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消費税増税はなぜ問題なのか?(第2回)

2016年08月03日 | 政治・経済

「社会保障」に騙されてはなりません。

国民は全員騙されています。マスコミも、実は、国民を騙すのに参加しているか、騙されているか、どちらかである可能性が高いんですね。

 

すなわち、年金制度をつくり、国民から年金の保険料を取ったときに、すでに政府による騙しがあるのです。つまり、政府の考えでは、これは「税金」なのですよ。入っただけ使ったのですから、明らかにそうです。

 

年金について、国民のほうは、「老後にもらえるものだ」と思って払っていたのですが、政府のほうは、年金を税金代わりに使っていたわけです。これが一回目の騙しです。

そして、今、二回目の騙しに入ろうとしています。「年金制度が崩壊したら老後が大変でしょう。だから、増税をかけて、老後が安心できる社会をつくります」と言って、二回目の騙しをやろうとしているので、警告しているのです。

 

今、消費税を八パーセントから十パーセントにするとか、それ以上にするとか言っていますが、絶対にこれで埋まるはずがありません。社会保障との一体化をするなら、最終的には、二十五パーセント、五十パーセント、あるいは、もっと上げなければいけませんが、そうすると、国民が七十パーセントから七十五パーセントの税金、ないしは、それに近い負担をしなければ生活できないような、「スウェーデン型の国家」をつくることになるのです。

 

もし、七十パーセントとか、そういうレベルに行くとしたら、それは、「自分の自由に使えるのは三割で、あとの七割は、ほかの人の好きなようにされる」という社会です。

まあ、こういう社会が幸福かどうか、という観点ですね。

 

このように、騙しが絶対にあるのですが、私が言っているのは、「もう一回、騙すのはよくないと」ということです。

一度騙されたのは、もうしかたがありません。政府に騙されてお金を使いまくられたのは、われわれも含めて国民が愚かだったので、しかたがないですが、二回も騙すというのは、ひどい話です。

 

したがって、少しでももらえたらありがたいと思いますが。基本的に、「年金はもらえないものだと」と思って、自己防衛の考え方を組み立てておいたほうがよいでしょう。そうしないと、よけいに騙されます。

 

要するに、振り込め詐欺と同じようなことを国家がやっているのです。政府は、「増税さえすれば、皆さんの老後は安泰ですよ」と言っているけれども、どう計算しても安泰ではありません。

より多く稼いだ人から、どんどんむしり取っていくのは、マルクス主義の共産主義社会が実現化する方向であり、これは「地獄への道」を選んでいるのです。

 

税金というのは強制力だし、国民の自由を奪う行為です。やはり、私財というか、自分の自由にできる財産がなかったら、職業選択の自由も、居住移転の自由も、結婚の自由も、海外渡航の自由も、何もないですよ。財産のところを全部押さえられたら終わりなのです。

 

ここは非常に大事なところであり、やはり限度というものがあります。「その限度が,いったいどのあたりにあるのか」ということを考えなければいけませんが、やはり、マックスで考えても、半分をこえたら行きすぎだと思いますね。

 

政府のほうは、「毎年、一兆円ずつ社会保障費が増えていくので、これに対応するためには、増税以外にない」という考えでしょう。

ただ、「社会保障費が要る」と言うけれども、もちろん、使い方の問題は相当あって、今、生活保護を受けている人が二百万人を超えていますが、彼らが病院の食い物にされていることを、病院側も証言しているようなところがあります。

 

要するに、「生活保護をもらうために働かない」ということもあるわけですし、社会保障と称して、病院関係の放漫経営許される状態もけっこう続いているんですよね。

戦前は、社会保障などなくても、年を取って飢え死にする人など、いなかったわけです。

 

きちんとバックアップしようとすれば、身内や親族でできますし、そういう人がいなければ、人間は、「自分でバックアップ体制をつくろうと」と言うことで、老後についての設計をし始めます。

しかし、「全部、国や地方公共団体がやってくれる」と思えば、何もしないで。「キリギリス体制」で老後を迎えるようになります。

 

やはり、セルフ・ヘルプ型の社会にしないと、活力が衰えて、国が没落していきますね。これは歴史が証明しているのです。

増税したら、病院に通わせてくれたり、ベッドを確保してくれたりするようになるのかもしれませんが、医療費が増大して、もっと税金が要るようになり、結局、「長いきはしたものの、お金は食うし、家族からも嫌がられる」ということになりかねません。老後に、病院での生活が十年も二十年も続くような社会が、本当に幸福な社会なのかどうかを考えなければいけません。

