「貿易力」という外交カードを使うのは、アメリカに対しても同様である。たとえば、「アメリカの大豆は遺伝子組み換えをしているから輸入しない」はもう始まっているが、理由は何であれ日本が輸入制限をすれば、最大の輸出先は日本という物は多いから、業者はワシントンへ行って大騒ぎするだろう。
「日本人から食べないと言われたら、我々は死活問題だ」という政治運動が、ワシントンに起こるはずである。
そういう力を日本は持っている。アメリカから買わなくても、他の国から「こちらのは大丈夫です。買いませんか?」と売り込んで来るから、肉であれ野菜であれ食べられなくなる心配はない。
農水大臣や経産大臣は何をやっているのか、ということである。輸出、輸入の権限を持っているのだから、それを使いなさい。日本国益のために使いなさい。直接使うのがイヤなら、せめて嫌がらせに使いなさい(笑)。力はあるのだから、あとは使おうという「意」だけが問題である。もちろん、日本はそんなことをする国ではないという信用がある。しかし、時と場合によってはするという信用もあったほうがよい。
それから、日本の輸出もまた武器となる。ずっと輸入よりも輸出超過で儲けがたまっているが、それをなぜためないといけないか? こう言うと驚かれるが、ドル札ばかりもらっても仕方がないことはすでに述べた。そのうえ嫌われるのだから、一割輸出を減らせばよい。さて、どこを減らしましょうか?である。「もう売らない」と言うのもたいへんな武器である。日本から買った部品を組み立てたり(中国)、日本から買った工作機械で製造したり(韓国)、日本から買った文化娯楽商品で毎日を楽しく暮らしたり(アメリカ)ができなくなる。阪神・淡路大震災のとき、そんな影響が各国に及んだ。すぐに復旧したからよかったが。
輸出入はバランスすればいいのであって、アメリカも昔からそう言っている。だから日本は嫌われるくらいなら、もっと輸出を減らしてもいいのであって、どちらを選ぶかは日本国民の意志である。ところが、輸出を減らすなどは誰も考えていない。輸出は日本経済の生命線とか、アラブの石油は必須不可欠とか、アメリカの力は永遠とか、日本は弱小国とか、思考停止が目に余る。
「意」がないから、そうなる。
---owari---
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