になる確率は千人中17人だったのに対し、独身及び離婚した女性の場合は千人中60人となっている。この原因はおそらく既婚女性は、安全な家庭内や近所での時間が増え、また外出も夫とともにする事が多いからだろう。
(「97%の母親が、母親であることに満足」)
もう一つ、少子化にも関連して、女性が母親になる事がどのように幸福につながっているかも見ておこう。現在では、出産と育児とは女性を家庭に縛り付けるものという先入観がある。しかし、アメリカでの調査は、意外な結果を示している。
ミネソタ大学のエリックソン博士を始めとする社会学者からなる研究チームが、アメリカに居住している2千人以上の母親を対象に行った大規模な調査研究を行った。
それによれば、母親としての人生に81%が「とても満足」しており、16%が「ある程度満足している」と回答している。合わせて97%もの母親が、母親であることに満足しているのである。母親のストレスや緊張ばかりが強調される一般の議論とは全く逆の結果が得られた。
この研究では、次のような結果も得られている。
__________
93%以上の回答者が、「子供に対する愛情は、それまでに体験したどんな愛情とも異なっている」と言っている。
同じく93%近くの母親は「自分の子供の世話をするということは、とてもかけがえのないことで、他人に任せられることではない」とも言っている。そして、81%近くの母親は、「母親としての務めは、自分の生活の中で一番大切なことである」と言っている。
子供の健全な生活に対する母親の責任感にも強いものがある。92%以上の母親は、「母親になった後は、自分の子供だけでなく、全ての子供の健全な成長が気になる」という考えに同意している。そして、79%の人が、「子供に対する責任は、どんな大人より母親にある」と言っている。
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この研究では、大規模なアンケート調査と並行して、より詳細な聞き取り調査を行っている。それによれば、母親たちのこんな声が報告されている。
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母親であるということは世界で一番かけがえのない仕事である。時には圧倒されそうになることもあるが、自分が成し得たことを省みたり、人から「なんて素晴らしい息子さんに育てたの」と言われた時には、その喜びは言葉では表せないものだ。
(キャリアを確立するのに成功した後、38歳で第一子を出産した母親)
母親であることの体験からどれほど喜びが得られるかはとても予想できない。事実、私も母親になった時は不安だったわ・・・でも今は、子供がいない時、どうやって生活して来たのだろうかって思うこともあるわ。本当に、母親ってすばらしい体験よ。
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母親になることは、かけがえのない幸福への近道なのである。
(結婚や出産・育児を通じて人生の幸せを十二分に味わえる国)
しかし、この聞き取り調査では、母親たちの抱える問題も見つかった。多くの母親が、「家庭、地域、そして社会全体の中で、子供たちの世話をすることがいかに重要であるかが認識され、もっと感謝されるべきだ」と主張している。
ある一人の母親は、「よく何をしているのかって聞かれて、家で子供の世話をしていると答えると、簡単な仕事ねって言われる。だけど、これほど大変なことはないわ」と嘆いていた。
母親という仕事の意義を過小評価する傾向は、結果的に母親になろうという動機を減退させ、少子化を促してしまう。それは本来なら女性が経験できたはずの母親としての幸せを遠ざけてしまう可能性を持つ。
結婚の価値を過小評価する事も同じである。結婚をしていれば経験できたかもしれない財産や健康、安全を遠ざけてしまう。
弊誌「ゆがんだリベラル思想を正す道」では、マルクス主義の後継者であるフランクフルト学派が、ゆとり教育、男女共同参画、夫婦別姓、過激な性教育、犯罪者のみの人権擁護などを通じて、健全な共同体へ攻撃を仕掛けている事を述べた。
それに反撃しようと、100人以上の米国の著名な学者たちが、多くのプロジェクトを組んで、科学的実証的に結婚と母親であることの価値を明らかにした。その要約が、この『独身者は損をしている―財産を築き、健康を維持し、子供の非行を防ぐ「家族」という仕組み』なのである。
本書の訳者代表・エドワーズ博美氏は、「これら科学者たちの英知を結集した研究結果は、「日本人が長年培ってきた家族制度にこそ女性の幸せと、健全な社会の形成がある」ことを図らずも示してくれた」と述べ、「『すばらしい国 日本』を取り戻すためには、家族の復活と強化以外にはない」と結論づけている。
「和の国」は、人々が結婚や出産、育児を通じて、人生の幸せを十二分に味わえる国でなければならない。そのためにも、そういう理想を目指して、政府が結婚や出産を奨励・支援するのは当然、という国民的な合意が必要なのである。
(文責:「国際派日本人養成講座」編集長・伊勢雅臣)
---owari---
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