 

社会保障費の増大を止める一つの考え方に、「生涯現役思想」があります。実際には働けるのに、定年が来て働かないでいると、本当に一年もしたら弱ってしまうのですよ。あっという間に弱ってしまって、次は病院行きです。病院に行ったら、ベッドに寝かされて点滴を打たれます。そうすると、「筋肉が落ちて立ち上がれなくなり、車椅子や介添えが必要になって、さらにお金がかかる」という悪循環になります。

 

そのように、病院にもプラス面とマイナス面の両方があるのですよ。だから、あまり長くいるべきところではないと思います。もちろん、緊急の場合は、病院で治療したりしてもいいけれども、長く生活の場にすべきではありません。

 

今は、病院が老人ホーム代わりになっていて、これで、だいぶお金を食っているのですが、やはり、基本的に、老後は家で過ごせるように設計していくほうがいいと思うのです。

治療できるものは治療してもいいけれども、もう治療が不可能であれば、家族と最後を共にできる体制をつくったほうがいいと思います。

一見冷たいように見えるかもしれませんが、それが本来の姿なんです。

 

マスコミもみな、「国の借金はこんなにあります。税収の倍もお金を使っています。もう借金だらけで、利子も払えません。経済成長をさせると、利子の部分が上がります」と言って脅していますが、その考え方は変えた方がいいと思います。そもそも、「国債は国の借金」という言い方が間違いだと思うんですよ。

 

国民は、お金を持っていて、投資先を求めています。株などをやると損をすることがあるので、いちばん安全な投資先として国債を選んでいるのです。国が潰れるのは最後でしょうから、これは「国民が国に投資をする」ということです。

 

つまり、国は、国民からお金を預かって、資本金をつくっているわけですよ。これは、実は借金ではなく、国民に出資してもらって、国家としての事業をするための資本金ができているのです。

国民に出資してもらっているわけですから、国家として、もっと国が発展し、経済成長するような施策を取り、国の経済を大きく成長させていけば、十分、その出資が報いられるようになります。出資した分が返ってくることになるわけなので、そのように考えなければいけません。

 

株式会社でも、株を買うことで出資してもらっているわけなので、これは借金ですよ。しかし、例えば、資本金五億円の株式会社が、「ああ、五億円も借金がある。返さなければいけない」と言ったら、その株式会社はなくなります。

資本金を返したら、株式会社は倒産です。そうではなく、五億円を出資してもらったら、その出資に対してきちんとリターンができるように事業活動をし、利益を出していくことが大事です。

 

ドラッガーが、「非営利事業であっても、利益に当たる部分は必要だ。それは事業の維持コストなんだ」と言っていますが、政府も同じなんですよ。

したがって。「政府は儲けてはいけない」とか、「政府は赤字事業を続けなければいけない」とか、「政府は収入を一年で使い切らなければいけない」とか、こういう考えはやめるべきです。やはり、非営利事業ではあるけれども、国家を維持していくためには、成長が必要なんです。

 

国民から預かった一千兆円で、もっと日本を成長させるべきです。

国家の成長のために必要なのは、企業で言う利益の部分です。「原価を引いたら、何も残らない」というでは、国を維持できませんが、日本では、この状態が、実は、二十年間続いているのです。この考え方を改めるべきだと思います。

 

「国民が買ってくださっている国債は、国の借金だから返さないといけない」というのは、非常に幼稚な考え方です。国民は、まだ国を信用して出資してくれているんですよ。だから、「いかに国の経済を大きくするか」ということに対してお金を使い、そのお金を回していくことを考えなければいけません。これが国家経営なんですよ。

 

日本は、二十年間、経済成長がほとんど止まっている状態です。

二十年前の日本のGDPは五百十二兆円、現在は五百六兆円です。サラリーマンの年収も二十年前は五百万円、現在は四百九十万円でわずかですが減っています。

 

片や、アメリカや中国は、もう八倍から十倍ぐらいになっていますが、日本の経済成長が止まっているのは、運営の仕方が下手だからです。経済を成長させ、利益に当たる部分も出したらいいのです。

「国家として、利益に当たる部分も出し、それを借金の返済に充てていく」というのが。基本的な考えです。

 

---owari---

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