(明治維新は、唯一、平和裡に成功した民主主義革命)
明治維新は、錦の御旗に対して、思想的にどうしても勝てなかったという幕府が敗れてしまったわけですが、そのおかげで、結果としては、良かったのかもしれません。江戸城が平和的に無血開城されたからです。その後も一部では幕府の残留軍との戦いは続きましたが、いわば無血革命が起きたわけです。
そういう意味では、逆説的なのですが、「水戸学のおかげで、江戸城の無血開城がなされて無血革命が成功した。明治維新によって、平和裡(り)に、侍の世界から四民平等の世界へと移った」ということです。
このように、思想というものは面白い力を持っているものなのです。
また、ある意味で、「明治維新は、唯一、平和裡に成功した民主主義革命である」とも言えます。
現代の政治を見ると、テレビや新聞等では、首相や大臣が「辞めろ 辞めろ」と次々に責められ、実際に辞めていく人が数多くいます。これは、私の目には、彼らを“ギロチン”にかけているように見えてしかたがないのです。
近代民主主義は、大枠としてはよいとしても、いまだに疑問として残ることは、「フランス革命は本当に正義であったのか」ということです。
ギロチン台は、斜めになった大きな刃を上からバサッと落として首を斬り落とすものですが、フランス革命では、ギロチンで数多くの王族が処刑されました。王妃のマリー・アントワネットも処刑されましたが、彼女は光の天使です。王族のなかにも光の天使はいたのですが、それでも処刑されています。
フランス革命の旗の下に、「自由・平等・友愛」という、民主主義の概念が出ていますが、あれだけの流血を伴った部分に、もう一つ解せないものがあります。
アメリカの独立においても戦争はしましたが、フランス革命よりも、やや民主主義的な改革になったのではないかと思います。
フランス革命の残酷な部分はロシア革命や毛沢東の革命にも共通しています。それらは、そうとうの大量虐殺、粛清を伴っており、「旧体制を壊す」ということは、そのくらい難しいことなのでしょう。しかし、「それだけ多くの人を殺さなければいけない」ということに正当性があるのでしょうか。
徳川幕府が倒れたなら、幕府側の重要人物は普通は全員が処刑されるはずですが、日本の場合は、ほとんど処刑をしなかったのです。徳川家にも静岡に土地を与え、ある程度の地位や身分を与えました。それから、幕府側の交渉役として、負けを認めた勝海舟は、明治時代をしっかり生き続けて、いろいろと意見を述べたりしていました。
まことに不思議ですが、「当時の日本には、立派な国民性があり、大人物がいたのだ」と感じます。
---owari---
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます